ファイントラックが創る妥協のないモノづくり

“本当のアウトドアウェアとギアを創れるのは、本気で遊べる者だけ”
そう考えるのが、2004年に神戸で創業されたアウトドアブランド<ファイントラック(finetrack)>です。「遊び手が創り手」をスローガンに、スタッフがフィールドで積み重ねてきた経験のもと、常識に捉われない発想の製品開発に挑み続けています。

同社の製品で特筆すべき点は、繊維作りから縫製にいたるまで、すべてを日本で製造していること。
昨今ではコストを抑えるために海外生産を主とするメーカーも少なくありませんが、こうした世の中のトレンドに逆行。徹底した「メイド・イン・ジャパン」のモノづくりを進めています。
ここまでして日本製にこだわる理由は、日本が世界No.1の繊維技術を有するため。日本の技術とファイントラックのフィールドから得たノウハウが組み合わさった開発体制により、過酷な山岳環境にも対応する本当に使える製品が作れる、と考えているからです。
繊維メーカーとの二人三脚により誕生した「カミノパンツ」

そんなファイントラックが掲げるミッションを形にした製品のひとつが「カミノパンツ」です。
2013年の登場以来、スタイリッシュなデザインと高い機能性で人気を博し、スリーシーズン向けのトレッキングパンツとして多くのユーザーの心を掴んできました。

カミノパンツには、薄さ約0.45mmの高密度で織り上げられたナイロン素材が採用されています。
ナイロンと聞くと登山ギアでよく使われているイメージもありますが、ストレッチ性が乏しいため、トレッキングパンツの素材としてはあまり使われることはありませんでした。
しかし、“薄くても摩擦に強い”というナイロンの特徴に目を付けたファイントラックは、日本の繊維メーカーと共同し、ストレッチするナイロンの開発を実現。両者の二人三脚により、夏でも涼しく山でタフに使えるパンツが完成しました。
より日常に溶けこみやすいデザインに進化

カミノパンツは、2022年の春に2度目のリニューアルがなされました。
今回コンセプトとされたのが「より日常に馴染みやすく」という点。カミノパンツが日常でも着用されているニーズを踏まえ、従来の“カミノパンツらしさ“をそのままに、シルエットやディテールが大胆に見直されました。
主な変更点をみてみましょう。
1)テーパードシェイプで、さらに美しく

膝から裾にかけてのシルエットがゼロから見直されています。
元々、スッキリとしたシルエットが特徴でしたが、現行モデルは太ももから裾にかけてしなやかな曲線を描き、自然なテーパードシェイプ(太ももから足首にかけて次第に細くなること)に仕上がっています。

現行モデルと旧モデルを重ねてみました。こうしてみると、現行モデルの幅が旧モデルよりも短くなっているのがわかります。
あんまり変わってないのでは?と感じる方もいるかもしれませんが、このわずかな差でも、履いたときの感覚はけっこう違いました。足まわりがスッキリしながらも、変わらぬ履き心地をうむ絶妙なサイズ感になっているようです。
登山靴のシャフトをすっぽりおおえる裾幅がグッド!
フィット感はスリムフィットとレギュラーフィットの間の感覚で、どんな体型の人でも綺麗なシルエットが出しやすいと思いました。

2)ファスナーがフラップ式に

両サイドにあるファスナー式のポケットが、ファスナー部分が見えないようにフラップでカバーされました。
スッキリした見た目がいい!
フラップにはほどよいコシがあり、旧モデルと比べ、片手でのファスナーの開閉もしやすいように感じました。

3)ロゴがパンツと同系色に

パンツとロゴの色味が同系色となり、ロゴの主張が抑えられ、より街着にも馴染みやすくなりました。
ほどよいスポーツ感がいい感じ。
下山後、そのまま履いていても違和感がなさそうです。

ここからは、実際にカミノパンツをフィールドで使ってみたレビューを紹介します。
「どんな場面でも安心して使えるパンツ」だった

今回、カミノパンツを履いて、1泊2日のテント泊で北アルプス大天井岳へ行ってきました。
序盤は長くなだらかな沢沿いの道を歩き、稜線へ向けての急登で樹林帯を抜け、テント場のある常念乗越に到着。そこから槍・穂高のパノラマが広がる雄大な稜線歩きを経て大天井岳へいたる往復距離23kmほどの道のりです。
沢沿いのゴロゴロした石歩きや、道幅の狭い崖の巻道、長くアップダウンの多い稜線歩きなど、とにかく動きやすさが求められるルートでした。
そこで感じたカミノパンツの印象をお伝えします。
ちなみに、筆者はカミノパンツを履くのは今回がはじめて。
以前から気になっていたアイテムだったので、レビューできるのを楽しみにしていました!

