なかなか減らない山の遭難事故・・・
美味しい山ごはんや達成感、そして抜群の景色などたくさんの魅力が登山にはあります。
しかし、実はその裏で年々増加しているのが山岳遭難。警察庁が発表した『平成30年における山岳遭難の概況』によると、遭難発生件数は2,661件(1日当たりに均すと7.3件)の遭難事故が発生し、遭難者は3,129人にものぼります。
どんな理由で遭難しているの?
山での遭難と言われると、崖から落ちたり、落石で怪我をしたりするイメージですが、一番多いのは道迷いによる遭難です。その他にも、転倒や体調不良・疲労で動けなくなるなど、遭難の理由は多岐にわたります。
山登りを楽しむ以上、どれだけ注意をしていても100%安全な状態で登ることはできません。だからこそ「できるだけ遭難しないように」「遭難してしまった後に生き延びられるように」リスクに関する知識を学んだり、装備を準備したりすることが大切です。
遭難捜索に立ちはだかる「72時間の壁」
遭難捜索において、生死を分けるラインと言われているのが”72時間の壁”。事故発生から72時間を超えると、生存率が極端に下がることからこの名がつけられました。
捜索が事故発生から72時間を超えると打ち切られることが多いのは、このためです。遭難者は発見されない場合、行方不明扱いとなります。この場合、残された家族は死亡保険が受け取れないなどの経済的負担が。
つまり遭難、特に行方不明遭難は、本人だけでなく残された家族にも大きなダメージを与えてしまうのです。
「72時間の壁」への強い味方、それがココヘリ!
遭難しても、生きて家族の元に帰るためには「72時間の壁」に阻まれないようにしなければいけません。
そのために重要なのが、遭難捜索・救助において一番時間を要する「捜索」の時間を短くすること。遭難したら、できるだけ早く発見してもらうことが大切です。
遭難者発見率ほぼ100%のココヘリがスゴい!

ココヘリとは『発信機(会員証)を利用した、会員制捜索サービス』のこと。発信機からの電波を利用することで、スムーズな救助活動を支援。
ココヘリのホームページにを見てみると、その実績のスゴさが。ココヘリサービスを使ったこの1年間の捜索事案は24件で、そのうち発見に至ったのが23件(未解決の1件は発信機不携帯)。
そう、ココヘリを持っていた場合の発見率はほぼ100%なんです。
>ココヘリを使った捜索事例(福岡市消防局)
ココヘリサービスのイメージ
①会員の捜索要請を受けたら、ヘリコプターと発信機の親機を使って捜索
②遭難者を発見したら、遭難者の情報を警察などの救助機関に伝える
ココヘリは遭難者(ココヘリ会員)の位置を発見する捜索サービスなので、救助活動は警察や民間の捜索・救助機関が行ないます。
どれでけスムーズに探せる?「ココヘリ探し」やってみました!
ココヘリがなんだかスゴそうなのは、わかりました。でも気になるのは、どれくらいスムーズに発見できるかというポイント。
そこで今回、遭難者に見立てたココヘリ発信機の子機を①親機なし ②親機ありで探し、発見までのタイム(制限時間30分)を比較実験をしてみました。
今回の検証条件
・子機は自分とは別の人(妻)が隠す
・どこにあるかはノーヒント
・場所は北海道にある広い公園(公園約20ヘクタール:東京ドーム約4.2個分)
子機を隠した妻から「親機なしで子機を見つけられたら、好物のチーズケーキをプレゼント」という提案もあり、俄然やる気が出てきました!
それでは早速、探してみたいと思います。
【検証①】親機使用なしでの捜索!
こんなにもだだっ広い公園の中、なんのヒントも手がかりもなしに子機は見つけられるのか!?
隠せそうな場所はくまなくチェック!しかし、あっという間に10分経過。
遊歩道の下やオブジェの下も念入りに探すも、正直、いっさい見つかる気配はありません。
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そして20分、25分と時間は過ぎていき・・・
結果:見つけられる気配ゼロ!
タイムアップ。子機は見つからず、もちろんチーズケーキはお預け・・・。
いや、そもそもどこ探したらいいのかわからない!広すぎて探す範囲が絞れないんだよ!!!
当たり前のようですが、実際に探してみると改めていかに無謀なチャレンジだったかを感じました。この後、探し続けても正直見つけられなかったと思います。
これってもしかしてこういう状況?
ノーヒントという状況は登山計画書を出していなかったり、誰もあなたがどこの山に行っているのかわからない状態に似ています。
例えば、こんな広大な山の中からなんの情報もなしに捜索しないといけないとなると、どこから探せばいいのか見当もつけられません。
こんなの絶対見つけてもらえないんじゃないかと、絶望感がありすぎます。
近くを通っても、通り過ぎる可能性も・・・
これが実際に探して歩いたルート。
子機のそばを通過していたことが、後々判明。実際に遭難した時に、捜索隊が自分のそばまで来たのに気づかれずに去って行くのを見るときの絶望的な気持ち…想像できますよね。
笛を鳴らしたり、エマージェンシーシートやウェアで自分の居場所を知らせるなどの工夫も大切です。