登山中にまさかの転倒! 同時に足首を痛めてしまった
どれだけ注意していても、山でケガは起きるもの。とくに多いと言われているのが下山中の足首の捻挫で、このケガで行動不能に陥り、救助を要請、なんてこともあり得ます。
そこで覚えておきたいのがテーピングや三角巾を使った固定方法。症状の程度にもよりますが、軽度の捻挫であれば、患部の炎症を抑えつつ下山できる場合があります。
そこで今回は、東京都山岳連盟主催の講習会でテーピング実習の講師をしている医療マッサージ研究所の岡田智一さんに、軽度の捻挫に効果的なテーピングによる足首の固定方法を教えていただきました。
「軽度の捻挫」ってどんな症状?
ちなみに、今回の記事では以下のような状態を「軽度の捻挫」と呼ぶこととします。
・内出血がない
・痛みが小さく、自力で歩ける
・負傷部位など関節が変形していない
・骨が飛び出しているといった骨折も見られない
もし、ひとつでも当てはまらない項目がある場合は、消毒や止血、足を高く上げて患部を冷やすなど、テーピングや三角巾を使う固定とは別の応急処置が必要です。
また、登山中に足首をひねった場合、捻挫と思っていても骨折していることもあり、山の中で正しく判断することは医師であっても難しいと言われています。無事に自力下山できても痛みがなくならないようなら、迷わず病院へ行き、医師の診断を受けましょう。
足首の固定には「テーピング」と「三角巾」どっちがいいの?
捻挫した足首を固定する「テーピング」と「三角巾」。テーピングの巻き方を学ぶ前に、それぞれの違いも確認しておきましょう。いずれもメリットとデメリットがあるので、それぞれを理解して臨機応変に使い分けることが重要です。
【テーピング】
メリット:三角巾より固定力が強い。
デメリット:靴の脱ぎ履きに時間を要する。長時間歩くとテーピングが緩んでくる。
【三角巾】
メリット:靴の上から巻けるので簡易。途中で緩んだら締め直すこともできる。
デメリット:固定力はテーピングより弱い。
テーピングを巻いてから靴を履き、それでもまだ不安があれば、三角巾を組み合わせると良いでしょう。

▼三角巾を使った固定方法はこちらをチェック
応急処置の前に行うべき3つの行動
実際に山道で足首をひねった場合は、テーピングで固定しよう!と真っ先に考えたくなるかもしれませんが、実は身の安全を守ることの方が先決です。これはすべてのケガに当てはまること。
応急処置の方法を学ぶ前に、現場で行うべき行動をきちんと把握しましょう。
①落ち着く
万が一ケガをしたら、突然の事態に気が動転しているかもしれません。まずは大きく深呼吸して、気持ちを落ち着かせてから冷静になりましょう。
②安全な場所へ移動する
平常心を取り戻したら、周囲の状況を確認します。もし、いまいる場所が急斜面や崩落地、もしくは崖の下で落石の危険があるといった場合は、安全な場所へ移動しましょう。
③負傷箇所を確認する
安全な場所へ移動したら、負傷箇所を確認します。このとき冒頭で述べた「軽度の捻挫」と考えられる場合は、負傷箇所を固定して自力下山を試みます。症状がひどい場合は救助要請を検討しましょう。
練習必須! テーピングでの固定方法
足首の捻挫は、どこの靭帯を痛めたかによって固定の仕方が異なります。今回紹介するのは、登山中の捻挫で多いと言われている「内反し捻挫(足首を内側にひねってしまう捻挫)」を想定した方法です。
▼内反し捻挫について詳しく知りたい人はこちら
内反し捻挫以外のプロセスで足首をひねった場合、ここで紹介する固定方法を行うと、負傷箇所の症状が悪化することもあるので要注意。より専門的な知識は、講習会などに参加して習得するのがオススメです。
それでは、テーピングによる内反し捻挫の固定方法を説明します。
使うのは「38mm幅」のテーピングテープ。はじめに動画を見て、手順のイメージをつかみましょう。
それでは、手順ごとに画像で細かくポイントをみていきましょう。