【1】頼りになる結びの王様『ボーラインノット』

撮影:ぶん
登山中、ロープや張り網を固定したい場面で活躍するのが『ボーラインノット(もやい結び)』。素早く結べて強度も高く解きやすいため、登山だけでなく幅広いアウトドアシーンで活躍します。
その信頼性の高さから「キング・オブ・ノット」と呼ばれるほど。覚えておくと何かと便利なロープワークです。
特徴
・強い強度を持ちながらも、解くのが簡単
・いろんなロープワークとの応用が効く
ボーラインノットの結び方

撮影:ぶん
①ロープの末端を、固定したい対象物(木やテントのループなど)に巻きつけます。

撮影:ぶん
②ロープの末端側が上にくるように輪を作り、末端を輪の中に通します。
▼ここでワンポイント
輪の上下を間違えると結び目にならないので注意!「末端側が上」と覚えておきましょう。

撮影:ぶん
③輪から出たら、手前に伸びているロープを下からくぐります。

撮影:ぶん
④手前のロープを乗り越えて、また輪の中へ戻ります。

撮影:ぶん
⑤末端のロープと手前のロープを強く締めます。

撮影:ぶん
⑥完成です! 最後に手前のロープ(荷重がかかる側)を思いきり引っぱって、しっかり固定されているかを確認しましょう。
▼ここでワンポイント
ボーラインノットはいろんな方向から力が加わるとゆるんでしまうことがあります。ゆるんだ際に末端が短かいと結び目が解けてしまう恐れも。そのため末端は15cm以上残しておくようにしましょう。
※昔はクライミングでも使用されていましたが、現在は人の荷重がかかる使い方(懸垂下降やクライミングなど)での使用は推奨されていないのでご注意ください。
▼動画で流れをチェック
撮影:ぶん
こんな登山シーンで活躍!
<テントやツェルトの設営に>
撮影:ぶん
ボーラインノットはテントと張り網を固定するのに最適。この部分は何かと結び方に悩みがちですが、ボーラインノットなら強風などでも外れることがないので安心です。
反対側にテンションがかかっている場合は結べないため、この結びをした後にペグ側を固定するようにしましょう。
【2】張り具合を自在に調整『トートラインヒッチ』

撮影:ぶん
テントやツェルトの張り網をペグに結ぶ時に活躍するのが『トートラインヒッチ(自在結び)』。テントの固定だけでなく、ロープをピンと張りたい時などにも使える便利な結びです。
その名の通り結び目をスライドさせることでロープの張りの強さを自在に調整することができます。
特徴
・結び目をスライドさせることで、ロープの張り緩みが自由自在
トートラインヒッチの結び方

撮影:ぶん
①ロープをペグや木などの固定したい物体に通し、本体の上を通るように末端を巻きます。

撮影:ぶん
②末端を輪の中をくぐるように通します。ここでできた結びは「ハーフヒッチ」と呼ばれます。

撮影:ぶん
③末端を、本体側ロープの下を通るように通します。
▼ここでワンポイント
この時、②で作ったコブと距離が近すぎると張り調整がしにくくなってしまうので、10cm程度の間をあけるようにしましょう。

撮影:ぶん
④輪の中をくぐるように末端を通します。

撮影:ぶん
⑤末端を、本体側ロープの下を通るように通します。③と同じ動きです。

撮影:ぶん
⑥最初に作ったコブと2つ目のコブの間の輪をくぐるように、末端を通します。

撮影:ぶん
⑦2つ目のコブの上にもうひとつコブができたことを確認できたら、もう一度末端を本体側ロープの下を通るように通します。

撮影:ぶん
⑧末端を輪の中に通します。

撮影:ぶん
⑨結び目から末端側と本体側へ伸びるロープを引き、結び目を締めつけます。

撮影:ぶん
⑩完成です。結び目をスライドさせて、自在に伸び縮みするかを確認してみましょう。
▼動画で流れをチェック
撮影:ぶん
こんな登山シーンで活躍!
<自在金具が壊れてしまったときに>
出典:PIXTA
自在結びには自在金具と同様の機能があるので、いざ「自在金具が壊れてしまった」となってもすぐに代用することができます。
<緊急時のツェルト設営でも>
撮影:ぶん
先に紹介したボーラインノットで先に木などに固定しその対面にトートラインヒッチを使うことで、ロープを横一直線にピンと張ることができます。
例えば、そのロープを使ってツェルトを張ることも可能。ポールよりも手間がかからず、重心が安定したツェルトが設営できます。
※今回は紹介していませんが、ツェルトとロープの固定には「スリング」を使って『クレイムハイスト』という結びを使用しています。