軽快な足取りでとにかくストレスがない

まず最初に「おっ!」と感じたのが、カミノパンツの足取りの良さです。
的確な足置きが求められる石歩きでも、スッキリした股下で足元が確認しやすく、パンツが視界をさまたげることはありませんでした。

またすごいのが、どんなにヒザを大きく曲げてもつっぱるような感覚がまったくないこと。
稜線へと向かう急登では大きな段差をいくつも越えていくのですが、脚の動きに合わせてパンツがしっかりとついてきてくれる印象があり、脚の疲れを感じさせませんでした。

この圧倒的な動きやすさを実現するのが、生地のストレッチ性と独自の立体デザインによるものです。
タテ112%・ヨコ117%の伸縮率を備えた生地は、ほどほどのノビが特徴。ストレッチの効きすぎはかえって脚の負担を大きくしてしまいますが、カミノパンツはなんとも絶妙な伸縮具合に設計されています。
また、ヒザまわりにダーツ(生地の折り込みやパターンのこと)を入れることでヒザの屈伸に対応する立体構造を実現。ヒザの前部分は狭くカーブした縫製になっており、より動きやすさを追及した設計になっています。
ここまで大きな動きでもストレスのないパンツは初めてかもしれません。
登山では些細な違和感が積み重なってダメージになっていくのですが、カミノパンツはどんな動きにも対応してくれるので、脚のストレスを大幅に軽減できました。

ナイロン生地がかなりタフ

続いて気に入ったのが、どんな場面でもガツガツ使えることです。薄手ながらも高密度に織り上げられたタフなナイロン生地は、擦れることの多い岩場やブッシュ歩きで活躍します。
今回の山行では、ハイマツの生い茂る道を進むことがありましたが、擦れによるパンツのダメージを気にせず歩きに集中することができました。それでいて薄さも兼ね備えているため、真夏の登山やクライミングなどでも積極的に使えそうです。
薄い生地ではあるのですが、いい意味で“薄さ”は感じませんでした。
ペラペラして寒い、ということはなく、生地はめちゃくちゃしっかりしています。インナーの保温性を調節することで残雪や晩秋の山でも問題なく使えるかと思います。

耐久撥水加工で小雨もへっちゃら

さらに便利なのが、生地に耐久撥水性が備わっていること。
ファイントラックがおこなったJIS規格に基づくテストでは、100回の洗濯後でも高水準の撥水度を保っており、何度使い込んでも多少の雨ならば気にせず行動できる程度の撥水性が証明されています。
登山中は降雨後で登山道に水が流れ込んでいる場所もあったのですが、そういった場面でも裾野濡れを気にせず歩くことができました。
ほかにも朝露で湿った草地を歩く時など、わざわざレインパンツを履くほどじゃないけど……なんてときにも重宝するでしょう。
細部の多彩な機能が光る

ファイントラックらしい、丁寧な製品づくりが感じられました。
まず目に付くのが、両側のももに設けられている大型のベンチレーターです。登山中は特に樹林帯の登りで熱さを感じることも多かったのですが、ファスナーを開放することで「スーッ」と熱気が逃げていくのがわかりました。
さらにこのベンチレーターが優れているのは、ファイントラックの「リンクベント®︎」に対応しているところ。同社が展開するシェルパンツなどと同じ位置にベンチレーターが備わっているので、無駄のない効率的な換気が可能となります。
右のサイドポケットには、内部に小さなコインポケットやキーチェーンループが備わっています。細かな機能ではありますが、日常使いを考えると何かと便利です。

ベルトはアタッチメントをパチっとくっつけ、少し横にずらしてロックする設計になっています。片手でも脱着しやすく、力をあまり必要としませんでした。
また、ベルトの末端はパンツに収納することも可能。だらんと垂れていると見た目もよくありませんし、引っかかって思わぬケガになる恐れもあるので、スッキリ収納できるのは嬉しいですね。
気になるサイズ感やメンテナンス方法は?
サイズ感をチェック!

