驚異的な沸騰スピード! 登山者の強い味方『ジェットボイル』
沸騰速度は2~3分程度! 圧倒的な熱効率により、少ない燃料ですぐにお湯が沸くことで人気のクッキングシステム『ジェットボイル』 。山で使っている人を見かけることも多いのでは?
カップラーメンを作るときやアルファ米を戻す際にとても便利で、少しでも早く温かいごはんにありつきたい冬の寒い日などには、特に重宝します。
サイズの違いだけではない!? 自分にぴったりの『ジェットボイル』は…
そんな登山者の強い味方であるジェットボイルは、専用クッカー とバーナー の一体型が主流ですが、2017年にはシングルバーナー も登場。用途に合ったモデルを選べることも魅力のひとつです。
とはいえ、一体型だけでも現在5つのモデルを販売中。クッカーのサイズや形状こそ異なりますが、「機能の違いがイマイチ分からない」「どれを選んだらいいんだろう」と悩んでしまう人も多いはず。
そこで今回は、各モデルを徹底比較! 実際にフィールドで使ってみました。
得意技が炸裂! ジェットボイル比較5本勝負
真夏の日差しが照りつける8月上旬、専用クッカー一体型のジェットボイル5型が集結! それぞれの得意技を披露してもらうべく、5本勝負を行いました。
出場選手はこちらの5名。
それでは早速、5本勝負に移りましょう! 今回は、「湯沸かしスピード対決」「燃焼効率対決」「調理対決」「パッキング対決」「オプション対決」の5種目を用意しました。
【第1種目】最速はどれ? 湯沸かしスピード対決
1つ目の対決で競うのは、各選手が自信を持っているであろう必殺技の“沸騰速度”です。
“急速沸騰”の頂点に立ったのは!?
最速トップは「②フラッシュ」。点火した瞬間に湯気が出て、あっという間にグツグツ沸騰していました。タイムはなんと1分20秒足らずと超高速!
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
順位 [速度] | 5 | 1 | 4 | 3 | 2 |
タイム | 2分29秒 | 1分19秒 | 2分07秒 | 1分55秒 | 1分53秒 |
出力 | 1134 kcal/h | 2269 kcal/h | 1512 kcal/h | 1512 kcal/h | 1512 kcal/h |
吉澤
【第2種目】低燃費で水を沸かせるのは? 燃焼効率対決
いずれも1~2分程度で湯沸するというレベルの高い戦いを見せたジェットボイル5選手。では最も低燃費なのはどれなのか、続いて“燃焼効率対決”です。
コスパがいいのは“控えめ”なこの選手!
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
順位 [燃費] | 1 | 2 | 4 | 3 | 3 |
ガス 消費量 [対決] | 約2.5g | 約3.1g | 約4.2g | 約3.8g | 約3.8g |
ガス 消費量 [公式] | 100 g/h | 139 g/h | 120 g/h | 120 g/h | 120 g/h |
吉澤
【第3種目】山ごはんを作るなら? 即席ラーメン調理対決
湯沸かしだけでなく、もちろん山ごはんも作れるジェットボイル。そこでお次は“調理対決”です。
まずは棒ラーメンから。「①ジップ 」と「③マイクロモ」はクッカーから麺が飛び出ていますが、調理には問題なし。
「②フラッシュ」と「④スモー」はほぼ完全に麺が収まりました。「⑤ミニモ」も麺が飛び出していますが、クッカーの直径が広いので、カトラリー で麺をすくいやすく食べやすそうです。
袋麺は明暗がはっきりと分かれる結果に。
「④スモー 」と「⑤ミニモ」はそのままクッカーに沈めることができたのですが、「①ジップ」「②フラッシュ」「③マイクロモ」は残念なことに砕かないと中に入れることができませんでした。
調理のしやすさを決めるのは、“形状”だけではなかった!
この対決に順位をつけるとしたら以下のような感じでしょうか。どれでもラーメンは作れますが、No.1は「➄ミニモ」。横長の平型クッカーのため、調理のしやすさと食べやすさで優勢です。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
順位 [調理] | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
直径 | 10.4cm | 10.4cm | 10.4cm | 12.5cm | 12.7cm |
高さ | 16.5cm | 18cm | 16.5cm | 21cm | 15.2cm |
吉澤
ポイント1|着火のしやすさ
「①ジップ」以外の4選手には、ボタンを押すだけで着火する“自動点火装置”がついていました。
吉澤
ポイント2|火力の調整
さらに、「①ジップ」「②フラッシュ」以外の3選手は、調理シーンで重宝する“とろ火”に対応できるのも強み。
吉澤
ポイント3|火力の安定性
そして、「➂マイクロモ」「➃スモー」「➄ミニモ」は、火力を一定に保つ特殊な機能“サーモレギュレーター”を搭載しています。
吉澤
夏場では、長時間の調理によって気化熱でガス缶が冷えたとしても、火力が低下しないというメリットが!
