山での快眠に足りないもの……それは「枕」かも?!

山で宿泊するみなさん、快適に眠れていますか?
テント泊においてシュラフやマットといったスリーピングアイテムは必需品ですが、「枕」についてはどうでしょう? なるべく荷物を増やしたくない登山では、ザックや防寒着を代用品として済ませてしまったり、ガマンして枕なしで寝るというひともいるかもしれません。
「携帯枕」で睡眠の質を上げよう!

なくても寝られるけれど、あると眠りの質をグッと上げてくれるアイテムが「携帯枕」。テント泊だけでなく、山小屋でも寝心地のいい「マイ枕」があると安心!
普段と違う環境で眠りづらい、浅い眠りになってしまう……など山での睡眠にお悩みのひとへ、ぜひ提案したいスリーピングアイテムです。
「登山に適した枕」にはどんなものがある?
登山向きの枕と、普段家で使用する枕との大きな違いは「軽さ」と「収納性」。そしてもちろん「寝心地の良さ」も求められます。
さまざまな種類の枕から、登山やキャンプなどアウトドアシーンで使われるタイプの特徴を見てみましょう。
登山向きの枕種類紹介

■エアータイプ(空気注入式)
コンパクトに収納でき、軽量さにすぐれた商品が多いエアータイプ。空気を入れる量により高さや硬さの調整が簡単にできます。使用中は空気抜けやパンクに注意が必要。
■セルフインフレータブルタイプ(自動膨張式)
エアーとスポンジを組み合わせ、バルブをゆるめると自動でふくらむ楽々タイプ。ふくらみが足りないときは空気を入れて調整します。エアータイプに比べると重く、かさばるものが多い。
■ウレタンタイプ(中にスポンジが入っている)
スポンジが大きく広がるので口でふくらませるタイプが苦手な方も安心して使えます。パンクや空気もれの心配もなく、フィット感や寝心地は抜群!他のタイプと比べると重く、収納時も大きめなので、登山よりもキャンプでの使用がおすすめです。
■スタッフサックタイプ(中に衣服などを詰める)
スタッフサックと肌触りのよい生地を組み合わせたタイプ。収納袋としても、衣類等を詰めて枕としても使用可能。枕の中材がない分軽量ですが、詰めるものが足りなかったり、中身により寝心地にムラが出ることもあります。
登山には「軽さ・コンパクトさ」に優れた「エアータイプ」がおすすめ!

今回は登山で使いやすいコンパクトに収納できる「エアータイプ」で、110g以下(カバー含む)の軽量枕をセレクトしました。下記の条件で選んだ枕を比べていきます。
【洗えるカバー付きで110g以下】清潔・高クッション性をもつ枕
「ブラッダー」と呼ばれる内袋を膨らまして使うエアタイプの枕。カバーを取り外して寝汗や皮脂汚れを洗えるタイプは、清潔さを保って使うことができます。またカバーがあることで、パンクの不安も軽減できるのがうれしいポイント!寝心地のよさが好評の2商品を見てみましょう。
①まるで家の枕のような寝心地が魅力!|<NEMO>フィッロエリート

フィールドでの快適性を生み出すテントや寝袋が人気のブランド<NEMO>。フィッロエリートは「エアータイプの枕は頭にフィットしにくい……」と思われる方におすすめです。
ジャージ素材を使ったカバーはしっとり、なめらかな肌触り。カバー内側に入っているプリマロフトの中綿により、より高いクッション性を生み出しています。ブラッダー中央に入ったくぼみ部分に頭が自然と収まり安定した寝心地に。

裏面には高い耐久性の生地を使い、細かいロゴプリントが滑り止めになっています。収納袋は紛失の心配がない内蔵型!カバーは取り外して洗濯ができるので、汚れを気にせずに使えます。
【気になる点】
厚みが8cmとやや薄め。高い枕が好きな方は物足りなさを感じるかも。
②すべすべorやわらか。好みの面を使い分け|<COCOON>エアーコアフッドピローウルトラライト

肌触りのよいトラベルシーツやライナーに定評のあるメーカー<COCOON>。カバーにはすべすべした触り心地のリップストップナイロン生地と、やわらかなマイクロファイバー生地を採用。どちらの面も内側には薄い中綿を組み合わせているので高いクッション性があり、好みに合わせて使い分けができます。

