今や、メスティン戦国時代
こんにちは、アウトドアライターの大城です。2019年に大ブームを巻き起こしたメスティン。
誰もが簡単においしく炊飯をできるこの画期的なアウトドアギアは、今やキャンプ料理アイテムの頂点を獲るかの人気商品に上り詰めました。
主要アウトドアメーカーはもちろんのこと、今日では身近な家具メーカーや日用品店からもメスティンが発売されるほどに。これを”メスティン戦国時代”と呼ばずして、なんと呼びましょうか。
今回は群雄割拠のメスティン界から、編集部が気になるものを6つピックアップ。それぞれのサイズや特徴を観察し、実際に炊飯をしてみました。
「見た目や機能性もほぼ同じじゃない?」と思っていたメスティンですが、それぞれをよく観察して、使ってみると、思いがけぬ発見が!
メスティンデビューの方、そろそろ2つ目が欲しくなってしまった方。この調査があなたにとって最高のメスティンと出会うきっかけになれば幸いです。
今回検証するメスティン6種
メスティンはアルミ製で直方体のクッカー。簡単にお米を炊けるほか、煮る・蒸す・燻すなどさまざまな調理も可能にする万能型アウトドア調理アイテムです。
今回は老舗アウトドアメーカーからニトリ、ダイソーまで、幅広いメーカーのメスティンをセレクトしました。
メーカー・商品名 | 参考価格 | |
---|---|---|
① | トランギア(trangia)メスティン | 2,750円 |
② | ミリキャンプ(MiliCamp) メスティン | 2,380円 |
③ | ロゴス(LOGOS) メスキット | 2,970円 |
④ | ニトリ メスティン750 | 1,290円 |
⑤ | ダイソー メスティン | 500円 |
⑥ | スリーコインズ メスティン | 1,000円 |
まずはこの6つのメスティンについて紹介します。
①トランギア(trangia) メスティン
メスティンブームの火付け役にもなったトランギア製のメスティンです。スウェーデン発のトランギアメスティンは多くのハイカーが憧れるモデルのひとつでしょう。
通常サイズとラージサイズの2サイズ展開となっており、同社製のメスティングッズも数多く発売されています。
トランギア製は熱伝導率の高いアルミでできていることから、ふっくらとお米を炊くことができるといいます。実際に手に持ってみると全体がかなり薄く作られており、全体重量も軽く感じました。
②ミリキャンプ(MiliCamp) メスティン
MiliCamp(ミリキャンプ)は中国発のアウトドアメーカーです。後発製品ながら手の届きやすい価格帯で、使いやすいメスティンとネットでも評判のようです。
しかしネットの販売サイトにはさまざまな情報が載っており、中には「バリ取り不要、シーズニング不要」の言葉も。実際のところはどうなっているのか、今回実物を観察してみます。
③ロゴス(LOGOS) メスキット
アウトドア量販店でも多く見かける老舗メーカーロゴスのメスティンは、「メスキット」という名で販売されています。名称が若干違う通り、商品の作りも一般的なメスティンとは若干異なる様子。
一般的なメスティンを上からプレスしたように平たい形状をしています。また蓋には取っ手が付属していたり、焦げ付きを防ぐため予めアルマイト加工がされていたりと、独自の工夫が光るアイテムです。
④ニトリ メスティン750
さてここからアウトドアメーカー以外のメスティンとなります。
巷で噂になっているひとつ、「お!値段以上」ことニトリ製のメスティンです。ロゴスのメスキットと同様、本体および蓋はアルマイト加工が施されています。
最大の特長はメスティン側面に目盛りが刻印されている点です。また本体に炊飯方法が載ったレシピが同梱されていることから、アウトドア初心者の使用を想定したアイテムなのかもしれません。
⑤ダイソー メスティン
こちらも巷をざわつかせたメスティンのひとつ。100円ショップ大手DAISOのメスティンです。販売価格は500円。ぶっちぎりの安価で、世の中のアウトドアファンの注目を集めました。
サイズは他メスティンより小さく、容量も500ml程度(容量については詳しく後述)となっています。
また別売りのメスティン用網(100円)と組み合わせることにより、蒸し料理や燻し料理も可能となります。
⑥スリーコインズ メスティン
300〜1500円の低価格帯で衣食住にまつわる日用品を幅広く扱う300coins(スリーコインズ)からもメスティンの登場です。
サイズはダイソーメスティンと同じく小さめで、黒い塗装のされた蓋が特徴です。価格は1000円ですが、専用網と収納用袋がセットとなっています。
サイズや容量、重さ…基本スペックを調査
まずは今回ピックアップした6種メスティンのスペックを確認していきます。
①寸法・容量
②総重量
の2つの視点より各メスティンを観察してみましょう。
①寸法と容量
寸法 | 最大容量 | |
①トランギア | 17×9.5×6.2cm | 750ml |
②ミリキャンプ | 16.5×9.5×6.5cm | 800ml |
③ロゴス | 17.5×11.5×5.5cm | 1000ml |
④ニトリ | 16×9×6cm | 850ml |
⑤ダイソー | 15×8×5 | 500ml |
⑥スリーコインズ | 15×8×5 | 500ml |
総重量
登山者なら誰もが気になる重量の実測値を出してみました。
総重量(実測値) | |
①トランギア | 153g |
②ミリキャンプ | 165g |
③ロゴス | 231g |
④ニトリ | 203g |
⑤ダイソー | 125g |
⑥スリーコインズ | 129g |
「重さ/容量」で見えた”ウルトラライトメスティン”って?
