【実践】雪山シーズン前に!プロに研ぎ方を教えてもらって「アイゼンのお手入れ」してみた
みなさんは、どんな風にアイゼンのメンテナンスをしていますか? 雪山に登る前に、爪の状態もしっかり確認しておきたいところ。とはいえ、「お手入れの仕方が分からない!」という人もいるのでは。そこで今回は、編集部員がメンテナンスのプロの元へ。研ぎ方や長く愛用するためのお手入れ方法を教えてもらい、自宅で実践してみました! 冬山シーズン前に要チェック。あなたのアイゼンは、大丈夫でしょうか!?
2021/12/03 更新
制作者
YAMA HACK編集部 荻原
YAMA HACK運営&記事編集担当。もともと旅行が好きだった延長で山へ登るように。山の魅力やワクワクするような山道具など、アウトドアにまつわるあらゆる情報をお届けしていきます。
YAMA HACK編集部 荻原のプロフィール
アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
そろそろ雪山シーズンに向けて冬支度
あっという間に終わってしまった夏山シーズン。名残惜しさはありつつも、美しい白銀の世界を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
編集部員もその一人。冬に向けて雪山装備を整理しておこうかなとアイゼンを引っ張り出してみると……

撮影:YAMA HACK編集部
「ん?」

撮影:YAMA HACK編集部
「サビてるぅーーーーーーー!!!」
最後に使ったのは今年の5月。帰宅後にきちんと洗ってしっかり拭いたはずだったのに、この有り様です。考えてみれば、3年くらい使っていますが爪を研いだこともありません。
「このサビ、どうしたらいいの?」
「爪の研ぎ時って?」
そうだ、メンテナンスのプロに聞いてみよう!

撮影:YAMA HACK編集部
「アイゼンはどんな風にメンテナンスするのが正解?」そんな疑問を解決するべく、山梨県甲府市にあるアウトドアショップ『エルク』へ。
『エルク』はただの登山用品店ではないんです。“エルクメンテナンス修理サービス”なるものがあり、エルクで購入したアイテムはもちろん、そうでなくても、テントや登山靴からウエア類まで、さまざまな山道具のメンテナンス修理が可能。「大切な道具たちをより一層長く、大切にお使いいただきたい」という想いから始めたのだそう。
そんな『エルク』で、アイゼンを長く愛用するためのメンテナンス方法を聞いてきました!
教えてくれたのは、エルク店長・中込さん

撮影:YAMA HACK編集部
こんなときどうする? アイゼンのメンテナンス方法を教えて!

撮影:YAMA HACK編集部
久々に出してみたらサビていて。今まで一度も爪を研いだこともないんですが、このアイゼンの状態はまずいですよね……?

撮影:YAMA HACK編集部
このくらいなら、研がなくても問題ないですね。サビも取れますよ。
そうなんですか!? てっきり最悪の状態かと思いました。
このサビはどうしたらいい?
サビてしまったときは、どうしたらいいでしょうか? タオルで拭いても落ちなくて。
多少のサビなら、また雪道を歩くと落ちると思いますが、気になるようなら
研磨剤を使うときれいになりますよ。
基本は、アイゼンを使用して洗った後にしっかりと乾燥させて、サビないようにすること。
パーツも外して乾燥させた方がよかったのでしょうか?

撮影:YAMA HACK編集部
各パーツを雑巾やタオル等でしっかり拭いて水気を取り、風通しのいい場所で乾燥させれば、分解までしなくてもいいと思います。
自分の命を守るギアとして愛着を抱くために、分解して構造を理解するというのも重要かもしれませんね。
あらかじめサビ止めスプレーやオイルを塗っておくのもアリですか?
サビ止めも有効です。無溶剤のシリコンスプレータイプがおすすめですよ。金属用のサビ止めスプレーであれば、金属部分を重点的に。昨今のアイゼンは樹脂部分が多くありますが特に気にせず、かといってかけすぎにも注意です。
雪山シーズン前に毎回爪を研ぐべき?
爪を研ぐべきタイミングもイマイチ分からないんです。
もともと尖っている爪の先が、こんな感じで削れて丸くなってしまっていたら研ぐ必要があります。


撮影:YAMA HACK編集部(赤線のように爪の先が丸くなってしまったら研ぎましょう)
ただ、亀裂や金属疲労が見受けられる場合や、あまりにも刃先が丸くなっていて、アイゼンの本来の効力を発揮しないような状態なら、買い替えをおすすめします。
【メンテナンスのプロ直伝】アイゼンの研ぎ方&コツ

撮影:YAMA HACK編集部
準備するものは、ヤスリとグローブの2つだけ。いずれもホームセンターなどで手に入ります。
ヤスリではなく、グラインダー(研削盤)を使う人もいるようですが、熱で金属が痛んでしまうのでおすすめしません。
小さいヤスリは、細かな部分を研ぐときにあると便利です。研いだ爪で自分の手を傷つけないように、グローブは厚手のものがいいですね。

撮影:YAMA HACK編集部
まずは、アイゼンのパーツをすべて外します。

撮影:YAMA HACK編集部
アイゼンをしっかり固定して、1本ずつ爪を研ぎます。
硬い台の角などに当てて固定すると研ぎやすいですよ。

撮影:YAMA HACK編集部
爪の両サイドを均等に研いで、先を尖らせていきます。
ヤスリは爪の先に向かって一方向に動かし、基本的には押すときに研ぎます。

撮影:YAMA HACK編集部(爪の表面は削らない)
面の部分を削ってしまうと爪が薄くなってしまうので、研ぐのは爪のサイドだけです。

撮影:YAMA HACK編集部
[左]が研いでいないアイゼン、[右]が中込さんに研いでもらったアイゼンです。写真では分かりにくいですが、研いだ爪は鋭さが復活。
ヤスリで削るだけなら、できそうな気がしてきました!
【実践】簡単3ステップ! アイゼンのメンテナンスしてみた
中込さんに教えてもらった方法で、実際にアイゼンをメンテナンスしてみたいと思います。