湘南海岸の眺望を楽しみ、鎌倉幕府終焉の地を訪ねるハイキング
後醍醐天皇や楠木正成が1331年に挙兵して始まった鎌倉幕府倒幕の流れは、新田義貞や足利尊氏も加わることで一気に加速。1333年には、倒幕軍が幕府軍を鎌倉へと追い詰めます。鎌倉幕府の執権をつとめた北条一族は最期を悟って祇園山山中に逃げ込み、当主・北条高時を筆頭に一族や御家人が自害して鎌倉幕府は終焉を迎えるのです。
そんな血なまぐさい歴史も残る祇園山ですが、現在はハイキングコースとなり、途中には鎌倉市街や湘南海岸の眺望を楽しむことができる見晴台もあります。今回は、この祇園山ハイキングコースを紹介します。
祇園山ハイキングコース概要
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約1時間17分
- 【技術的難易度】★☆☆☆☆
- ・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
登山口情報
スタート地点はJR鎌倉駅東口です。
駅前には鎌倉土産の代表的な存在である鳩サブレーを製造・販売する鎌倉豊島屋本店や、井上蒲鉾店 鎌倉駅前店などが集結。構内にも飲食店・土産物屋・コンビニエンスストア・公衆トイレなどの施設が完備しており、ハイキングに必要なものを購入することができます。
コース詳細ガイド
Section1:鎌倉駅〜祇園山見晴台(1.1km・26分)
最初のセクションは、八雲神社までは舗装路歩きです。若宮大路・大町大路・八雲神社への路地とだんだん道幅が狭くなっていきます。
八雲神社の裏手からは祇園山ハイキングコース、10本ほど登れば祇園山展望台に到着します。
鎌倉駅東口を出発して、若宮大路へ向かいます。
若宮大路を渡ったら、右手へ進みます。左には「おんめさま」の愛称で知られる安産祈願のお寺・長慶山正覚院大巧寺(だいぎょうじ)があります。
鎌倉生涯学習センター・鎌倉郵便局を左に見ながら、若宮大路沿いを進みます。
若宮大路がJR横須賀線と交差します。直進して線路をくぐるのではなく、左斜め前方へ線路に沿って進みます。
大町橋で滑川を渡ります。
しばらく大町大路沿いを進みます。前方に見える大町四ッ角信号を左に曲がります。
50mほど進むと「→八雲神社」の看板が見えてきます。右の路地へと進みます。
鎌倉でも最古の厄除け神社として知られる八雲神社に到着です。境内には厄除け祈願ののぼりがはためいています。
祇園山ハイキングコースの登山口は、境内の右奥にあります。
三峯神社・御嶽神社横の階段へ。
最初のうちはフェンスに沿った階段を登っていきます。
やがて足元は土道となり、自然のハイキングコースへと変わります。この場所でコースが左右に分かれます。右方向が見晴台(祇園山)への近道です。
正面の展望が開けたT字路に出たら右へ。
ゆるやかに登っていくと、前方の森が開けて空が見えてきます。
祇園山の山頂にあたる見晴台に到着です。
展望案内板も設置された見晴台からは鎌倉市街や湘南海岸はもちろん、空気が澄んでいれば富士山や房総半島までを眺望することができます。
Section2:祇園山見晴台〜鎌倉駅(2.3km・51分)
このセクションは見晴台からハイキングコースに戻り、東勝寺跡に下ります。東勝寺跡から先は舗装路歩き、宝戒寺や鶴岡八幡宮を通りながら、鎌倉駅へと戻ります。
見晴台を背に直進して下っていくと、分岐の看板があります。Section1の[12]を左へ進んだ場合に出る場所です。
ここは「高時腹切やぐら」の道標にしたがって、森の中をゆるやかに登り返します。
この先はやや下りとなります。木の根も多く、雨天後などはスリップしやすい区間なので、ゆっくりと下りましょう。
右側の視界が開け、大町の住宅街を見下ろすことができます。
やがて道標が現れ、ふたたびゆるやかに登り返します。
この付近は鎌倉周辺のハイキングコースに多い露岩帯です。土道よりは雨天後でも滑りにくい地質です。
斜面の左側を、トラバース(横断)するように進みます。春はシャガの花が斜面を彩ります。
しばらくはフェンス沿いを進みます。最初はトタン板ですが、やがて視界のある金網のフェンスへと変わります。
温暖な鎌倉らしい照葉樹が多い森の中をゆるやかに登り返します。頭上の木々を横切るタイワンリスの姿に出会えるかもしれません。
稜線上のハイキングコースはここまで。高時腹切やぐらへ向けて、下っていきます。
斜面をややトラバースするように、ゆるやかに下っていきます。
こんな場所にもやぐら跡が。ちなみにやぐらとはこのような横穴式の中世のお墓で、鎌倉周辺のハイキングコースでは随所で見ることができます。
さらに下っていくとハイキングコースの終点である山麓が見えてきます。
下りてきた階段を振り返ると、「腹切やぐら」と刻まれた石碑があります。
石碑の手前を左に進むと高時腹切やぐらを参拝することができますが、2023年4月現在は落石の危険があり立入禁止となっています。
鎌倉幕府滅亡時に焼失し、その後いったんは再興されたものの中世以降は荒廃した東勝寺跡。今は静かにその遺構を残すのみです。
東勝寺橋ひぐらし公園を左に見ながら、東勝寺橋で滑川を渡ります。この橋は大正13年に建設された石造りのアーチ橋で、当時の姿を今に留める貴重な存在です。
さらに進むと道は小町大路とぶつかるT字路となります。道標に従って右へ進み、宝戒寺へ向かいましょう。
鎌倉幕府の実権を握っていた北条氏の執権屋敷跡にある宝戒寺(拝観料300円)。現在は花の寺としても知られ、春の桜・夏のサルスベリ・秋の萩・冬のツバキなど四季折々に境内が美しく彩られます。
鎌倉きっての人気スポット、鶴岡八幡宮の鳥居前まで進みます。広い境内に立ち寄って参拝しても良いでしょう。
あとは若宮大路を鎌倉駅へ戻るだけです。車道の真ん中に遊歩道が整備されており、春は桜のトンネルとなります。
北条氏の弔いの寺・宝戒寺
下山後に立ち寄る宝戒寺は、鎌倉幕府を滅した後醍醐天皇が討幕軍の一員であった足利尊氏に命じて、北条氏の霊を弔うために建立された寺院です。腹切やぐらで壮絶な最期を遂げた北条高時も徳崇大権現として神格化され、境内にある德崇大権現堂に祀られています。
敵方の将でありながら敬意を持って弔う(怨霊となって祟ることを防ぐためという説も)という戦の後の行動。時に残酷な歴史の一面を覗かせる鎌倉ですが、こうしたエピソードもハイキングを味わい深いものにしてくれるでしょう。
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