「重さ/容量」値(小数点第4位以下、切り捨て) | |
①トランギア | 0.204 |
②ミリキャンプ | 0.206 |
③ロゴス | 0.231 |
④ニトリ | 0.238 |
⑤ダイソー | 0.25 |
⑥スリーコインズ | 0.258 |
ということで、最も運搬効率の良いメスティンはトランギア製メスティンだということが判明しました。
しかし他製品もかなり健闘しており、その差は微細。購入時に検討するひとつの指標として、参考程度にご覧くださいね。
蓋の外れにくさは明暗がはっきり
基本的なサイズ・寸法以外にも、メスティンの使い勝手を考えた上で大切なのが蓋の外れにくさです。
炊飯時の蓋が浮き上がり・吹きこぼれ多くのメスティンで起こりうる現象です。蓋が本体と密閉し外れにくければ、浮き上がり等は防ぐことができます。
今回集めた6種類のメスティンの中で、最も蓋が外れなかったのはまたもトランギア製メスティンでした。まるでラップをかけたかのような密閉で、蓋だけ持って持ち上げても本体が外れ落ちることはありません。
また蓋が外れやすかったのは、ダイソーとスリーコインズのメスティンでした。
バリ取り&シーズニング。中には不要なメスティンも?
新しいメスティンの通過儀礼として推奨されている工程に、「バリ取り」と「シーズニング」があります。両者とも使い勝手を向上させるための作業ですが、簡略化できればこれ以上手軽なことはありません。
それぞれバリ取りとシーズニングが必要か、初期状態の様子を観察しました。
メスティン各種のバリの状態
状態 | 処理 | |
①トランギア | 本体・蓋のカーブ外側に若干の引っかかりあり | バリ取り実施 |
②ミリキャンプ | 本体・蓋のカーブ外側に若干の引っかかりあり | バリ取り実施 |
③ロゴス | 本体フチは処理済み/蓋のバリも気にならず | 特にせず |
④ニトリ | 蓋に若干の引っかかりあり | バリ取り実施 |
⑤ダイソー | 本体・蓋のカーブ外側に若干の引っかかりあり | バリ取り実施 |
⑥スリーコインズ | 本体・蓋のカーブ外側に若干の引っかかりあり | バリ取り実施 |

本体フチは外側に折り込む形で処理をしてあるため、バリ取りなどの加工は不要。蓋もバリ取りをせずとも使えるほど、フチの仕上がりも滑らかでした。
シーズニングについて
シーズニングは表面に保護膜を作ることで焦げ付きを防止する加工方法。必要なのは米の研ぎ汁と大鍋のみ。一般家庭でも簡単にできる処理です。
今回のメスティンで予めアルマイト加工が施されているのはロゴス製とニトリ製の2つ。アルマイト加工とは人工的に酸化皮膜を生成させる表面処理で、防錆効果を期待できます。
そのためアルマイト加工処理後の2点を除いた4点は、シーズニングする必要があります。
楽に使い始められるのはロゴス製かも
調査の結果、バリ取り・シーズニングの両者が不要だったのがロゴス製メスキット。より気軽に使い始めたい方にとってはぴったりのメスティンかもしれませんね。
一方で、これらの処理を自分で行うのもまた一興。バリ取り・シーズニングをこの手でしたい方は、あえて一般的なメスティンを選ぶのも手ですよ。
1番おいしい米が炊けるのはどれ?炊飯選手権開催!
