ザレ場・ガレ場=転びやすいのには理由があります
登山中のヒヤリハット事例が多い場所が、ザレ場やガレ場。「ザレ場の下りで滑って転んだ」「ガレ場で浮石を踏んで、バランスを崩した」なんて経験をしたことありませんか?
足元が不安定な山道の中でも、ザレ場・ガレ場では特に足を取られやすく安定して通過することが難しいもの。でも、正しい歩き方をマスターすれば、思わぬ「ヒヤリハット」に遭遇することが少なくなるんです。
今回は山岳ガイドの上田幸雄さんと、上手く歩けない原因を探りながら正しい歩き方を学んでいきましょう。
教えてくれたのは、山岳ガイド・上田 幸雄さん
日本山岳ガイド協会公認 山岳ガイドステージ2、国立登山研修所、国際自然環境アウトドア専門学校 講師。剣岳、穂高をメインに中部山岳をオールシーズンガイド。
そもそも、ザレ場・ガレ場ってどんなとこ?
「ザレ場・ガレ場」とひとまとめにしてよく耳にしますが、同じものではありません。それぞれの特徴を知ることで、より適切な歩き方をすることができます。
砂や小さな岩屑によって滑りやすい・ザレ場
ザレ場とは数センチ大の岩屑や小石、砂を敷いたような場所のこと。傾斜はさほど急ではない場合が多く、火山の火口周辺や、花崗岩などの岩盤が露出した山に見られます。小石や砂で構成されているため、足を取られてズルズルと滑りやすくなっています。
不安定な石が積み重なっている・ガレ場
岩がゴロゴロと積み重なった場所をガレ場と言い、沢や谷の最上流部、尾根に達する場所や高山の稜線に多く見られます。大きさの異なる石が積み重なっているため、とにかく足場が悪く、特にグラグラと動く石は「浮石」と呼ばれています。
矢印など登山道で目印がある部分は登山者が多く通るため、比較的足元が安定していることが多いのですが、コースを外れてしまうと極端に不安定になる場所もあるのです。
ザレ場では「体幹」を安定させフラットに歩くべし!
まずは、ザレ場の歩き方から見ていきます。最初にNG例をチェックして、気をつけるポイントを知り、正しい歩き方をマスターしましょう。