風雨を凌ぎながら動きを妨げない「レイントレッカー」
登山における必需品のひとつ、レインウェア。雨や風から身を守ってくれる機能は必要なものの、レインウェア独特のゴワゴワ感が苦手という人もいます。
また、ザックに入れている時間が長いことから、軽さやコンパクトさも選ぶ時には捨てがたいポイント!
そんな複数の機能性のバランスが取れたレインウェアが、モンベルのレイントレッカー。軽量でしなやかな生地に高度な技術を掛け合わせることで、レインウェアとして最軽量クラスの軽さと快適な使い心地を両立させています。
嵐のような強い雨風を受け続けたり、岩場や藪こぎなどのようなハードなシーンで使ったりしない限り、日帰り低山登山からアルプスまで使えるモデルです。
レイントレッカーの気になるスペックをチェック
2021年秋冬にモデルチェンジされたレイントレッカー。新旧モデルのスペックを比べてみましょう。
※M=Men’s、W=Women’s
新モデル | 旧モデル | |
写真 | ![]() | ![]() |
素材 |
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耐水圧 | 30,000mm以上 | 20,000mm以上 |
透湿性 | 43,000g/m²・24hrs | 20,000g/m²・24hrs |
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収納サイズ |
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カラー展開 |
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金額 |
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もともとコンパクトで持ち運びがしやすいモデルでしたが、今回のリニューアルでさらに軽量・コンパクトになっただけでなく、防水透湿性がアップし動きやすいレインウェアになりました。
▼旧モデルの詳細を知りたい人はこちら
レイントレッカーの進化は素材にあり!
レイントレッカーはこの素材にシーム処理を施して防水性を高め、一般的に登山用のレインウェアに必要とされる耐水圧20,000mm以上という数値をクリアし、耐水圧は30,000mm以上。
さらに、水分をウェアの外に放出する透湿性も一般的に10,000g/m²・24hrs以上あれば登山での使用に適していると言われていますが、その数値を大きく上回る43,000g/m²・24hrs。数値が高いほど多くの水分を放出できるため、それだけ多くの汗をかいても衣服内に溜まりにくく、衣服内をドライに保ちやすいといえます。
また、登山用レインウェアの中では最軽量クラス。山でよく見かける登山用レインウェアの平均的な重量(※)を割り出してみると、ジャケットが約350〜400g、パンツが約250〜300g程度なので、レイントレッカーはその半分くらいの軽さです。
※モンベル、ザ・ノース・フェイス、パタゴニア、アークテリクス、ミレーのレインウェア/防水シェルの公表値より平均を算出。
雨の樹林帯も快適に歩けるムレにくさと防水性のバランス!
今回は雨の山でレイントレッカーを着用し、その実力をテストしました。
素材の持つ防水性・防風性を実感。雨風の侵入の心配なし
今回のテストでは断続的に雨が降っている状況。ウェアの表面がパラパラと雨を弾いてくれることもありましたが、ときおり表地に染み込んでくることも。
しかし、ウェア内まで侵入することはなく、レインウェアとしての役割をしっかり果たしてくれました。
生地の防風性能も高く、フードや裾を絞って隙間をなくせば風からもしっかり守ってくれます。ただし生地が薄手のため保温性はあまり高くなく、風が吹き抜ける場所や気温の低い場所で止まる時は身体の冷えに要注意。レイヤリングであたたかさを調整するなどの工夫が必要です。
今回のテストでも山頂部は風が吹いており休憩時に寒さを感じたので、フリースを中に着て適温を保ちました。
顔にフィットするフードで視界良好
「顔周りの締まり具合」「首周りの締まり具合」「ツバの伸ばし具合」の3点を調節することで、自分好みにフードをフィットさせることが可能。フィット感も良いので、雨風の侵入を防いでくれます。
また、首の動きにもしっかり追従してくれるので、フードを被っても視界を良好に保つことができるのもうれしいポイントです。
調整しやすい袖や裾
袖の調整機能はベルクロタイプになっており、グローブをしたままでも簡単に調整可能。大きな時計をしていても、袖にひっかからず覆うことができますよ。
裾の絞りも両裾のドローコードを引っ張るだけで簡単に調節することができ、しっかり雨風の侵入を防げました。
ウェア内のムレは素早く放出される感覚を実感!
