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裏銀座の名峰「野口五郎岳」とは
標高 | 所在地 | 最高気温(8月) | 最低気温(8月) |
---|---|---|---|
2924m | 富山県富山市、長野県大町市 | 16.6℃ | 6.1℃ |
北アルプスのちょうど中間に位置する野口五郎岳(のぐちごろうだけ)は北アルプスを代表する縦走路「裏銀座」を構成する名峰のひとつ。
標高約2500mが続く県境尾根は、素晴らしい眺めを楽しめるとあって、槍ヶ岳や穂高連峰にも引けを取らない人気の名山です。
名前の由来は?

山名に付けられる“五郎”とは、「岩がゴロゴロしている山」の意味。諸説ありますが、麓に大町市野口集落があり、山頂に岩がゴロゴロしていることから「野口五郎岳」になったとされています。
ちなみに、歌手の野口五郎さんの芸名はこの山から付けられたとのこと。
北アルプスを一望できる大パノラマ

山頂からの景色は圧巻!北アルプスの山々を一望できます。水晶岳や鷲羽岳など北アルプス深部の山々の姿の風景に、思わず息を呑むことでしょう。
裏銀座の魅力とは

北アルプスにはアプローチがしやすい山も多くありますが、裏銀座コースは中央に位置するので日数も必要。そのため、人が少なく静かな山行ができることも魅力のひとつ。
また、高山植物の宝庫とも言われ、コマクサやチングルマなどたくさんの花を見ることができます。
野口五郎岳の登山適期は?

ベストシーズンは高山植物のピークである7月下旬から8月中旬。梅雨が明けた青空の下、大展望と白い稜線に咲くピンク色のコマクサを愛でながら、最高の山歩きが楽しめますよ。
てんきとくらす|野口五郎岳
※登山指数を参考に、天気予報や天気概況などの情報も検討したうえで登山計画を立てましょう
昭文社 山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 北アルプス
【中級者向け】1泊2日で行く野口五郎岳&烏帽子岳「裏銀座プラン」

裏銀座コースをすべて踏破するには最低でも4日かかります。そんなに日程を取れないひとのために今回紹介するのは、1泊2日の短めプラン。
1日10km以上を歩ける健脚者向けですが、限られた日数で北アルプスを楽しみたいというひとにおすすめです。
最高点の標高: 2901 m
最低点の標高: 1256 m
累積標高(上り): 3969 m
累積標高(下り): -3969 m
- 【体力レベル】★★★★★
- 1泊2日
- コースタイム:16時間35分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
1日目は七倉ダムに前泊もしくは早朝に到着。時間短縮のため、タクシーで高瀬ダムに行き登山開始します。ブナ立尾根登山ルートから野口五郎岳まで行き、野口五郎小屋で宿泊。もし、1日目七倉ダムからの早朝出発が厳しい場合は、前日に縦走路上の烏帽子小屋に泊まり、そこからピストンすることも可能です。
2日目はブナ立尾根をそのまま引き返して下山。途中、日本二百名山の烏帽子岳を経由し登山口へ戻ります。次のページよりルートの詳細を紹介します。
【1日目】七倉ダム~野口五郎小屋

七倉ゲートから乗合タクシーで高瀬ダムへ。

ダム堰堤からトンネルを抜け、不動沢吊り橋を渡って砂地の河原を過ぎるとブナ立尾根登山口。いよいよ登山の始まりです!

ここから北アルプス三大急登のひとつ「ブナ立尾根」が始まります。標高差約1200mとかなりの急登ですが、登山道は分かりやすく、整備されているので不安定な感覚はありません。

標識には登山口から番号が振られていて、12から始まり烏帽子小屋は0番。番号が減るのを励みに頑張りましょう!夏なら途中、センジュガンピやゴザンタチバナなど高山植物にも出会えます。

ブナ立尾根を登りきると、烏帽子小屋へ到着、最初で最大の関門を登り切りました。

烏帽子小屋で一息入れたら、気持ちのいい尾根歩きの始まり。まず、最初の目標地点、三ッ岳(標高2843m)へ目指し再出発です。

稜線は白い花崗岩質の岩と砂礫地の連続。夏はコマクサの群生地が登山を盛り上げてくれます。

尾根の急登を登りきると、三ッ岳への北峰へ到着。目的地の野口五郎岳が見え、その向こうには槍ヶ岳も顔をのぞかせます。
ここで「稜線ルート」と「お花畑ルート」に分かれますが、最終的には合流します。行きと帰りでルートを変えるのもいいかもしれません。

遠くに北アルプスの山々を眺めながら尾根道を歩き、最後の登りを上がれば、野口五郎小屋に到着。荷物を置いて、山頂へ向かいましょう!

