必要なのはわかるけど……謎の記入項目が多過ぎる「登山計画書」
安全登山のために必要な準備、あなたは何をしていますか?
ざっと考えてみるだけでも、
*手続系:山岳保険への加入・ココヘリへの加入・登山計画書の提出
*装備系:ヘッドランプ・地図&コンパス・ツエルトやエマージェンシーシートの携行
*行動系:地図&コンパス・GPSアプリを使った現在地と目的地のこまめな確認
などが挙げられます。
この中でも、初心者にとってハードルが高いのが登山計画書ではありませんか?
一般的には登山届とも呼ばれるこの書類。様々な記入項目の中には、何をどう記入したら良いかクエスチョンマークが脳内で点灯してしまうものもありますよね。
とはいえ、記入&提出を怠る訳にはいかない重要な書類でもあります。
登山計画書の提出が義務化される流れが加速……中には罰則も!?
冬期の剱岳(富山県)や谷川岳・一ノ倉沢(群馬県)など危険度が極めて高い山域では、1960年代から登山計画書の提出が県の条例によって義務化されてきました。
この登山計画書提出の義務化が一気に加速したきっかけが2014年の木曽御嶽山噴火。被災者の多くが登山計画書を提出していなかったために、捜索活動がさらに困難になりました。
2024年現在、日本一の山岳県である長野県をはじめ、山梨県・群馬県・新潟県・富山県・・岐阜県・福井県・石川県などが県内の主要な山もしくは特定の山域で、登山計画書の提出を条例によって義務化しています。
なかには未提出の場合には罰則として過料(罰金)を設けている県も。もちろんこれは、登山計画書未提出の登山者による遭難事故と救助要請の増加が背景にあります。
もしも遭難してせっかく救助されても、そして救助費用が山岳保険で補償されても、罰金はあくまでも自己負担。そこで今回は登山計画書を記入する際の疑問を解消し、欠かさず提出できるようになるための知識をご紹介します。
登山計画書の困った事例って?警察の人に聞いてみた
まずは登山計画書の実態について、捜索・救助活動にあたる警察の人に聞いてみました。
お話を伺ったのは初心者も多い富士山から上級者向けの山まで幅広い山域を管轄する、山梨県警察本部生活安全部地域課の山岳警備安全対策隊隊長・細田茂樹警視(2021年取材当時の肩書)です。


こうしたケースでは、
・登山口のポスト
・保管先の県
・電信申請システム「コンパス〜山と自然ネットワーク〜(※後述)」など
を並行して登山計画書を探さなければいけません。


本人からの通報でない場合は、メールで家族に送られてきた山頂での記念写真を見て、その場所を通過した時刻から現在地を推測。
写真に映っていた登山者のザックの色・服装などを頼りに捜索することもありますよ。


記入項目が不十分で、役に立たない登山計画書もまだまだあるのが現実ですね。

まずこれだけは絶対に記入!基本となる5項目
都道府県によっても様々な書式がある登山計画書ですが、必ずこの書式を使用しなければいけない訳ではありません。
また、全員が同じスケジュールで行動するパーティー(グループ)で登山する場合は、1パーティーにつき1つの登山計画書を提出すればOK。
ただし、どんな書式であっても共通して記載が必要なのが、これから紹介する5項目です。
長野県の登山計画書を例に、それぞれの項目を記入する理由と一緒にチェックしていきましょう。