風のない樹林帯を登っているときはウェア内にムレを感じましたが、素早く外に逃がしてくれるのでレインウェアを脱ぎたくなるほどの不快感はありませんでした。
ただ、メインファスナーの開閉以外にウェア内のムレを一気に逃がせるようなベンチレーションはありません。そのため、ファスナーを開けられないどしゃぶりなどの場合、歩くペースなどでコントロールが必要です。
2レイヤーゆえのメリット・デメリットも
2レイヤーなので、レインウェアで多い3レイヤーのウェアに比べて、軽量・コンパクトというメリットがあります。
一方で、裏地がなくメンブレン(防水透湿性能のある膜)が直接肌に触れる点は、肌触りや耐久性の面でデメリットに繋がります。汗が貼りつくほどの不快感はありませんでしたが、サラサラではなく少しペタッとした肌触り。また汗や皮脂などの汚れによって透湿性が低下しやすいため、長く使いたい人は留意したほうが良いでしょう。
動きやすさを高めるつくりにも注目
レイントレッカーの良さは防水性と動きやすさのバランス。次は、そのしなやかさについて見てきます。
柔らかくてしなやかな素材を採用
レイントレッカーの特長を表すのに欠かせないのが生地の柔らかさ。多くのレインウェアで感じるようなゴワつきがなく、実際に使ってみるまで「これでちゃんと雨防げるの?」と心配になったほどです。
着心地が良いのでウインドブレーカーとして雨以外のときにも使えますし、マットな質感なので街着としても違和感なく着られそうです。
スムーズな腕の動きが可能
ジャストサイズのジャケットを着用しても、腕を上げた時のつっぱり感は皆無。身ごろと袖を一枚の生地で構成し、縫製箇所を減らすことで、防水性・軽量性・耐久性を高めています。このモンベルのK-Mono カットという技術で、動きやすさと高い防水性を実現しています。
立体裁断で足の動きも快適に
パンツは立体裁断で、足上げやしゃがんだときのつっぱり感が軽減されるつくりに。大きく足を上げるシーンでも、歩きにくさは感じませんでした。
体型に応じて選べるパンツの長さ
同じウエストサイズでも、股下の長さに応じてパンツの丈を3種類から選ぶことが可能。今回はレギュラーを着用しましたが、レギュラーより6センチ短い「ショート」、6センチ長い「ロング」もラインナップ。レインパンツはジャストサイズで履きたいからこそ、体型に合ったサイズを選べるのはありがたいですね。
※ウエストサイズによってラインナップが異なります。詳しくはこちらのパート(メンズ/ウィメンズ)でご確認ください。
使いやすさもしっかり担保!
軽さを極めるモデルでは、機能が削ぎ落とされて使いづらいと感じることも。その点、レイントレッカーは使いやすさもしっかり担保されています。
ジャケットの両サイドのポケットは、ザックにも干渉せず便利
ジャケットの両サイドにはポケットがあり、スマートフォンなどをしまうのに便利。ザックにも干渉しません。構造上ポケットにはシームテープ処理ができず完全防水ではないため、濡れたら困るものは防水ケースに入れるなど、防水対策をして使いましょう。
膝まで開くジッパーで、パンツの脱ぎ履きもスムーズ
登山の途中でレインパンツを履くとき、少しでも履きやすいほうが嬉しいですよね。レイントレッカーパンツは膝まで開く「ロングボトムジッパー」を採用。軽量モデルの中にはこのジッパーが短くて履きづらかったり、ジッパー自体がなくて一度登山靴を脱ぐ必要があったりするものもあるので、しっかり開いて靴を通せるのは地味に嬉しいポイントです。
レイントレッカーは、ライトな山行で幅広く使える
実際に雨天時の山で着用したときの使用感を踏まえて、レイントレッカーの使用をおすすめするシーンとおすすめしないシーンを紹介します。
樹林帯や低山のレインウェアをはじめ、ウィンドシェルとしても
特に低山や樹林帯で雨が降ったシチュエーションでは、高い透湿性が活躍してくれそうです。防風性にも優れているうえに動きやすいため、雨が降っていないときにウィンドシェルとして使うのもおすすめ。2レイヤーで手の届きやすい価格のため、初心者からベテラン登山者まで使えるコスパの良いアイテムといえます。
岩場や藪こぎなど、ハードな山行での使用は要注意
薄手の生地のため、ダイレクトに風を受けるような稜線が多いルートの場合はレイヤリングを工夫するなど寒さへの対策が必要です。
薄く柔らかい素材を使用しているので、藪こぎや岩登りなど、ウェアの強度が求められるシーンでの使用もあまりおすすめできません。
ヘルメット着用を想定していないのか、ヘルメットをしたままフードをかぶると少し引っ張られる感覚もあります。
モンベル|レイントレッカージャケット(Men’s)
モンベル|レイントレッカージャケット(Women’s)
モンベル|レイントレッカーパンツ(Men’s)
モンベル|レイントレッカーパンツ(Women’s)
【モデル比較】他モデルとの違いも知りたい!という人へ
比較①|モンベルの定番レインウェア「ストームクルーザー」とどう違う?
