届け!30万人 山の安心をひろげるプロジェクト 第2弾 / 希望者全員にココヘリをプレゼント 限定ステッカーももらえる! / 今すぐ申し込む

鎌倉ガイド|朝比奈切通しハイキングコース

「武家の古都」として数多くの社寺や文化財を有する人気の観光地・鎌倉。相模湾に面し南側に湘南海岸が広がる美しい街ですが、東・北・西の三方を山に囲まれた天然の要塞ともいえる場所です。

そしてその山々には四季折々の自然を満喫できるハイキングコースが多数整備されています。今回は鎌倉防衛の拠点として作られた切通しの中でも、歴史の面影を色濃く残す朝比奈切通しハイキングコースを紹介します。

目次

アイキャッチ画像撮影:鷲尾 太輔

武家の古都を守る拠点であった七つの切通し

朝比奈切通し

撮影:鷲尾 太輔(朝比奈切通し)

源頼朝がこの地に幕府を開いたのは、前述の通り地形的に山に囲まれており敵の侵攻からの防衛に適していた地形であったことが大きな理由です。そしてこの山々には、戦略拠点と共に外部との通行路を確保するために人の手で切り開かれた「切通し」という道が設けられました。

「鎌倉の七切通し」や「鎌倉七口」とも呼ばれる七箇所の切通しのうち、現代でも往時の雰囲気を色濃く残しているのが、東側の六浦(横浜市金沢区)との境にある朝比奈切通しです。

今回は、そんな切通しの景観だけでなく美しい渓谷美を楽しむことができる「朝比奈切通しハイキングコース」を歩いてみましょう。

朝比奈切通しハイキングコース概要

鎌倉:朝比奈切通しハイキングコースの地図

作成:橋爪 勇志(朝比奈切通しハイキングコースの地図)
コース概要
朝比奈バス停(0.6km・19分)→登山口・朝比奈峠(0.2km・6分)→朝比奈切通し(1km・20分)→十二所神社入口バス停

 

参考:ヤマレコ(上記の所要時間に見どころの観光時間や休憩時間は含まれていません)
【体力レベル】★☆☆☆☆
日帰り
コースタイム:約45分

参考:ヤマレコ

【技術的難易度】★☆☆☆☆
・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

登山口情報

朝比奈バス停

撮影:鷲尾 太輔(朝比奈バス停)

スタート地点はJR鎌倉駅と京浜急行・金沢八景駅を結ぶ京急バスの朝比奈バス停。鎌倉駅から約20分の道のりです。

下車して200mほど進んだ道路の反対側にコンビニエンスストアがありますが、車の往来が激しいのでコース詳細ガイドで最初に紹介する横断歩道を渡ってから立ち寄ることがおすすめです。

コース詳細ガイド

今回のコース

出典:YAMAP(今回のコース)*画像クリックで拡大可
今回はコースを2つのセクションに分けて紹介します。

 

▶Section1:朝比奈バス停〜登山口・朝比奈峠
(0.6km・約19分)
▶Section2:登山口・朝比奈峠〜十二所神社入口バス停
(1.2km・約26分)

Section1:朝比奈バス停〜登山口・朝比奈峠(0.6km・約19分)

Section1

出典:YAMAP(Section1)

最初のセクションは、朝比奈バス停から朝比奈切通しの入口となる登山口・朝比奈峠までの道のり。この区間でも往時の面影を残す風景を数多く目にすることができます。

朝比奈バス停近くの横断歩道

撮影:鷲尾 太輔(朝比奈バス停近くの横断歩道)

鎌倉方面からのバスを下車したら、朝比奈バス停から少し戻ってこの横断歩道を渡って右へ進みます。この先に金沢八景駅方面からの朝比奈バス停があります。

←朝比奈切通の看板

撮影:鷲尾 太輔(「←朝比奈切通」の看板)

看板に従って、左手の路地に進みます。周囲には建設会社や鉄工所が点在しています。

早速現れる切通し

撮影:鷲尾 太輔(早速現れる切通し)

鉄工所の向かい側、右手の斜面には早速切通しの名残が現れます。

朝比奈切通の石碑

撮影:鷲尾 太輔(「朝比奈切通」の石碑)

