届け!30万人 山の安心をひろげるプロジェクト 第2弾 / 希望者全員にココヘリをプレゼント 限定ステッカーももらえる! / 今すぐ申し込む
人の涙をなめにやってくる!?とにかくしつこい「メマトイ」の生態と対策

人の涙をなめにやってくる!?とにかくしつこい「メマトイ」の生態と対策

登山道を歩いている時や休憩中、なぜか目の周りをブンブン飛び回る小さな虫に遭遇したことはありませんか?とにかくしつこいのでイライラした経験をお持ちの方も多いでしょう。今回は、そんなメマトイの生態や対処方についてご紹介します。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

アイキャッチ画像撮影:西海太介(メマトイの一種)

人の涙が好物!?メマトイとは

撮影:西海太介(メマトイの一種)

山を歩いていると、顔の前、特に目の辺りをブンブン飛んでいるハエのような虫に出くわすことはありませんか?そのうるさい虫こそが、今回紹介する「メマトイ」です。メマトイの生態や、山での対策をお伝えしますので、登山時の参考にしてみてください。

コバエの一種メマトイについて

メマトイで困る人
出典:PIXTA(編集:emi)

メマトイとは、ハエ目の昆虫のうち、目の周りにまとわりつく習性があるものの総称になります。「クロメマトイ」や「マダラメマトイ」など、日本には十数種が生息しているとされ、体長は一部の大型種を除いて基本的に2mm程度の小さなハエです。

ブヨやアブのように吸血はしませんが、しつこく目の周りにまとわりつくことから、メマトイと名付けられています。
時には目の中に入ることもある、うっとおしく厄介な昆虫。

なぜ目の周りを飛び回るの?

涙イメージ
出典:PIXTA

なぜ執拗にメマトイが目の周りを飛び回るかというと、その狙いはなんと私たちの「」と言われています。
涙に含まれる栄養素には、タンパク質やミネラルをはじめ多くの養分が含まれています。彼らにとっては、涙が良いエサになるため、舐めようとして近づいてくると考えられています。

しかし、その実態は研究があまり進んでおらず、不明な点が多い虫です。1989年の日本の研究例(石川県白山自然保護センター)では、発酵バナナを使用したトラップでメマトイ類を調査したところ、「標高が低いところに多く生息し、オスのメマトイが多く捕獲された」と発表されています。

メマトイの一種
撮影:西海太介(メマトイの一種)

その後、オスが誘引された事例から、『涙に含まれる成分に「メスが出すフェロモン」に類似する成分が含まれているのではないか?』という仮説も立てられてきました。ただ実験はバナナを使用したものであるため、涙との因果関係も含めてまだまだ不明確な点が多く、真相はつかめていません。

注意!寄生虫を媒介

東洋眼虫を媒介

寄生虫イメージ
出典:PIXTA(寄生虫イメージ)

メマトイは「東洋眼虫」という線虫(寄生虫)を媒介する恐れがあります。感染率は2~4%ほどで、主にはイヌやネコ、タヌキなどの結膜嚢に寄生しますが、1957年には日本初の人体症例が報告されています。症状としては、かゆみや充血が多いのですが、飛蚊症、慢性結膜炎などを発症するケースも報告されています。

ただ、メマトイは目の前に飛んでくるので発見しやすく、その都度振り払うようにすれば、感染症を過度に恐れなくても大丈夫でしょう。

目に入ってしまたときの処置

顔を洗う
出典:PIXTA

振り払っていても、しつこいメマトイが目の中に飛び込んでしまった場合は、まず水でよく目を洗い流してください。洗い流した後、特別問題がなければそのままでも大丈夫ですが、痛みや違和感等の異常があった場合は病院へ行くことをおすすめします。

 

メマトイの生息場所と活動時期

遭遇しやすい場所

森林の渓流
出典:PIXTA

メマトイに遭遇しやすい場所としては、森林の内外や川沿いがあげられ、傾向として高地よりも低山帯に多く分布しています。また、メマトイはなぜかツヤツヤした黒光りするものに集まりやすく、目はもちろんカメラのレンズなどにも集まる習性があります。理由は解明されていないことも多く、まだ謎の多い昆虫です。

活動時期と遭遇しやすい時間帯

ハエ  イメージ
出典:PIXTA

メマトイは全国に分布しており、春から夏にかけて活発に行動します。具体的に調べられたことはほとんどありませんが、ブユのように朝晩に活動が集中するようなことは少なく、1日を通して活動している傾向がみられるため、登山道で遭遇する機会も多いでしょう。

 