まずはモンベルのレインウェアの代表格である「ストームクルーザー」と比較してみます。
※ここではメンズジャケットで比較
レイントレッカー ジャケット | ストームクルーザー ジャケット | |
写真 | ![]() | ![]() |
素材 | ゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス 2レイヤー [表:20デニール・ナイロン・リップストップ] | ゴアテックス ファブリクス3レイヤー[表:20デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ] |
耐水圧 | 30,000mm以上 | 50,000mm以上 |
透湿性 | 43,000g/m²・24hrs | 35,000g/m²・24hrs |
平均重量 | 188g | 254g |
収納サイズ | 7×7×13cm | 7.5×7.5×15cm |
金額 | 15,950円 | 22,880円 |
レイントレッカーは、ストームクルーザーと比べると耐水性能や強度の面で劣るものの、軽量で透湿性能に優れています。
どちらもバランスの良いモデルですが、よりハードな登山で使用するならストームクルーザー、よりライトな登山で使用するならレイントレッカーがおすすめです。
▼ストームクルーザーについての詳細はこちら
比較②|平均重量200g以下!モンベルのレインジャケット4モデル
モンベルのレインウェアは他にもラインナップがあり、迷ってしまう人もいるかと思います。そこで、「トレントフライヤー」「ピークドライシェル」「バーサライト」「レイントレッカー」のメンズジャケットを比較してみたいと思います。
※ピークドライシェルはユニセックス
レイントレッカー ジャケット | トレントフライヤー ジャケット | ピーク ドライシェル | バーサライト ジャケット | |
写真 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
素材 | ゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス 2レイヤー [表:20デニール・ナイロン・リップストップ] | ゴアテックス パックライトプラス ファブリクス2レイヤー[表:12デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・リップストップ] | ゴアテックス シェイクドライ™ | ゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス(防水仕様)[表:10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・リップストップ] |
耐水圧 | 30,000mm以上 | 50,000mm以上 | 50,000mm以上 | 30,000mm以上 |
透湿性 | 43,000g/m²・24hrs | 44,000g/m²・24hrs | 80,000g/m²・24hrs | 43,000g/m²・24hrs |
平均重量 | 188g | 194g | 185g | 134g |
収納サイズ | 7×7×13cm | 7×7×15cm | 7.5×7.5×15cm | 6×6×12cm |
金額 | 15,950円 | 25,080円 | 26,180円 | 16,060円 |
上記3モデルと比較して、一般的な登山やトレッキングで使いやすいのがレイントレッカーです。軽さも重視しつつ、ある程度の耐久性や快適性も欲しい人に最適なモデルといえます。
▼各モデルについての詳細はこちら
レイントレッカーで快適な山行を!
最初は安心して使えるレインウェアを買ったけど、正直結構かさばって邪魔……と思ったら、シーンに応じてより軽量でコンパクトなレインウェアと使い分けるタイミングかもしれません。レインウェアとしてもウィンドシェルとしても使えるレイントレッカーなら、晴れ予報の日にザックに忍ばせておくにもぴったりです。軽くて柔らかなレイントレッカーで、晴れの日も雨の日もより快適に歩いてみませんか。