朝比奈切通しへの道であることを示す石碑。近くには国史跡でもある朝比奈切通しの解説板も設置されています。

石仏群

撮影:鷲尾 太輔(石仏群)

少し進むと右手の斜面には石仏群があり、切通しを作った人々の祈りを感じ取ることができます。

横浜横須賀道路をくぐる

撮影:鷲尾 太輔(横浜横須賀道路をくぐる)

横浜横須賀道路の高架橋が切通しの上を通る珍しい光景。いにしえの道と現代の道が交差する、このコースならではの場所です。

歩きやすい道

撮影:鷲尾 太輔(歩きやすい道)

このセクションは、土道にところどころ土のうが積まれたゆるやかな上り坂です。

小さな切通し

撮影:鷲尾 太輔(小さな切通し)

早速、小規模な切通しを通過します。高さはそれほどではないものの両側の斜面が迫っており、写真映えする場所です。

やぐら跡と思われる穴

撮影:鷲尾 太輔(やぐら跡と思われる穴)

さらに進むと斜面にはやぐら(横穴式の中世のお墓)と思われる穴もあり、興味は尽きません。

自然と調和した切通し

撮影:鷲尾 太輔(自然と調和した切通し)

このあたりは切通しの上に樹木が繁茂しています。長い年月を経た道であることを実感しながら、進みます。

朝比奈峠はもうすぐ

撮影:鷲尾 太輔(朝比奈峠はもうすぐ)

左手が開けて林になってくると、朝比奈峠はもうすぐです。

登山口・朝比奈峠

撮影:鷲尾 太輔(登山口・朝比奈峠)

登山口・朝比奈峠に到着です。道標の通り朝比奈切通しへは右(ほぼ正面)の「かまくら道」を進みます。左に進むとすぐに、源頼朝が和歌山県・熊野三山の御祭神を勧請した(神の分霊を迎えた)といわれる「熊野神社」があります。

Section2:登山口・朝比奈峠〜十二所神社入口バス停(1.2km・約26分)

Section2

出典:YAMAP(Section2)

このセクションでは朝比奈切通しを通過しながら、太刀洗川(たちあらいがわ)の源流に沿って下っていきます。三郎の滝でハイキングコースは終わり、十二所バス停までは舗装路歩きとなります。

朝比奈切通し入口

撮影:鷲尾 太輔(朝比奈切通し入口)

落石注意の看板が立てられた入口。いよいよここから朝比奈切通しへと入っていきます。

高さのある岩壁

撮影:鷲尾 太輔(高さのある岩壁)

見上げると、ここまでよりも切通しの壁自体に高さがあり、スケール感のある場所です。

撮影:鷲尾 太輔(苔むした切通し)

岩肌のところどころは苔むしており、時の経過を感じます。

石切場のような場所

撮影:鷲尾 太輔(石切場のような場所)

江戸時代後期に盛んな採石が行われた千葉県・鋸山(のこぎりやま)の石切場を思わせる光景。岩壁には仏像が彫られています。

供養塔

撮影:鷲尾 太輔(供養塔)

こちらは南無阿弥陀仏供養塔・道造供養塔が建つ場所。刻まれた年号から江戸時代に設置されたと想像されている石塔です。鎌倉時代以降も、人々に利用された道であることを物語っています。

下り坂へ

撮影:鷲尾 太輔(下り坂へ)

この先から、ハイキングコースはゆるやかな下り坂になります。

撮影:鷲尾 太輔(傾斜を実感できる切通しの表面)

切通しの壁面の亀裂と路面の角度の違いを見ると、単に山を直線的に削ったのではなく自然の傾斜をうまく利用していることがわかります。

水が流れる下り坂

撮影:鷲尾 太輔(水が流れる下り坂)

この下り坂は滑川の支流・太刀洗川の源流部にあたり、常に水が流れています。雨の日には水量も増えるので、スリップには注意しましょう。

水が染み出した切通しの表面

撮影:鷲尾 太輔(水が染み出した切通しの表面)

地質も水分を多く含んでいるようで、切通しの岩肌からも水が染み出している様子がわかります。

撮影:鷲尾 太輔(シダ類が繁茂した切通しの表面)

