アウトドアの定番ギア『シェラカップ』で炊飯にチャレンジ!
シェラカップはコップとしてはもちろんお皿やクッカーとしても使うことができ、キャンプや登山などに欠かせない万能アイテム。もちろん炊飯もできる優れものです。
特に0.5合の1人分にちょうどいい量を炊くことができるので、ソロでの登山やキャンプにもピッタリ。そのまま器にして食べられるため、荷物を減らしたい人にもおすすめです。
今回は、シェラカップで上手にお米を炊くための道具選びや炊飯のポイントを紹介します。コツを掴めば、シェラカップでも美味しくご飯が炊けますよ。
まずは、道具選びのコツから見ていきましょう!
道具選び、5つのコツ
①ステンレス製のシェラカップを使用する
熱伝導率が高いのはアルミですが、アルミ製シェラカップは少なくステンレス製かチタン製が一般的。ただ、チタン製のシェラカップは熱伝導率が低く加熱される場所に偏りができやすいため、焦げの原因にも。そのため、ステンレスのシェラカップで炊飯することをおすすめします。
②炊く量に合わせてシェラカップのサイズを選ぶ
お米の量 | 炊く際に必要な 水の量 | シェラカップの サイズ |
0.5合 (75g / 90ml) | 約110ml | 300ml以上 |
1合 (150g / 180ml) | 約220ml | 450ml以上 |
1.5合 (225g / 270ml) | 約330ml | 600ml以上 |
シェラカップでの炊飯可能量の目安は、シェラカップにお米を入れた際に半分以下で収まるかどうか。お米の量が多すぎると、炊飯途中に米や水分が溢れてくる可能性が高くなります。
なお、上記表の炊く際に必要な水の量はあくまで目安です。好みの炊きあがりや炊飯時の条件によって調整をしてくださいね。火力が強い場合や無洗米の場合は、少し多めにすると良いでしょう。
③自分に合った加熱道具を選ぶ
加熱手段 | メリット | デメリット |
ガスバーナー | ・火力調整ができる ・扱いが簡単 | ・重量がある ・別途ガス缶も必要 |
固形燃料 | ・燃焼時間=炊飯時間なので管理不要 ・軽くてコンパクト ・燃料が安く手に入れやすい | ・風の影響を受けやすい ・固形燃料によってすすが出る |
アルコールストーブ | ・軽くてコンパクト ・燃料が安い | ・火力調整できないタイプが多い ・風の影響を受けやすい |
アウトドアでは、ガスバーナー・固形燃料・アルコールストーブのいずれかを使ってシェラカップ炊飯を行います。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分に合ったタイプを選びましょう。
④熱を均等に伝えるためにバーナーパッドを使用する
炎の熱が一箇所に集中すると、焦げやお米に芯が残る原因となります。バーナーパッドを使用し、シェラカップ全体に熱が伝わるようにしましょう。また、バーナーパッドがあればシェラカップを安定して置くことができ安心です。
⑤必ずフタを用意すること
炊飯にはフタが必須。以下のいずれかのフタを用意しておきましょう。上記の写真は、同じサイズのシェラカップを上から被せてフタにしたものです。
「吸水」と「蒸らし」が成功するカギ
お米にしっかりと吸水させる
炊飯する前に、お米をしっかりと水につけるのが失敗しないコツ。吸水スピードは水温が高いと速くなり、水温が低いと遅くなります。
夏場は20〜30分ほど、冬場は60分以上の浸水を目安にするといいでしょう。
これより長い時間でもかまいませんが、吸水時間が長すぎると雑菌などが繁殖する恐れも。クーラーボックスに入れるなど、衛生面での対策をしたほうがいいでしょう。
また、例えば登山であれば、あらかじめ無洗米を選んでナルゲンボトルやジップロックなどに水とともに入れておくと、行動中に吸水が終わり時間の節約にもつながりますよ。
蒸らしはしっかりと15〜20分程度
お米が炊きあがった直後は、水分が蒸気としてシェラカップ内に充満していて、お米の表面に多くの水分があります。温度を維持したまま蒸らすことで、その水分がお米に均一に吸収され水っぽさのない炊きあがりになるんです。
そのためには、火からおろした直後に保温してしっかり蒸らすことが大切。フタをしたままのシェラカップをタオルなどで包んで、15〜20分ほど蒸らしましょう。 なお、保温ケースなどがあると蒸らしている間に冷めず、より美味しいごはんに仕上がりますよ。
ここからは、ガスバーナー、固形燃料、アルコールストーブを使った炊飯方法をそれぞれ紹介していきます。
各方法について先に知りたい方は、以下をクリックしてください。
シェラカップで基本の炊飯|ガスバーナーを使用
まずは、火力調整ができるため初心者でも挑戦しやすいガスバーナーでの炊飯方法から見ていきましょう。
なお、火器の種類や気温、風の有無などアウトドアでの炊飯は条件が様々。今回紹介する時間はあくまでも目安とし、音や匂いに注意して炊飯してみましょう。
炊飯データ
・使用ガスバーナー:プリムス 153ウルトラバーナー
・使用シェラカップ:ステンレスシェラカップ 310ml
・風:ほぼ無し
・外気温:27℃
0.5合炊飯のために準備するもの
炊飯手順
まずは炊飯手順をざっと確認しましょう。
それでは写真と合わせて、実際の炊飯手順をご紹介します。
(1)初めはフタをしないで強火で熱しましょう。写真ではわかりにくいですが、強火で一気に沸騰までさせていきますよ。
