話題の登山&グルメ漫画「山と食欲と私」読んだことある?
信濃川日出雄作、「山と食欲と私」と言う漫画をご存知でしょうか?単独登山女子である日々野鮎美(会社員、27歳)が日々の山行の中で成長していく様子と、その中で作り出す、なんだかちょっとおもしろい、オリジナルレシピの山メシが話題の作品です。
鮎美のヤマメシは美味しいのか?いざ、実践!
今回はそんなレシピの中から、特に気になる7品をチョイス。主人公・鮎美になりきって実践します!本当にそんなに簡単なの?本当に美味しく出来るの?ずっと気になっていたポイントを、実際に調理しながらチェックします。
【16話】簡単、安い、美味しい!「ぽんかす丼」
2巻、35ページ、「掟破りのぽんかす丼」に登場するレシピ。鮎美がスーパーで山メシに使えそうな食材を物色しているシーンからはじまります。そこで見つけた揚げ玉を使った、とっても簡単だけど、美味しい一品です。ポイントは、炊き立てごはんを使うこと。今回はメスティンでの、美味しいごはんの炊き方も一緒にご紹介します。
材料&レシピ
【材料】
・米…1合
・水…200㏄程度
・天かす…適量
・桜エビ…適量
・刻みネギ…適量
・ポン酢…適量
作り方はとっても簡単。ごはんを炊いて、具材をトッピング。ポン酢をかければ出来上がりです。
【ポイント】メスティンでご飯を炊いてみよう
美味しいごはんを炊くために、一番大切なポイントは吸水です。炊飯開始の少なくとも30分前には浸水させておきましょう。無洗米をボトルに入れておき、途中で水を注いでおくと、すぐに炊飯にとりかかれて時間のロスを防げますよ。
今回は1.8合炊きのメスティンで、1合の米を炊飯します。
メスティンにお米を移し、取っ手を取り付けてあるリベット(写真中の丸い2つの金具)の、ちょうど真ん中までお水を注ぎます。この量で普通の硬さです。やわらかめ、硬めなど、お好みで調整してくださいね。
調理はもちろんバーナーでもできますが、ポケットストーブ&固形燃料の組み合わせが、失敗が少なくススメです。
固形燃料は100均で売っているような物でOK。25~30gでちょうど1合が炊けます。おこげをしっかり付けたい、気温が低い、風が強いなどと言った場合は、30gの方が良いでしょう。
下に燃えカスなどが落ちる場合があります。固形燃料の下にアルミホイルを敷いておくと、ストーブの汚れを防げます。また、炊飯時に吹きこぼれる場合もありますので、メスティンより一回り大きい板やバットなどをストーブの下に敷いておきましょう。
燃料が燃え尽きるまで約30分。火が消えたらタオルなどに包んで保温し、約10分蒸らすと完成です。
好みの組み合わせを見つけよう。
作品中で紹介されている桜エビと刻みネギ以外にも、色々合いそうです。例えば、ちりめんじゃこ、かつおぶし、海苔、青じそ、ミョウガなど。色々試して、自分好みの組み合わせを見つけてみるのも楽しそうです。
残ったらおにぎりに。天むすのようになって、行動食にもピッタリです。
【24話】見た目よし!味よし!「まるごとトマトのジャンバラヤ」
3巻のはじめ、「沈黙のジャンバラヤ」で登場するレシピ。山デビューする小松原さんとのランチのために用意した一品です。色々登場する山メシの中でも、これが気になっていたと言う読者も多いのでは?こちらも炊飯なので少々時間はかかりますが、意外と簡単で、見た目も味もスペシャルです!