ポイント4|持ち手の仕様
実は、「➄ミニモ」だけ持ち手が違うんです。他の4選手は、クッカーを覆うネオプレン製コージーに縫い付けられたナイロンテープに手を通して、直接クッカーを持つ仕様。一方「⑤ミニモ」は折りたたみ式のハンドルなので、より持ちやすくなっています。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
自動点火装置 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
サーモレギュレーター | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
火力調整 (とろ火) | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
持ち手 | テープ | テープ | テープ | テープ | ハンドル |
吉澤
【第4種目】持ち運びやすいのは? パッキング対決
登山のときは、できるだけ荷物を軽量コンパクトにまとめたいもの。ということで、4種目目は“パッキング対決”です。
ジェットボイルのセット内容は、各選手同じ。以下の6つがワンセットになっています。
スタッキングできる考えられた設計は、甲乙つけがたい!
収納するとこの通り。ジェットボイルは、すべてのパーツをクッカー内に収めることができる“オールインワン設計”であることもウリ。
あえて順位をつけるなら…収納サイズと重量を踏まえて「➀ジップ」「③マイクロモ」が同率1位。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
順位 [携行] | 1 | 2 | 1 | 3 | 4 |
直径 | 10.4cm | 10.4cm | 10.4cm | 12.5cm | 12.7cm |
高さ | 16.5cm | 18cm | 16.5cm | 21cm | 15.2cm |
重量 | 約400g | 約440g | 約400g | 約550g | 約500g |
(※ガスカートリッジを除いた重量)
吉澤
大きさによる強み&弱みもチラリ
クッカーに入れることができる専用カートリッジのサイズは100gが基本なのですが、「④スモー」だけは230gサイズも収納することができます。グループ登山向けのスモーならではの強みです。
一方、「⑤ミニモ 」はクッカー内に100gの専用カートリッジを収めるためには、ゴトクを外に出す、もしくは専用カートリッジを別にパッキングする必要があります。その反面、強みも発見!
「④スモー」と「⑤ミニモ」は、フタにスタビライザーを固定して収納可能。クッカー内で音が鳴るのを防ぐだけでなく、紛失も防止できる嬉しいデザインですよね。
吉澤
【第5種目】アレンジを楽しめるのは? オプション対決
いよいよ最終種目となりました。ラストをかざるのは、ジェットボイルをより便利に、より楽しく使うためのオプショナルパーツ&アクセサリーへの対応力をアピールする“オプション対決”です。
(A)アクセサリーコージー
クッカー本体のデザインをお好みで変更できる着せ替え用のコージー。お気に入りの柄でジェットボイルを楽しめるのは、「➀ジップ」「➁フラッシュ」「③ミニモ」の3選手。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
コンパニオン ボウルセット | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
カラー | 全3色 | 全5色 | ー | ー | 全4色 |
(B)コンパニオンボウルセット
サイズの異なるボウル3個(大2・小1)がセットになって約190g。丈夫で軽量、保温カバーまでついています。フタに注ぎ口がついているのも便利。仲間と山ごはんを分け合う時にいいですね。
これは「➃スモー」にぴったり収まるサイズに設計されたアイテム。もちもんこのセットを収納しても、バーナー本体やゴトク、ガス缶などを一緒に仕舞うことができます。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
コージ― | × | × | × | 〇 | × |
(C)コーヒープレス
いつでもどこでも淹れたての美味しいコーヒーを楽しむことができるコーヒープレス。粗く挽いたコーヒー豆を水と一緒に入れて沸騰させて、コーヒー豆を沈める時に使用します。
これはすべて対応可能(広口のスモーとミニモは「コーヒープレス グランデ」)。分解してクッカー内に収納できます。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
コーヒー プレス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 (グランデ) | 〇 (グランデ) |
(D)ハンギングキット
地面が不安定な時や、地面からの冷えを避けたい雪山などで、ジェットボイルを吊るして使用するためハンギングキット。軽量なアルミ製で、収納時は一本の棒のようにコンパクトにまとめることができます。こちらもすべて対応可能。
①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ | |
ハンギング キット | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
吉澤
5本勝負で分かった『ジェットボイル』の特徴まとめ
対決を終えて、結果を振り返りながら5選手を独自に評価してみます。
➀登山経験豊富な玄人向け「ジップ」
煮沸能力にフォーカスすれば、ジップは十二分な機能を備えているモデルと言えます。ただしネックは自動点火装置が付いていないこと。初心者の方はライターなどで点火することに不安を感じると思います。火器の扱いに慣れた登山者にオススメしたいモデルですね。
➁とにかく早くお湯を沸かしたい人向け「フラッシュ」
フラッシュは5つのモデルの中でもっとの沸騰到達時間が短い高出力モデル。山での食事はいつもアルファ化米やフリーズドライ。調理はしないからお湯さえ沸けば良いとう登山者に特にオススメです。
③1年を通して登山をするなら「マイクロモ」
シーズン問わず登山を楽しみたい人にオススメしたいのがマイクロモです。サーモレギュレーターを搭載したモデルで、収納サイズもジップと同様にコンパクトであり、重量も400gと軽量。トロ火調整ができるので、茹でる・煮込むといった調理にも適しています。
➃グループ登山には間違いなく「スモー」
3人以上で山に行くことが大半なら、迷わずスモーを買うべきでしょう。機能はマイクロモと全く同じですが、最大で1.25Lもお湯を沸かすことができる大容量。グループ登山で重宝します。ソロハイキングでも十分使えるので、自身の登山スタイルに合せて検討するといいでしょう。
➄調理がメインなら「ミニモ」
具材を持ち込んで煮込みながらカレーを作りたいなど、調理にもこだわりたい方には断然「ミニモ」がオススメです。やはりハンドルがあると使いやすいですね。平べったい形状で内容物もすくいやすく、容量も1.0Lとやや大きめなのもグッド。
スペックを一覧でチェック!
