可憐なキキョウの高山種!山肌を爽やかな青紫に染め上げる「イワギキョウ」を見つけに行こう!
爽やかな色合いと、大きな花弁で人気の「イワギキョウ」。厳しい高山の中でも、健気に花を咲かせる姿が登山者を魅了します。今回はそんな「イワギキョウ」の特徴や見分け方、代表的な生息地をご紹介します。
2022/02/10 作成
編集者
YAMA HACK編集部
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ライター
TAKESHI
登山歴12年。家族の影響で登山の魅力を知り、100名山を中心に登ってきました。学生時代には剱岳の剣山荘にて住み込みの勤務も経験。雪山登山も始めるべく、神奈川県山岳連盟主催の講習を受講して谷川岳や富士山にもチャレンジしてきました。上高地徳沢周辺の雰囲気が大好きで、オールシーズン制覇を目指してます!
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アイキャッチ画像出典:PIXTA(山肌に咲くイワベンケイ)
ご存知「キキョウ(桔梗)」の高山種

出典:PIXTA(岩間に咲くイワギキョウ)
イワギキョウは「キキョウ科 ホタルブクロ属」の植物。
「キキョウ(桔梗)」といえば秋の七草としても有名な植物ですが、「イワギキョウ」はその高山種です。漢字で書くと「岩桔梗」で、その名の通り高山の岩場や砂礫地(されきち)を中心に生息しています。

出典:PIXTA(左:イワギキョウ、右:キキョウ)
キキョウの背丈が15~150cmほどに比べると、イワギキョウは3.5-10cmほどと小さめ。
ただその背丈の割には大きな花を咲かせ、荒涼とした岩場に爽やかな彩りを加えてくれるため、登山者からも人気の高い植物です。
ラテン語で「小さなベル」の学名

出典:PIXTA(上向きに咲くイワベンケイ)
イワギキョウの魅力といえば、なんと言ってもその可愛らしい「花」。開花時季は7-8月頃で、5つに分かれた、鮮やかな青紫色の花を横向きに咲かせます。
学名はラテン語で「Campanula lasiocarpa Cham」といい、Campanula(カンパニュラ)は「小さなベル」の意味。その学名通り釣鐘型のベルのような形をしています。

出典:PIXTA(左:イワギキョウ、右:キキョウ)
ちなみにキキョウは星形に広がって花開くため、花の形の点でも少し特徴が異なっていますね。
へら状でギザギザのある葉

出典:PIXTA(左:イワギキョウ、右:キキョウ)
イワギキョウの葉は1.5~5cmほどで、細くへら状の形。葉の周りにはギザギザとした鋸歯があります。
キキョウの葉にも同じく鋸歯がありますが、イワギキョウのほうが幅の狭い葉を持っています。
風に負けない!「風衝地」でも育つ強い植物

出典:PIXTA(風衝地に咲くイワギキョウ)
高山の尾根や森林限界あたりで、上の写真のような場所を見たことないでしょうか?
ここは常に強い風が吹き続ける「風衝地(ふうしょうち)」というエリア。強風が吹き付けるゆえ岩肌が露出し、動物はもちろん、植物にとっても生息が難しい場所です。
そんな風衝地でも力強く自生するのが今回のイワギキョウ。はかなげな見た目とは裏腹に、実はタフな植物でもあるんです。
過酷な環境でも根をはり、健気に花を咲かせるイワギキョウはより一層きれいに見えるかもしれませんね。
「キキョウ」は絶滅危惧Ⅱ類に指定