意外と簡単?材料&レシピ
【材料】
・無洗米…1.2合
・水…200㏄程度(トマトが大きい場合は少し減らす)
・トマト…大1個
・パプリカ、ピーマン、玉ねぎ、セロリなど…適量(注1)
・鶏肉…トッピング用…100g、炊き込み用…適量(注1)
・にんにく…1片
・塩、こしょう
・ケジャンスパイス…適量
・ウィンナー…2本
・スープの素…適量
・オリーブオイル…適量(注1)トマトの大きさによって入る量が違うので、鶏肉の量や野菜の品数を調整する。
【作り方】
(出発前に)
1.炊き込み用の鶏肉とにんにく、パプリカや玉ねぎなどの野菜をオリーブオイルで炒め、塩、こしょうで味付け。しっかり冷ましておく。
2.トマトのヘタのまわりに円形に切り込みを入れて蓋状に切り取り、中身をくりぬいて器にする。
3.2に1を入れ、切り取ったヘタで蓋をする。
4.トッピング用の鶏肉をフライパンで焼く。皮目をパリッとさせるのがポイント。
(現地で)
5.蓋のできる鍋をバーナーにかけ、オリーブオイルを入れ、ざく切りにしたウインナーを少し焦げ目がつくまで炒める。
6.無洗米を入れ、米が半透明になるぐらいまで炒め、中央に窪みを作って、仕込んで来たトマトを置く。
7.水、ケイジャンスパイス、スープの素を加え、蓋をして約20分炊く。
8.焼いた鶏肉をトッピングし、蓋をして蒸らせば完成。
なんだか難しそうですが、炒めて、炊けばOKなので、意外と手はかかりませんよ。
ケイジャンスパイスって、なんだ?
ニューオリンズを中心にしたケイジャン料理に使われる、ちょっとピリッとしたミックススパイスです。瓶詰などで売られているのですが、なかなか入手できないことも。そんな時は自分で調合してみましょう。
ベースになるのはパプリカとガーリックパウダーです。そこへ、タイム、オレガノ、クミン、バジル、ブラックペッパー、チリパウダーなどを加えます。どれが無いとダメと言うルールはありませんので、手元にあるスパイスやハーブを好みで組み合わせて大丈夫。
分量の目安は、パプリカ2:ガーリックパウダー1:その他のミックス2です。面倒な場合はカレー粉でもOK。ちょっとリッチなカレーピラフが出来ますよ。
【28話】寒い日にはぴったり、「だご汁」
3巻、49ページ、「思い出のだご汁と麦焼酎」で瀧さんがみんなに振舞ったお料理です。そう、これだけは鮎美のレシピではありません。具だくさんのお汁に小麦粉を練っただご(だんご)を入れた、熊本の郷土料理です。
作品中では大鍋でたっぷりと作られていましたが、今回は1~2人用にアレンジ。主役のだご(だんご)にちょっとこだわって、ツルッ、モチッ、に仕上げましょう。
自分なり、アバウトな調理でも美味しく出来ちゃう
【材料】
・鶏肉(お好みで豚や鮭でもOK)
・大根、にんじん、里芋などの野菜(特に決まりなし)
・味噌(しょう油でもOK)
・出汁粉
・生姜(お好みで、七味や柚子胡椒などでもOK)
・小麦粉…1人分50g程度
今回は少量ずつ色んな野菜を使いたかったので、便利な「筑前煮の具」のミックスパックを使ってみました。常温保存OKで、汁ごと使えて、山メシにもぴったりの材料です。
【作り方】
1.鍋に湯を沸かし、出汁粉と具材を入れる。
2.具材に火が通ったら、味噌で味付けし、水で練った小麦粉をひと口大にちぎって、伸ばして入れます。火が通ればOK。
【ポイント】だんごは薄めで、ツルッと食感に。
実は…小麦粉をその場で練って加えようとすると、伸びが悪い上に手にくっついて、うまく伸ばすことが出来ませんでした。調べてみたところ、小麦粉は練ったあと、2~3時間寝かすと良く伸びることが判明。(瀧さんはきっと、自宅で練って来たのでしょうね。)
また、人肌より少し熱いお湯で練ると、寝かせる時間を短縮できるとのこと。後日自宅で試したところ、ツルッと美味しいだごが出来ました。強力粉を使うと、もちもちとした食感に仕上がりますよ。
【35話】5分で出来る!「砕きミックスナッツのペペロンチーノ」
4巻のはじめ、「ミックスナッツのペペロンチーノ」で登場するレシピ。奥穂登山中に捻挫し、涸沢のテン場でひとり凹んでいた時、とあるカップルとお友達に。ビールをご馳走になったお返しに、おつまみとして作った一品です。
砕いたミックスナッツが香ばしい、ペペロンチーノ。とっても簡単で、本当にビールに合います!ナッツ多め、塩味強めがおススメ。
香ばしさがたまりません!材料&レシピ紹介
【材料】
・パスタ
・オリーブオイル
・乾燥にんにく
・鷹の爪
・ミックスナッツ
・塩、こしょう
・粉チーズ(お好みで)
【作り方】
1.フライパンにオリーブオイル、乾燥にんにく、鷹の爪、ミックスナッツを入れ、香ばしく炒める。
2.ゆでたパスタを加え、塩、こしょうで味を調えて完成。
【ポイント】パスタのゆで汁、どうしてる?