こちらの岩肌にはシダなどの植物が繁茂しています。自然に溶け込んだ切通しの風景も、ひと味違った魅力がありますね。

太刀洗川源流

撮影:鷲尾 太輔(太刀洗川源流)

さらに下っていくと、水の流れる筋が太くなっていきます。しゃがんで水面に近づけば、空や木々の映り込みも美しい場所です。

三郎の滝

撮影:鷲尾 太輔(三郎の滝)

鎌倉時代の御家人・朝比奈三郎義秀にちなんで名付けられた「三郎の滝」。時の権力者である執権・北条氏との争いでの勇猛果敢な戦いぶりが語り継がれている人物です。

撮影:鷲尾 太輔(ハイキングコース終点)

ハイキングコースは三郎の滝まで。ゴールの十二社神社バス停へは右前方に進みますが、早春であれば左手に進んだ十二社果樹園の梅の花を楽しんでもよいでしょう。

舗装路へ

撮影:鷲尾 太輔(舗装路へ)

ここからコースの足元は、砂利道〜コンクリート舗装〜アスファルト舗装と変化していきます。

撮影:鷲尾 太輔(住宅街を進む)

護岸や柵ですっかり整備された姿に変わった太刀洗川に沿って、住宅街の中を進みます。

滑川との合流地点にある橋

撮影:鷲尾 太輔(滑川との合流地点にある橋)

こじんまりとした十二所ひよどり公園を左手に見ながら、滑川との合流地点にある橋を渡ります。

ゴール目前

撮影:鷲尾 太輔(ゴール目前)

この看板が見えたら、ゴールの十二所神社バス停は目前です。

撮影:鷲尾 太輔(十二所神社バス停)
県道204号線・金沢鎌倉線に出れば、京急バス・十二所神社バス停に到着です。鎌倉駅まではバスで15分ほどの道のりです。

先人の労苦をしのぶハイキングコース

路傍にたたずむ石仏

撮影:鷲尾 太輔(路傍にたたずむ石仏)

コース紹介で触れた千葉県・鋸山と同じく、朝比奈切通しなど鎌倉周辺は凝灰岩という比較的柔らかい地質で構成されています。このため切通しを作ることが可能であったと考えられますが、鋸山ですら採石が始まったのは朝比奈切通し完成から600年以上を経た江戸時代後期なのです。

削岩機もダイナマイトもない時代、その難工事の様子は鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』にも記されています。点在する石仏や供養塔に足を留めて、この道を人力だけで開通させた先人の労苦をしのぶのも、このハイキングコースならではの魅力といえるでしょう。

ハイキングの服装はこちら

鎌倉のハイキングコースはこちら

鎌倉のハイキング おすすめ6コース

気になるコースをCHECK!

1. 葛原岡・大仏ハイキングコース

コースタイム01:53 コース距離4.5km

歴史ある寺社と自然あふれるハイキングをバランスよく体感できるコース。歩みを進めるにしたがって近づく海の眺望も魅力。

 

2. 天園ハイキングコース(鎌倉アルプス)

コースタイム02:19 コース距離5.8km

鎌倉市最高所・大平山も踏破する歩き応え抜群のハイキング王道コース。四季折々の魅力がある山麓の古刹も必見。

 

3. 衣張山ハイキングコース

コースタイム02:03 コース距離4.7km

山頂からは鎌倉市街から海までの絶景を一望。山麓にも魅力あふれる寺社が点在するハイキングコース。

 

4. 祇園山ハイキングコース

コースタイム01:17 コース距離3.4km

コース中に点在する史跡も、見晴台からの展望も魅力的。緑が美しい道で程よく自然を感じられるハイキングコース。

 

5. 朝比奈切通しハイキングコース

コースタイム00:45 コース距離1.8km

武家の古都・鎌倉守護の名残を色濃く留めた道。コンパクトながら歴史の面影を存分に感じ取れるハイキングコース。

 

6. 名越切通しハイキングコース

コースタイム01:56 コース距離6.1km

自然と調和した防衛拠点・大切岸は必見。石廟や切通しも点在する、先人の労苦を偲び自然との調和を実感するハイキングコース。