寝袋のフード部へのフィットしやすさが考えられた丸みのある形状も特徴的。中央部にくぼみがあり、サイドが少し盛り上がっているので、頭がスッといい位置に収まる印象。また横向き寝の際には、湾曲状の枕下部が肩にフィットします。ジッパーでカバーを取り外して洗濯可能なので、汗をかいても安心。
【気になる点】
ナイロン生地は肌触りはよいが、滑りやすい。ナイロン地を下にしてマット上で使う場合には対策が必要。ふくらました後バルブをさっと閉じるのが難しい。
【カバーなしで60g以下】軽さと寝心地も追求したコンパクト枕
カバーがない分、軽量さ・収納時のコンパクトさが光る2種類。汚れや肌触りが気になる場合は、手ぬぐいやタオル、着替えなどをカバー代わりにかぶせることで解消できます。
③超軽量45g!仰向けにも横向けにもピッタリな形状|<EXPED>Air Pillow UL/M

エアーマットやハンモックなど独自のスリーピングアイテムが揃う<EXPED>からは今回最軽量45gの枕をご紹介!でもポイントになるのは軽さだけではありません。表面にはトリコット生地に滑りにくいようハニカム模様をプリント。カバーなしでもサラサラと気持ちのよい触り心地です。

息を吹き込みやすい大きめのバルブ。付属のピンをバルブ内部の弁に挿し込むことによりスムーズな排気が可能。両サイドのタブはエアーマットと紐などで連結させられます。
サイドから見ると厚みがずいぶんと違います。この特徴的な形状が、仰向けにも横向きにも対応できるポイント。頭がずれにくいシェイプは、真ん中がへこんでいるので横向き寝の際も耳が押しつぶされず快適です。
【気になる点】
枕の薄い部分は約8cm厚とやや薄く、幅も少し狭くなるので仰向け寝する際には少し小さめに感じた。厚い方は問題なし。
④ストレスフリーの操作性で好みの高さに|<SEA TO SUMMIT>エアロウルトラライトピロー レギュラー

使い勝手のよいアウトドアアイテムが揃う<SEA TO SUMMIT>の枕は、12cmとしっかり厚みがあり高め枕がお好きな方におすすめ!こちらも60gという軽量さ。
空気の出し入れが別々にできる二重バルブは操作がとっても簡単!好みの高さに調節しやすい枕です。カーブしたデザインがいろいろな姿勢で寝た際もフィット感を高めてくれます。
表面は頭がズレにくいよう柄がプリントされており、裏面はマット上でも滑りにくい微起毛の生地が使われています。汚れが気になる場合は手洗いも可能。
【気になる点】
くぼみが浅めなので、もう少し沈み込みがあると寝やすい。裏面の起毛地に髪の毛などがくっつきやすい。
④<SEA TO SUMMIT>エアロウルトラライトピロー レギュラー
【番外編】Amazonで1500円以下!気になる格安枕の実力は?
アウトドアメーカーのものはいいけれど、やはりちょっと価格が高め。そこでAmazonで見かける格安枕。1500円以下とお手頃価格ですが、寝心地や肌触り、快適性はどうなのでしょう?実力はいかに!
⑤シンプルな機能を持つ大きな枕|<Hikenture>エアーピロー

アウトドアシーンで活躍するアイテムが揃った<Hikenture>。横幅が42cmと今回比べた枕の中では最大サイズながら、軽量コンパクトに持ち運べる枕です。サラッとした肌触りで肌への張り付きもなく寝られます。裏面は滑り止めなどは付いておらずシンプルな仕様。

バルブ内にあるボタンを押すと、空気の逆流を防ぎながら息を吹き込むことができます。
【他商品と比べて気になった点】
⑤<Hikenture>エアーピロー
使いやすさ・コンパクトさ・特長を比較!
バルブの使いやすさは?