(2)沸騰するまでは全体の熱が均一になるように、適度に底から優しくかき混ぜてください。これは、焦げ付き防止にもなります。
(3)ぼこぼこと沸騰してきたらフタをします。蒸気でフタが持ち上がる場合には、上に重しをおくと良いでしょう。
アルミホイルでフタの代用をする場合は、しっかり圧力をかけるため隙間ができないように覆います。沸騰中にきっちりとアルミホイルをかけるのは熱いので、あらかじめシェラカップの径に沿って形を作っておくなど工夫が必要かもしれません。
なお、沸騰まで約5分でした。
(4)フタをしたらすぐに弱火に。できる限り最小の火加減にできるとベター。強すぎると焦げ付きの原因となります。
(5)パチパチという音と香ばしい匂いがしてきたら消火します。このパチパチ音と香りが火を消す合図です。
今回はフタをして7分ほどでした。おこげが好きな人はもう少し長くトロ火にかけてもいいかもしれません。
(6)タオルに包んでしっかりと保温し15〜20分蒸らします。
(7)タオルとフタを外し、お米をスプーンや箸で軽く混ぜたら完成。さっくり混ぜることで余分な水分が蒸発し、お米の粒がツヤツヤの仕上がりになります。
個人的感想「想像以上に簡単。味もよくてサイコー!」
沸騰後、若干吹きこぼれましたがそのまま見守っているうちに、パチパチという音と香ばしい匂いがしてきました。シェラカップの中に水分が残っていなさそう(パチパチという乾いた音より判断)だったので、10分より早い7分で消火。それでも、炊飯時間が足りないということはなく、ふっくらとした炊きあがり。筆者好みの、やや硬めのさっぱりとしたごはんの完成です。
常温の水を使用したこと、外気温が高く無風だったことなどが炊飯時間の短さと関係しているのかなと推測しました。
火にかけている時間より蒸らしている時間のほうが長く、想像以上に簡単な手順でしたよ!
シェラカップで自動炊飯|固形燃料を使用
続いて、固形燃料を使用した炊飯の手順を紹介します。ガスバーナーでの炊飯と異なり、フタをして着火したらあとは火が消えるまで手を加える必要がありません。炊飯の間に、別のガスバーナーなどでおかずの調理もできるので効率よく食事の準備ができます。ただし、火がついているので必ずその場にいましょう。
炊飯データ
・使用固形燃料:15分燃焼タイプ
・使用シェラカップ:ステンレスシェラカップ 310ml
・風:ほぼ無し
・外気温:27℃
0.5合炊飯のために準備するもの
炊飯手順
まずは炊飯手順をざっと確認しましょう。
(1)フタをセットしたら固形燃料に着火します。あとはそのまま火が消えるまで待っていましょう。
(2)固形燃料の火が消えたら、すぐに保温に移ります。タイマーなどをセットしておくと、消火の見落とし防止になっていいですよ。
(3)前項目のガスバーナーでの炊飯と同じようにタオルで保温し15〜20分蒸らします。
(4)タオルとフタを外し、お米をスプーンや箸で軽く混ぜたら完成!
個人的感想「炊いてる間に他の作業ができるのが◎」
火をつけたら放置しておくだけなので、とにかく手間がかからず簡単でした。ただし、実食したところ若干の炊きムラがあるように感じました。自動炊飯を目指さず、ガスバーナーと同じように沸騰するまではかき混ぜたほうが美味しい仕上がりになるかなと思います。
また、外気温や水温など外部要因によっては、燃焼時間20分タイプの固形燃料を使用した方が良い場合もありそうです。
シェラカップで上級者向け炊飯|アルコールストーブを使用
最後は、アルコールストーブでの炊飯方法をご紹介します。アルコールストーブはモデルや気象条件によっても手順が変わるため、ここで紹介するのは一例ですが参考にしてみてください。
今回は、火力調整ができないタイプのアルコールストーブを使用しました。結論から言うと、できれば火力調整できるタイプでの炊飯をおすすめします。
また、アルコールストーブは風に弱く、少しの風でも炎が流れやすいので防風対策も必須です。
炊飯データ
・使用アルコールストーブ:エバニュー チタンアルコールストーブ
・使用シェラカップ:ステンレスシェラカップ 310ml
・使用燃料:約40ml(約7分間燃焼分。炊飯終了時にはまだ火がついていました)
・風:ほぼ無し
・外気温:27℃
0.5合炊飯のために準備するもの
炊飯手順
まずは炊飯手順をざっと確認しましょう。
※上記は火力調整のできないアルコールストーブの場合の手順。火力調整ができる場合はガスバーナーと同じ手順です。
アルコールストーブとの相性が悪い筆者……心の声とともに炊飯手順を実況していきます。
(1)風防をセットしアルコールストーブに着火。沸騰するまで底から全体をかき混ぜていきましょう。こうすることで、焦げ付き防止と熱を均一に伝えることができます。
(2)火力が強いため沸騰後も、他の加熱方法より少し長めにフタをせずにかき混ぜます。お粥のような粘りが出てきたらフタをしてください。水の量も他と比べて多く吹きこぼれる可能性が高いので、シェラカップ用のフタの場合は、上に重しを置くといいですよ。
(3)フタをして、5分ほどで湯気が少なくなりパチパチ音と香ばしい匂いがしてくるので、火からおろしましょう。
(4)火からおろしてタオルなどで保温して15〜20分ほど蒸らし、スプーンなどで混ぜれば完成です。
今回は2分ほどで火からおろして蒸らしタイムに。火からおろすのが早かった分、20分蒸らしました。
火にかけていた時間はトータルで4分強でしたが、芯も残らずちゃんと炊けていました。おこげがいい感じ!!