さて、メスティン調理の本番、炊飯のお時間がやってきました。同一条件でそれぞれのメスティンの炊飯機能を調査してみます。
<今回の調査条件>
使用する米:十分に浸水させた米1合(180cc)
水量:メスティンのリベット部分(取っ手の金具)の中心まで。(メスティンで測量不可の場合は200ccを注水)
火器:台所コンロ、中火にて統一
加熱時間:15分
蒸らし時間:10分
ここでダイソー、スリーコインズで問題発生かも?
メスティンの特長のひとつに、水分量を計測せずとも炊飯できるという点があります。通常ならば米を入れた状態でリベットの中心部まで水を注げばOKですが、ここでダイソー製・スリーコインズ製のメスティンで問題が発生!
他メスティンよりも一回り小さいということもあり、米がリベットを隠してしまっているのです。そのため計量カップで別途200ccを計り注水することとなりました。
この点において、ダイソー製・スリーコインズ製はメスティンの大きな利点を削いでしまっているかもしれません。
蓋の浮き、吹きこぼれの有無がハッキリと
セッティングが完了すれば、いざ炊飯の開始です。前半に加熱したのはロゴス・ミリキャンプ・トランギアの3つ。
最初に動きを見せたのはロゴスのメスキット。加熱開始5分で蓋が浮き始めました。さらに7分経過の時点でミリキャンプ製から微量の吹きこぼれが始まります。
一方、微動だにしないのがトランギア製です。最終的にロゴス製へは重しを乗せ、それ以外は放置で15分の加熱の完了です。
後半3つは、スリーコインズ・ダイソー・ニトリのメスティンです。
加熱開始5分のほぼ同タイミングで、ダイソー製・スリーコインズ製に蓋浮きと吹きこぼれが。一方でニトリ製は静かな加熱が続き、最終的に少し吹きこぼれる程度でフィニッシュ。
ダイソー製・スリーコインズ製は途中で重しを乗せ、吹きこぼれながらも加熱終了しました。
いざ、炊き上がり。えっもしかして…!?
加熱後、10分程度の保温を経て炊飯の全行程が完了しました。さて果たして出来映えはいかがなものでしょう?
蓋をオープンすると……
\じゃーん/
蓋の浮き | 吹きこぼれ | 炊き上がり | |
①トランギア | なし | なし | 成功 |
②ミリキャンプ | なし | あり | 成功 |
③ロゴス | あり | あり | 成功 |
④ニトリ | なし | あり | 成功 |
⑤ダイソー | あり | あり | 成功 |
⑥スリーコインズ | あり | あり | 成功 |
調査をしてわかった。いまのメスティンって○○だ!

運搬効率の良さ、蓋の外れにくさ、吹きこぼれることのない炊飯、どれをとっても100点満点でした。
これからメスティンデビューをする方や最高の一品を探している方にとってぴったりのメスティンでしょう。
一方、ロゴス製・ミリキャンプ製もアウトドアギアとして申し分なく、テント泊の山行にもぴったりの調理器具でしょう。またニトリ製もアウトドアメーカーのメスティンに引けを取らない高品質でした。
ダイソー製・スリーコインズ製はコンパクトサイズゆえの悩みこそありましたが、やはりリーズナブルな値段が魅力的です。
炊飯時に別途水の計量が必要になるものの、炊き上がりの出来は一流メーカーに肩を並べるほど。さらに専用網と組み合わせれば、気軽に蒸しや燻しなど調理方法の幅も広げることができます。
考え方を変えれば、この2社の製品はメスティンの扱い方に慣れた上級者向けの商品かもしれません。
今なお人気の衰えないメスティンは、山ごはんにとって最高の調理器具です。あなたに今必要なメスティンはどの子でしたか?
お気に入りのメスティンと素敵な登山を楽しんでくださいね。
今回紹介したメスティン
トランギア メスティン TR-210
重量 | 150g |
---|---|
サイズ | 17×9.5×6.2cm |
容量 | 750mℓ |
素材 | アルミ製(無垢) |
炊はんの目安 | 約1.8合まで |
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ミリキャンプ メスティン(ラージサイズ)
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ロゴス メスキット
重量 | 約230g |
---|---|
サイズ | 幅31.5×奥行11.5×高さ5.5cm(内寸:約幅17×奥行11×高さ5cm) |
容量 | ー |
素材 | アルミ、ステンレス |
炊はんの目安 |
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ニトリ メスティンスリーコインズ メスティン