山では疲れた状態で使うことの多い枕。空気を入れづらかったり、なかなかふくらまなかったり……なんてストレスは避けたいですよね。また、撤収時はサッと時間をかけずに片付けたいもの。
スピーディーな操作の肝となるバルブの性能を、「パンパンにふくらむまでに何回息を吹き込むのか」&「空気が抜けてぺちゃんこになるまで何秒かかるか」で比べてみました。
バルブは「出っ張っている部分を口でくわえる」(①②)と、「平べったい部分に口をつける」(③④⑤)の2種類のタイプです。
パンパンになるまでの吹き込み回数 | 平らになるまでの排気秒数 | バルブの使用感 | |
①NEMO | 3回 | 10秒 | 少ない吹き込み回数でパンパンに!バルブの操作に慣れれば吸気・排気共に楽々。 |
②COCOON | 5回 | 12秒 | 吹き込み終わりにサッとバルブをしめないと空気が抜けてしまうので少し焦る。 |
③EXPED | 4回 | 13秒 | 逆止弁で空気が抜けないのでふくらましやすい。ピンを使って排気するが、途中から抜けづらくなり時間がかかった。 →ピンの挿し具合が不十分だったようです。弁にしっかりピンを挿し込むことでスムーズな排気が可能とのこと。 |
④SEA TO SUMMIT | 4回 | 4秒 | 二重バルブのおかげで吸気・排気共にストレスなく素早くできる。特にたたむ際は一気に空気が抜けてとても簡単! |
⑤Hikenture | 7回 | 15秒 | バルブ内のボタンを押すと空気抜けせずにふくらませられる。排気には少し時間がかかった。 |
いちばん使いやすいと感じたのは④SEA TO SUMMIT。吸気・排気するバルブの段が分かれており、空気量の調節もしやすいです。平べったいバルブですが吹き込みは簡単で、空気抜きの速さもダントツ!
①NEMOのバルブは1段階伸ばしてからくわえるタイプで息を吹き込みやすく、最も少ない回数でふくらませることができるので楽に使えます。バルブの操作も簡単です。
収納時を比べると、出っ張っているタイプのバルブは少ししまいづらさを感じるかもしれませんが、それほど気になるポイントではありません。
収納サイズをナルゲンボトルと比べてみると

収納袋に入れた状態でナルゲンボトル500ml(17.5cm×6.8cm)と並べてみました。
今回はどの枕も手の平サイズに収納できるため大きな差はありませんが、その中でも際立つのは④SEA TO SUMMITのコンパクトさ!女性の握りこぶしほどのサイズになります。
③EXPEDは薄くたためるので、かさばらない収納が可能。
①NEMOは内蔵型で袋がなくなることがないので安心。
②COCOON、⑤Hikentureは大きめですが、その分袋には余裕があり入れやすさを感じました。
項目ごとにランキング&おすすめポイント
軽 さ | 価 格 | 収納 サイズ | 使用時 サイズ | 肌触り | 操作性 | |
① NEMO | ● | 〇 | ◎ | 〇 | ||
② COCOON | ● | ● | 〇 | ● | ||
③ EXPED | ◎ | 〇 | ● | |||
④ SEA TO SUMMIT | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | ||
⑤ Hikenture | ◎ | ● | ◎ |
さまざまな特徴をもつ枕たちを、項目ごとにランク付けしました。(1位=◎、2位=〇、3位=●)
眠り方や頭のフィット感、どんな枕が好みなのかは人それぞれ。どのポイントを重視するのか、枕選びの参考にしてみてください!
①肌触り&操作性のよさ、どちらもほしいひとには
NEMO フィッロエリート
重量 | 80g |
---|---|
収納サイズ | φ8×10cm |
使用時サイズ | 39×27×8cm |
素材 | ポリエステルジャージ |
②カバーを好みに合わせて使い分けたいひとには
COCOON エアーコアフッドピロー ウルトラライト
重量 | 108g |
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サイズ | 28cm×27cm |
収納時サイズ | 12cm×8cm |
③軽さ重視!いろんな向きで快適に眠りたいひとには
紹介した「AirPillow UL」は現在庫なし。現行モデルは、究極の軽量エアピロー「Ultra Pillow」。
EXPED Ultra Pillow
重量 | 最小重量:50g、最大重量:80g |
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収納サイズ | 12×5cm |
使用時サイズ | 38×27×10cm |
素材 | 20Dリサイクルストレッチポリエステル、TPUポリーテルフィルムラミネート、耐加水分解、Oeko-Tex認証 |
④軽さと使いやすさのバランスを求めるひとには
SEA TO SUMMIT エアロウルトラライトピロー レギュラー
重量 | 60g |
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収納サイズ | レギュラー=径5.5x7cm |
使用時サイズ | レギュラー=35x26x12cm |
生地 | TPUラミネート20Dポリエステルストレッチニット |
⑤お手頃価格&大きめサイズがほしいひとは
紹介した「エアーピロー」は現在庫なし。同ブランドには、他にもお手頃価格のエアーピローあり。
Hikenture® エアーピロー カバー付き
重量 | 140g |
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収納サイズ | 15×7×7cm |
使用時サイズ | 28×44.5×10cm |
素材 | ー |
枕をプラスして山でも快適に眠ろう!
安全な登山は快適な眠りから。軽量コンパクトに持ち歩ける登山向き枕なら、邪魔にもならず睡眠環境を整えることができます。しっかりと眠って疲れを取り、翌日の行動に備えましょう!