ほんの少しだけ焦げついていましたが、美味しく炊けていたので結果オーライ。加熱時間だけで判断するのではなく、香ばしい匂いやパチパチ音など五感を使って火からおろすタイミングを決めるといいのかもしれません。
個人的感想「むちゃくちゃ難しかったけど、楽しい&1番美味しい」
火力調整できないタイプのアルコールストーブを使用したこともあり、かき混ぜる・フタをするなどの作業にスピード(?)を要し、かなり難易度が高かったです。その分、炊きあがったごはんはふっくらもちもちで1番美味しかった気がします。
初めに強火で一気に沸騰させてお米全体に熱が均一に伝わったこと、マニュアル時間よりも感覚で火からおろすタイミングを決めたこと、余熱でしっかりと蒸らしたことが功を奏したのではと推測。火を操る醍醐味というか、アウトドアで調理している感があってめちゃくちゃ楽しかったです。
今回は高さの出ない十字ゴトクを使用しましたが、高さのあるゴトクに変更しシェラカップと火の距離を変えることで火力調節するなど、まだまだ工夫の余地はありそう。アルコールストーブでの炊飯を極めたくなりましたよ!
美味しく炊くためのポイント3つ
ほったらかしでも炊けますが、味にこだわるならポイントを押さえておきましょう。五感を使いながら、臨機応変に対応することが大切です。
シェラカップでソロ炊飯に適した道具
最後に、シェラカップ炊飯に適したギアを紹介します。
ステンレス製シェラカップ
ソロ炊飯に適した300ml前後サイズで、水を入れる際にわかりやすいメモリ付きのステンレスシェラカップが登場します。
スノーピーク ステンレスシェラカップ 310ml
ベルモント ステンシェラカップREST300
ユニフレーム UFシェラカップ 300
バーナーパッド
炎を柔らかな赤外線の熱に変換し、ムラなく熱を伝えてくれるバーナーパッド。さらに、径の小さいシェラカップも安定して置くことができます。
ユニフレーム バーナーパット S
バーナー
PRIMUS 153ウルトラバーナー
軽量コンパクトで携行性に優れ、登山者を中心に人気のあるプリムスのバーナー。小型ながらハイパワーで、火力調整もできるので炊飯にも◎。
SOTO アミカス
十分な性能を持ちつつ、コストパフォーマンスに優れているアミカス。4本ゴトクなのでシェラカップを安定して置けます。
エスビット ポケットストーブ
いわゆるガスバーナーと比べて軽くてコンパクトなポケットストーブ。専用の固形燃料のほか、100円ショップなどでも購入できるカップ入り固形燃料も使用可能。ただし、火力調整はできません。
トランギア アルコールバーナー TR-B25
風や低温に強く、着火も簡単なアルコールバーナー。スライド扉の開き具合を調整し、タンクに被せて火力調整が可能。使用には別途ゴトクが必要です。
シェラカップ用のフタ
炊飯の際に必須なフタ。アルミホイルでも代用可能ですが、専用のフタのほうが使い勝手もいいもの。料理の保温をはじめ、虫やゴミの混入防止やお皿の代わりとしてなど様々な用途に使えて何かと便利です。
ユニフレーム シェラリッド300
キャプテンスタッグ モンテ シェラカップ320用フタ
アウトドアで食べる炊きたてごはんは、何よりのご馳走!
シェラカップ炊飯は、シェラカップがあれば気軽にチャレンジできるのが魅力。やってみたら想像以上に簡単でした。アウトドアで炊きたてのごはんが食べられるのは、最高に幸せですよね。
シンプルにお米を炊くという作業に没頭するのも楽しい時間でハマりそう。皆さんもぜひ試してみてくださいね!