メマトイの撃退法

しつこいメマトイを、寄せつけない方法をいくつかご紹介します。ただし、目が対象のため直接スプレーするわけにいかないので、「カ」に対する虫よけスプレーと同等の効果を期待するのは難しいでしょう。

ハッカ油

メマトイ対策のひとつとして、ハッカ油をスプレーする方法があります。肩や帽子のツバの裏辺りにスプレーすることで、香り成分を利用してメマトイを避ける効果が期待できるかもしれません。
(ただし、香り成分による虫よけは、メマトイを含むハエ類に対する効果として知られるものなので、メマトイそのものに対して、大きく効果を示せるのかどうかは定かになっていません。効いたとしても、効果は長くは続かないので、マメにスプレーする必要があるでしょう。)

    健栄製薬 天然ハッカ油 スプレー式 10ml

    成分1ml中ハッカ油1ml含有(メントールとして30%以上含有)
    *原液をそのまま皮ふに使用しないでください。
    内容量10mL


    <ハッカ油スプレーの作り方>

    ・ハッカ油(3〜5滴程度)
    ・精製水(90mL)
    ・無水エタノール(10mL)
    ・スプレー容器
    *最初にエタノールとハッカ油を容器に入れて混ぜ、馴染ませてから精製水を加えてください。
    *ハッカ油(エッセンシャルオイル)は刺激が強いので、少量から始めて調整してください。

    防虫シール

    虫の嫌がる天然成分を配合した、シールタイプの防虫剤になります。帽子のツバや肩など、顔の近くに貼り付けることでメマトイを寄せ付けない効果が期待できます。シールタイプなので、かさばらず軽量のため持ち運びにも便利。

      アース製薬 虫よけパッチα シールタイプ 72枚入

      成分レモンユーカリオイル、植物由来精油
      *香りは約12時間持続
      容量72枚
      使用枚数4〜6枚

      防虫スプレー

      虫除けスプレーの中でも、天然成分100%でできているスプレーがおすすめ。虫の苦手な香りがする、ティーツリー、ペパーミントなどの精油がブレンドされています。肌に触れても大丈夫な成分なので、安心してメマトイ対策としても活用できます。

        パーフェクトポーション アウトドアボディスプレー

        容量50ml
        種類エキストラ/ハッカ
        生産国オーストラリア
         

        メマトイに遭遇した際の対策

        事前に虫除け等で対策してもなお、メマトイがまとわりついてくる場合もあるでしょう。そんな時の対策としてサングラスや防虫ネットを着用してみてはいかがですか。

        メガネやサングラスを着用

        サングラス
        出典:PIXTA

        裸眼でいると、メマトイの接近に無防備なので、あまりにしつこい時にはメガネやサングラスの使用も効果があります。
        ただ、メマトイは黒光りするものに集まる習性があるので、サングラスをしていても近寄ってくる可能性もありますが、直接目に入ることは予防できます。

        防虫ネット

        すっぽり顔を覆うことができる、防虫ネットもメマトイ対策として有効です。帽子の上からすっぽりかぶるだけなので簡単。軽量なので、ザックの中に装備しておくと、メマトイはもちろんアブやハチなどの対策にも役立つでしょう。ただ、ネットで視界が見えづらくなる場合もありますので、足場が悪い場所などでは要注意!必要に応じて着脱をするとよいでしょう。

        メマトイ対策で快適な登山を

        登山者
        出典:PIXTA
        私たちの目の前をうるさく飛び回るメマトイ、本当にうざったいですよね。最悪目の中に飛び込まれたりしたら、楽しい登山も苦い思い出になりかねません。ご紹介したメマトイ対策を実践して、快適な登山ライフを満喫しましょう!
        \教えてくれた専門家/
        セルズ研究所 西海氏
        一社)セルズ環境教育デザイン研究所|西海太介氏

         

        神奈川県横浜市生まれ。

        『危険生物対策』や『アカデミックな自然教育』を専門とする生物学習指導者。
        昆虫学を玉川大学農学部で学んだ後、高尾ビジターセンターや横須賀2公園での自然解説員経験を経て、2015年「セルズ環境教育デザイン研究所」を創業。
        現在、危険生物のリスクマネジメントをはじめとした指導者養成、小中学生向けの「生物学研究コース」などの専門講座を開講するほか、メディア出演や執筆・監修、中華人民共和国内の自然学校の指導者養成を行うなど幅広く携わる。
        監修書籍にすごく危険な毒せいぶつ図鑑(世界文化社)。
        著書に、身近にあふれる危険な生き物が3時間でわかる本(明日香出版社)など。

        この記事を読んでいる人にはこちらもおすすめ