作品中では早ゆでパスタを少量のお湯でゆでていましたが、今回はゆで汁を出さない調理方法をご紹介します。
炒めた具材を一旦取り出し、そこへ水(パスタ100gで水200㏄が目安です)を注いで沸騰させます。早ゆで3分のパスタを投入し、しっかり混ぜながらゆでます。ゆで汁がほぼ無くなったらオリーブオイルを回しかけ、残った水分が乳化したら具材を戻して完成です。
ただし、この調理法は大量に作る場合にはあまり適しませんのでご注意くださいね。
人気の絶品肉料理から、おしゃれながっつりメニューまで!まだまだおすすめレシピを再現します!
【58話】安いお肉もやわやかく「ローストビーフ丼」
5巻、119ページ、「友好のローストビーフ」に登場するレシピ。半分は丼に。半分はテン場で意気投合した単独登山女子との宴のおつまみになりました。「いつもこんなお料理してるんですか」と驚かれていましたが、本当に手がかからないのに、豪華な一品です。
一度に食べきってしまうなら、お店で食べるようなキレイなロゼ色に仕上げるのもありかも?
手間なし調理で大満足!材料&レシピ紹介
【材料】
・牛肉(モモなど、赤身)…200g(調理前に常温にもどしておきましょう)
・塩、こしょう、お好みのハーブやスパイスなど
・オリーブオイル…適量
・アルファ化米…1パック
・山わさび(ホースラディッシュ)
【作り方】
(出発前に)
1.フライパンを強火でしっかり熱し、塩、こしょう、スパイスなどで味付けした肉の表面をサッと焼く。
2.耐熱のポリ袋(100度以上のもの)に焼いた肉を入れ(肉汁が出ている場合は一緒に入れる)、しっかり口を閉めて真空断熱フードコンテナ(500mlサイズ)の中へ入れる。
3.沸騰したお湯を注ぎ、蓋をする。
(現地で)
4.袋から出し、フライパンで表面に焼き色を付けて、スライス。戻したアルファ化米の上に盛り付け、山わざびを添える。
今回はお湯に浸してから1時間で取り出し、少し落ち着かせてから表面を焼き、スライス。ロゼ色ではありませんが、柔らかく仕上がっていました。
タイミングが難しい?
