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緊急事態発生!その日に帰れない時どうする?絶対に知っておきたい「ビバーク」の方法(2ページ目)

ツェルトビバークの方法 4パターン

①ポールと細引きを使って立てる

ビバークの方法

撮影:筆者(右側の支柱はトレッキングポールで、左側の支柱は木の枝を加工して作った)

一般的に紹介されることの多い張り方。
ポールはツェルト専用のものも売られていますが、それにしか使えません。トレッキングポールを流用したり、樹林帯では木の枝を加工して作ることもできます。

②張ったロープに吊り下げる

ロープとツェルト

撮影:筆者

細引きに吊り下げて張ると、ポールを使って立てるよりも格段に楽に立てられ、しかも安定感も増します。ロープを使う登山の場合にはそのロープがそのまま役に立ちます。ただし、ロープワークには慣れている必要があります。

③横倒しに張る

ツェルトと寝そべる筆者

撮影:筆者

3人以上のとき、風や雨の影響があまり大きくないときにはこのような張り方の方が広く使えてよいでしょう。

モデルにもよりますが、写真のように、ツェルトの短辺方向でも大人が十分に横になれる長さがあるものもあります。あらかじめつけておいた張り綱やロープを使って吊り下げ、衣服とツェルトが接しないようにしましょう。

④かぶる

ツェルトをかぶる

撮影:筆者

しゃがんで傘をさす筆者

撮影:筆者(ツェルトの中でカサをさすと、生地と

例えば雨風が強いなど、ツェルトを立てられる状況でないときは、頭からかぶります。

この際、写真のようにツェルトの中で傘をさしたり木から吊したりすると、ツェルトの生地が体と接するのを防げるので、雨や露に濡れるのを最小限にできます。

ビバーク応用編

ビバークというとツェルトを使うというイメージがありそうですが、自然の中には使えるものがたくさんあります。

岩小屋(岩屋、洞穴)

岩小屋

撮影:筆者(甲斐駒ヶ岳黒戸尾根八合目の岩小屋)

洞窟

撮影:筆者(長野県の里山にある洞穴)

岩の多い山では、岩の比較的弱い部分が雨や風や寒暖差などによって浸食され、岩が折り重なっていたり、中に空洞ができたりして雨風がしのげる空間ができていることがあります。

ブッシュクラフト

ブッシュクラフト

撮影:筆者(左:シェルター外観、右:入口部に座ってみた)

樹林帯で木の枝が豊富にあれば、それらを使って仮の宿を作るのもよいでしょう。

写真では、立木に枯れ枝を立てかけ、間に細かい枝を噛ませ、そこに落ち葉をかぶせました。さらに枝を立てかけてロープで固定すると、落ち葉も飛ばず、屋根を維持できます。

雪洞やイグルー

雪洞

撮影:筆者(筆者の掘った雪洞)

冬や春で、雪が概ね1.5m以上積もっていれば、雪洞を掘るのもよいです。外がどんなに荒れていても気づかずに熟睡できてしまうくらい、雪洞は快適です。慣れれば一人分を1時間ほどで掘れます。

イグルー

撮影:筆者(イグルー名人作の雪洞。わかりやすいように雪ブロックを積んだだけの状態を撮影した。実際にはこの後で隙間を小さなブロックで埋めていく。)

また、雪をブロックで切り出せるようなら積み重ねてイグルーを作るのもよいです。雪洞と違って積雪深に関係なく雪が締まっていれば良いという利点があります。

こちらは作り方に少々コツが必要で慣れるのに時間もかかりますが、雪の扱いに慣れている方なら練習すれば1時間ほどでできるようになります。

雪の多い山域に行かれる方は練習しておくといざという時に役に立ちますし、いつでも作れる自信がつけば、テントを持たずに済むので軽量化にも役立ちます。

雪洞の作り方についてはこちらの記事を確認

住処ができたら居心地を良くしよう

非常食を食べる

非常食

撮影:筆者

心身が疲れていても喉を通りやすく食べやすいものを持ちましょう。お茶やスープの素もあるとよりよいですね。

暖をとる(焚き火をする)

焚き火

撮影:筆者(雪の上でも太めの木作った土台の上で焚き火をすることができる。今回は撮影のため、安全な状態を確認の上行っております)

寒い夜をなんとかやり過ごすために火は大事です。しかしバーナーを持っていたとしても燃料には限りがあります。

焚火は基本的に法令により禁止されていますが、緊急時に限っては緊急避難として認められます。山火事にならないように最大限の注意を払いながら、節度を守って焚き火をしてしのぎましょう。火の粉が飛んでくると化学繊維の衣服には穴が空いてしまうのでお気をつけて。

山火事を防ぐために、体力や精神力の許す限り、以下のことに気をつけてください。

・燃えやすい落ち葉や枯れ草などをあらかじめよける。
・立ち去る際にはできる限り最後まで燃やす。
・燃え残りは水をかけたり、土をかけたり混ぜたりしておく。

※焚火はあくまでも緊急時の例です。基本的には、軽犯罪法、消防法及び関連法令、廃棄物処理法、自然公園法、自然環境保全法などさまざまな法律で禁止されているのでご注意ください。

有り物を駆使して寝る体勢を整える

エマージェンシーシートに包まる筆者

撮影:筆者(見やすいようにツェルトの中には入っていません)

非常食を食べて温かい飲み物を飲んで落ち着いたら、いよいよ本格的に一夜を過ごす態勢に入りましょう。

地面と体が直に接していると体温を奪われやすくなるので、寝転がるにしても座っているにしても、ザックを敷くとよいです。

その上で、着込めるものをありったけ着込んで、サバイバルシートがあればくるまりましょう。耐熱容器があれば、湯たんぽを作って懐に抱えておきましょう。とても暖かいです。

ビバークしないで済むために

登山者たち

撮影:筆者

ビバークしないで済むには、当たり前ですが計画通りに歩けばよいわけです。つまりは「自分の身の丈に合った計画を立て、アクシデントなく歩く」ということです。

予定が狂ってしまうようなアクシデントとは、怪我、道迷い、疲労(バテ)などが主なものでしょう。
これらを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

・余裕を持った計画を立てる
・ルート中のリスクを予め予測する

・丁寧に歩く
・時間をしっかり管理する
・現在地確認とルートファインディングを確実に行う

どれも細かなことですが、それが大事です。

細かなことをひとつひとつ大事にこなせない人、面倒くさくなってしまってこなす余裕のない人は、遭難のリスクを知らず知らずに高めてしまいます。自分を客観視する視点を常に持ち、意識して気をつけて行きましょう。

いざという時のために練習しておこう!

ビバーク

撮影:筆者

ビバークの方法は知っているだけでも知らないよりはだいぶましですが、実際にビバークしなくてはならなくなったときに初めてのことは思い通りにできずに不安がよけいに募るものです。

まずは、いつでも中断して帰れるところでビバークの練習をしてみましょう。不安だったら山仲間を誘ってやってみるのもよいですね。一度やったことがあれば、ぶっつけ本番よりもかなり精神的に余裕ができます。

「ビバークの体勢を整えるまでにこれだけの時間と体力が必要だから、これだけ前にはビバークを決断する必要がある」とか、「一夜越すとなると、防寒着は最低でもこれくらいないと死んでしまう」とか、気づくこともたくさんあるでしょう。基本の型に慣れてきたら、キャンプを楽しむつもりで色々なパターンに挑戦してみましょう。

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