製品名 | ①ジップ | ②フラッシュ | ③マイクロモ | ④スモー | ⑤ミニモ |
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税込価格 | 11,550円 | 16,280円 | 20,350円 | 22,550円 | 21,450円 |
容量 | 0.8L (調理容量は0.5L) | 1.0L | 0.8L | 1.8L (調理容量は1.25L) | 1.0L |
収納時サイズ | 直径10.4×高さ16.5cm | 直径10.4×高さ18cm | 直径10.4×高さ16.5cm | 直径12.5×高さ21cm | 直径12.7×高さ15.2cm |
重量 | 約400g (ガスカートリッジを除く) | 約440g (ガスカートリッジを除く) | 約400g (ガスカートリッジを除く) | 約550g (ガスカートリッジを除く) | 約500g (ガスカートリッジを除く) |
素材 | アルミニウム (クッカー本体) | アルミニウム (クッカー本体) | アルミニウム (クッカー本体) | アルミニウム (クッカー本体) | アルミニウム (クッカー本体) |
カラー | 全1色 | 全4色 | 全3色 | 全1色 | 全7色 |
沸騰到達時間[対決] | 約2分29秒(0.5L) | 約1分19秒(0.5L) | 約2分07秒(0.5L) | 約1分55秒(0.5L) | 約1分53秒(0.5L) |
沸騰到達時間[公式] | 約2分30秒(0.5L) | 約1分40秒(0.5L) | 約2分15秒(0.5L) | 約4分15秒(1L) | 約2分15秒(0.5L) |
出力 | 1134kcal/h | 2269kcal/h | 1512kcal/h | 1512kcal/h | 1512kcal/h |
ガス消費量[対決] | 約2.5g (500mlの沸騰) | 約3.1g (500mlの沸騰) | 約4.2g (500mlの沸騰) | 約3.8g (500mlの沸騰) | 約3.8g (500mlの沸騰) |
ガス消費量[公式] | 100g/h | 139g/h | 120g/h | 120g/h | 120g/h |
自動点火装置 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
サーモレギュレーター | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
火力調整[とろ火] | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
別売りオプション | 交換用コージー/コーヒープレス/ハンギングキット | 交換用コージー/コーヒープレス/ハンギングキット | コーヒープレス/ハンギングキット | スモー コンパニオンボウルセット/コーヒープレス(グランデ)/ハンギングキット | 交換用コージー/コーヒープレス(グランデ)/ハンギングキット |
こんな人におすすめ | 登山経験豊富な玄人/価格や燃費の良さ重視の人 | とにかく早くお湯を沸かしたい人 | 冬場も登山をする人/ハイエンドモデルがいい人 | グループ登山で使いたい人 | 調理をメインに使いたい人 |
山ごはんの目的で上手に使い分け! 自分好みの『ジェットボイル』を選ぼう
オール・イン・ワンの収納力から、お湯を沸かす速さまで、他社商品にはない機能を備えるジェットボイルは、唯一無二の存在。初めてのクッカー&バーナーをどれにするか悩んでいれば、ジェットボイルをオススメします。
既に調理器具を持っている人は、湯を沸かすだけの日と、山ごはんを楽しむ日で使い分けるのもよし。今回の対決結果を参考に、ベストな一台を手に入れましょう!
こんな便利グッズもあります
▼ジェットゲージ
ガス缶の残量を正確に測ることができるアイデア商品。「燃料が足りなくなったらどうしよう…」という不安を解消してくれます。
▼ジェットボイル クイックレシピ
ジェットボイルを使った料理レシピが多数掲載されています。さらに、潮干狩りや山菜、キノコの種類も載っているので、ついついアウトドアに繰り出して調理したくなる一冊です。
JETBOIL ジェットボイルクイックレシピ55
JETBOIL ジェットボイルクイックレシピ 56→110
JETBOIL ジェットボイル ジップ
JETBOIL ジェットボイル フラッシュ
JETBOIL ジェットボイル マイクロモ
JETBOIL ジェットボイル スモー
JETBOIL ジェットボイル ミニモ