熱湯を注いで数時間置くと、芯まで加熱され、さすがに売られているようなロゼ色の仕上がりにはなりません。理想とされる仕上がりは、お肉の中心温度が60~65度と言われています。ロゼ色に仕上げたい場合は、お湯に浸している時間、もしくはお湯の温度を工夫してみましょう。
【60話】家でも作りたい「インド風本格ヨーグルトカレー」
6巻、15ページ、「偵察のヨーグルトカレー」に登場するレシピ。2017年中に標高2017mの山に…。と、雲取山へ登った時に作った一品です。
ごはんの白とカレーの黄色が逆転したカレー。ヨーグルトにレーズン、アーモンド…見た目も真っ白で、仕込み時点ではどんな味に仕上がるのかちょっとドキドキですが、本当に美味しいインドカレーが完成します。鮎美はヨ
ーグルトの酸味について語っていますが、煮込むと酸味はマイルドに。ほぼ気になりません。普段の食事にも作ってみたくなる一品ですよ。
簡単だけど本格派なカレーが味わえる!材料&レシピ紹介
【材料】
・鶏もも肉…100g
・ヨーグルト(無糖)…100g
・にんにく…適量
・おろししょうが…少々
・レーズン…少々
・アーモンドスライス
・鷹の爪
・カルダモン
・シナモン
・ローリエ
・塩
・黒こしょう
・オリーブオイル
・ターメリック
・米

スパイスは目分量でOK。カルダモンとシナモンが入ることで、インド感がグッとUPします。鷹の爪1本では辛さはほぼありません。辛いのがお好きな方は、チリパウダーをプラスしましょう。
【作り方】
(出発前に)
1.ターメリックを混ぜて米を炊き、一人前をおにぎりにする。
2.ビニール袋にヨーグルト、にんにく、しょうが、レーズン、アーモンドスライス、スパイス類、塩、こしょうを入れて良く混ぜる。
3.鶏肉をひと口大にカットして、1へ入れる。
(現地で)
4.熱したフライパンにオリーブオイルをいれ、ヨーグルト液から鶏肉だけを取り出して焼く。
厚みのある鶏肉は中心まで火が通りにくい場合があるため、アルミホイルをかぶせて焼くと良い。フライパンサイズにカットしたアルミホイルを、数枚たたんでフライパンと一緒に入れておくと、色々使えて便利ですよ。
4.お肉に火が通ったら、残りのヨーグルト液を加えて5~10分煮込み、塩で味を調え、ターメリックライスのおにぎりを添える。
【ポイント】もっと簡単にできる方法も!
【92話】意外に美味しい「おふもち焼」
9巻のはじめ、「重圧のおふもち焼き」に登場するレシピ。猪口さんから頂いた大量の車麩を消費するためにあみだした一品です。大きな車麩に出汁を効かせて、お好み焼き風に仕上げます。漫画を読んだ際にも全く味が想像できなかったのですが、これが意外にも美味しくてびっくり。
味が全然想像できないけど…

【材料】
・車麩…大1枚
・出汁粉
・マヨネーズ
・豚ばらスライス…50g
・餅スライス(しゃぶしゃぶ餅でもOK)
・桜エビ
・卵…1個
・ソース
・青のり
・かつおぶし
【作り方】
1.フライパンに湯を沸かし、沸騰したら出汁粉を入れ、車麩をゆっくり煮る。(だし汁がちょうど全量車麩に吸収されるくらいのお湯を沸かすのがポイント)
2.車麩を一旦取り出し、フライパンに残った水分をふき取り、油のかわりにマヨネーズを入れ、豚肉を並べる。
3.その上に餅、桜エビと重ね、車麩を乗せ、真ん中の穴に卵を割り入れる。
4.卵が半熟になるまで、しっかり焼く。(アルミホイルをかぶせると火の通りが良くなります)
5.裏返し、ソース、マヨネーズ、青のり、かつおぶしをトッピングする。
【ポイント】大きな車麩、どこで買える?
車麩、最近は小さく、薄くカットされた物を良く見かけます。大きな車麩が手に入らない時は、半分にカットした物を数枚、ドーナッツ状に積み上げればOKです。真ん中に落とした卵が接着剤になり、キレイにまとまりますよ。
ちなみに、今回は使用した物は薄くカットされていたので、2枚積み上げました。
簡単!美味しい!なにより楽しい!鮎美のレシピは使えます
皆さんの気になっていたレシピは、含まれていましたか?作ってみると、意外と簡単で、どれも本当に美味しく出来ました。そしてなにより、とっても楽しい!アレンジしやすい物も多いので、自分好みにできるのもうれしいところ。
また、8月11日が「山の日」になったのは有名ですが、8月5日はなんと「山ごはんの日」。日本記念日協会から認定を受けた、日本の新しい記念日なんです。
皆さんも「山ごはんの日」にちなんで、鮎美になったつもりで山ごはんを楽しんでみてはいかがでしょうか。
山ごはん用のアイテムを揃えるのも楽しい♪
trangia(トランギア) メスティン
Esbit(エスビット) ポケットストーブミリタリー