小屋から約10分、野口五郎岳に到着です!山頂は広くなだらか。360度の絶景。槍ヶ岳をはじめ、水晶岳や赤牛岳など、北アルプスの大パノラマが広がります!

北の方向を振り返ると今日歩いてきた長い稜線が見えます。しばし絶景を堪能したら、今日の宿泊地である野口五郎小屋へ戻りましょう。
【2日目】野口五郎小屋~烏帽子岳~七倉ダム

翌朝、せっかくなら北アルプスでご来光を拝みたいもの。再び山頂か、もし余裕があれば少し先の真砂岳で朝を迎えてみてはいかがでしょうか。
野口五郎岳に別れを告げて、下山は烏帽子岳を目指します。

1日目通った烏帽子小屋まで戻ってきました。ここから2日目の目標、烏帽子岳へ。

前烏帽子へ着くと烏帽子岳が目前に。山頂までは険しく狭いところを通るので、手前の分岐に荷物を置いておきましょう。
岩をよじ登り、クサリ場を上がると烏帽子岳山頂です。

烏帽子岳山頂からは、遠くにに劔岳が。しかし、山頂は鋭角な岩の頂上です。狭く危険なので十分注意してください。
烏帽子岳を後にし、1日目に登ったブナ立尾根を下山します。高瀬ダムから七倉までは乗合タクシーが使うか歩くかは、時間と体力を考えて決めましょう。
裏銀座で気をつけたい「水場」

このルートでは尾根に入ると水場がありません。また小屋も雨水を利用しているため、渇水の際には販売制限となる可能性があります。不動沢吊橋を越えたところにある水場が最後となるので、1泊2日分の十分な水を確保した上で登りましょう。
ルート上にある山小屋情報
今回の登山ルートに便利な山小屋や山荘などの情報をご紹介。今回のルート上でテント泊を考えている場合は、烏帽子小屋のみ可能。また、七倉早朝到着が厳しい場合は、七倉山荘への前泊がおすすめです。
野口五郎小屋

野口五郎岳直下、家族経営のこぢんまりとしたな山小屋。裏銀座の長い縦走路の途中、突如現れる姿はまさにオアシスのようです。小屋の名物は手作りの「ごろりんアイス」。暑い縦走路での食べるアイスは格別!テント場はありませんので注意しましょう。
烏帽子小屋

ブナ立尾根を登り切った場所、裏銀座コースの起点として便利な烏帽子小屋。シラビソの森に囲まれた山小屋です。テント場も20張ほどあります。夕食のボルシチが有名。
また7月には小屋前のイワギキョウが美しく咲き乱れます。
七倉山荘

裏銀座への入り口七倉に位置する七倉温泉の一軒宿。登山の前泊や、日帰り温泉としての利用も可能です。こちらも10張程度ですがテント泊可能です。
登山口までのアクセス方法
クルマは七倉山荘まで乗り入れ可。七倉山荘〜高瀬ダム間は認可を得た特定タクシーもしくは徒歩になります。公共交通の場合はバス路線がないため、信濃大町駅からタクシーとなります。
クルマの場合
長野道「安曇野」IC→県道306号→県道326号→七倉山荘(約60分・約40km)
公共交通機関の場合
JR大糸線「信濃大町」駅からタクシー→七倉ダム(約45分)
七倉~高瀬ダムの特定タクシーについて

前述の通り、七倉から登山口の高瀬ダムまでは、特定タクシーのみ通行可能です。料金は片道2,400円。1台につき4名まで乗車可能なので、グループで行くか、もしくは登山者同士で声を掛け合い、乗り合わせすることが多いようです。
また下山時は高瀬ダムにタクシーが待機していない場合、ダム堰堤にある公衆電話より呼び出すことができます。電波が通じない可能性があるので、呼び出し用の小銭を用意しておきましょう。
大町市観光協会|バス・タクシー
下山したら行きたい温泉情報
下山したらやっぱり温泉。縦走の疲れをゆっくり癒しましょう。タクシー利用なら七倉山荘、マイカーなら高瀬川沿いの温泉がおすすめです。紅葉の季節であれば、露天風呂から素晴らしい眺めが楽しめますよ。
葛温泉髙瀬館

高瀬川沿い、源泉かけ流し大自然に囲まれた秘湯の宿。北アルプスを背景に入浴できる野趣あふれる岩露天風呂が人気です。
葛温泉 温宿かじか

こちらも高瀬川沿いにある、こぢんまりとした温泉宿。森林に囲まれた露天風呂が自慢です。
憧れの裏銀座 野口五郎岳で静かな縦走を楽しみましょう

北アルプスのど真ん中、野口五郎岳を短い日程でも十分楽しめるプランをご紹介しました。憧れの北アルプス裏銀座「野口五郎岳」。十分な準備をして臨めば、最高の山行になること間違いありません!