筆者の体型の場合、ジャストフィットはSサイズ。Mサイズは股下に少しゆとりがある感じで、L・XLはオーバーサイズでした。
【MEN’S/サイズ表】
サイズ | 脇丈 | 股下 | ウエスト囲 | ワタリ幅 | 裾幅 |
S | 101cm | 76cm | 73cm | 33cm | 18cm |
M | 104cm | 78cm | 76cm | 34cm | 18.5cm |
L | 107cm | 80cm | 80cm | 35.5cm | 19.5cm |
XL | 111cm | 83cm | 85cm | 37cm | 20.5cm |
【WOMEN’S/サイズ表】
サイズ | 脇丈 | 股下 | ウエスト囲 | ワタリ幅 | 裾幅 |
S | 97cm | 72cm | 63cm | 30cm | 17cm |
M | 100cm | 74cm | 66cm | 31cm | 17.5cm |
L | 103cm | 76cm | 71cm | 32.5cm | 18.5cm |
また、レギュラーモデルよりも股下が5cm長いロングモデルも販売されています。
自宅で洗える?メンテナンスで気をつけるポイントは

カミノパンツは、自宅で手洗いや洗濯機を使ったメンテナンスが可能です。長く使い続けるためにも、正しい洗濯方法で、定期的な洗濯をするようにしましょう。
①柔軟剤・漂白剤の入っていない洗剤を選びましょう。
②すすぎを十分に行いましょう。洗剤の残留は機能低下の原因となります。40度程度のぬるま湯が効果的です。
③乾燥機はNG。生地が縮む可能性があるので注意です。乾燥は、風通しの良い日陰で裏返しにして吊り干しするようにしましょう。
④撥水性が弱くなった場合はアイロン掛けが効果的。アイロンを低温〜中温にセットして、やさしくゆっくり滑らせるようにアイロン掛けすると良いです。
ファイントラック オールウォッシュ
液性 | 弱アルカリ性 |
---|---|
内容量 | 420g |
用途 | 綿・麻・合成繊維用(finetrackの全てのウェアに使用可能) |
成分 | 界面活性剤(36% ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、純石けん分)、水軟化剤、安定化剤、アルカリ剤、酵素 |
finetrack独自開発の洗濯洗剤。カミノパンツの洗濯に最適!
山も街も、一着あれば幅広く活躍します

今回、カミノパンツを履いてみて「これ一着あればどんなシーンもカバーできちゃうのでは?」と感じました。
まず、スタイリッシュなシルエットなので山でも街でもかっこよく着ることができます。そこに動きやすさと高い耐久性、ベンチレーターや撥水機能など、さまざまな機能が加わることで、あらゆるシーンで重宝する極めてハイスペックなパンツに仕上がっています。
初級者から上級者まで、山でも街でも、ユーザーを満足させてくれるのは間違い無いでしょう。
・動きやすくてスタイリッシュなパンツが好き
・岩場や藪の擦れを気にせず、タフに使いたい
・長く使い続けられるパンツが欲しい
・日常使いもしたい
という人にピッタリな一着。
どんなシーンでも使えますが、登山やクライミング、沢登りなど、タフさが求められるアクティブシーンでもっともポテンシャルが発揮されそうです。
限定カラーも見逃せない!

2024年2月末まで、期間限定でライトブラウンカラーが販売されています。やさしい色合いは山にも馴染みやすく、街でもチノパン感覚で使えそうですね!
カミノパンツが気になる人はチェック!
ファイントラック カミノパンツ
重量 | 345g |
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サイズ | S〜XL |
カラー | ネイビー、オリーブ、ブラック、チャコールグレー、ライトブラウン(期間限定色) |
素材 | 66ナイロン4WAYストレッチオックス(ナイロン100%) |
すっきりシルエットのレギュラーモデル
ファイントラック カミノパンツロング
重量 | 355g |
---|---|
サイズ | S〜XL |
カラー | ネイビー、オリーブ、ブラック、チャコールグレー |
素材 | 66ナイロン4WAYストレッチオックス(ナイロン100%) |
レギュラーモデルと比べ、股下が5cm長いロングモデル
ファイントラック カミノパンツ
重量 | 300g |
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サイズ | S〜L |
カラー | ネイビー、ブラック、チャコールグレー、サンドベージュ、ライトブラウン(期間限定色) |
素材 | 66ナイロン4WAYストレッチオックス(ナイロン100%) |
女性向けのレギュラーモデル
ファイントラック カミノパンツロング
重量 | 310g |
---|---|
サイズ | S〜L |
カラー | ネイビー、ブラック、チャコールグレー、サンドベージュ |
素材 | 66ナイロン4WAYストレッチオックス(ナイロン100%) |
レギュラーモデルより股下が5cm長い、女性向けのロングモデル