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権現岳(ごんげんだけ)ってどんな山?難易度は?

標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
---|---|---|---|---|
2715m | 長野県・山梨県 | 八ヶ岳 | 13.6℃ | 6.0℃ |
権現岳は、八ヶ岳連峰の南側に位置する標高2715mの山です。山頂に八雷神(やついかずちのかみ)の権現社が祭られていることから、権現岳という名前がついたとされています。
見どころ①南八ヶ岳の山々が見渡せる!

途中の三ツ頭や権現岳山頂からは、赤岳をはじめとして、阿弥陀岳、編笠山など南八ヶ岳の山々を一望することができます。また、天候に恵まれれば北アルプスや南アルプス、富士山を望むことも。360度の大展望が待っています。
見どころ②最高地点は岩の上!山頂には鉄剣が

権現岳の山頂は岩の上。山頂直下には祠が、山頂には鉄剣が突き刺さっており、権現岳が山岳信仰の山であったことをうかがわせます。
権現岳の難易度は?初心者でも登れる?

権現岳への登山コースは信州・山梨の山のグレーディングで難易度Cに設定されており、地図読み能力、ハシゴ・鎖場を通過できる能力が求められます。自分のレベルに合った山であるかどうか、コースの詳細を確認しましょう。
権現岳の天気
権現岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
山と高原地図 八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰
昭文社 山と高原地図 八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰
権現岳へ最短距離で!登山コース(日帰り可能)
このコースは権現岳へ最短距離で行けるピストンコース。日帰りも可能ですが途中急な登りや鎖場もあるため、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。
①天女山登山口~三ツ頭~権現岳登山コース(ピストン)
最高点の標高: 2667 m
最低点の標高: 1535 m
累積標高(上り): 1407 m
累積標高(下り): -1407 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:8時間45分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
※このコースは山梨 山のグレーディングで「1泊以上が適当・難易度C(地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要)」に設定されています。標準コースタイムより速く登れる方、早朝からアタックができる方以外は宿泊を前提にした登山計画をおすすめします。
【往路】天女山駐車場(15分)→天ノ河原(180分)→前三ツ頭(50分)→三ツ頭(60分)→権現小屋
【復路】権現小屋(40分)→三ツ頭(35分)→前三ツ頭(120分)→天ノ河原(10分)→天女山駐車場
登り始めは丸太の階段ですが、しばらくすると登山道へと変わります。登山口から天ノ河原までは、比較的なだらかな道が続きます。

天ノ河原からは徐々に勾配がきつくなります。標高2000mを越えると階段のない急な坂道へ。「ここが一番きつい」の看板が目印です。
さらに標高2200mの石碑を越えると「あと10分 ガンバレ」の看板が。木の根が張り出した登山道を進み稜線を目指します。

前三ツ頭からは稜線上に出て、一気に視界が開けます。だんだんと樹木も減り、岩がゴロゴロした登山道に。10分ほどで三ツ頭に到着です。ここからは、天気がよければ赤岳、西岳、阿弥陀岳、編笠山まで見渡せます。

三ツ頭から山頂まではさらに岩場続き。ガレ気味なので注意して進みましょう。山頂までは岩壁の鎖場が二箇所あります。鎖場を登り切ると、景色が開けて編笠山、西岳が。青い屋根の青年小屋も見えてきます。そこから山頂まではもう一息です。

「権現岳山頂 山梨百名山」の看板から本当の山頂までは、数メートル。鎖のない急な岩場を登っていきます。一番てっぺんには「権現岳」の看板が。山頂はとても狭く岩の上にひとりが立てる程度です。

山頂からは天気が良ければこんな絶景を見ることができます。帰りは来た道を下山し、天女山登山口でゴールです。
人気の縦走コース!編笠山~権現岳(日帰り可能)
次にご紹介するのは、編笠山~権現岳を登頂する人気の縦走コース。体力や脚力に自信がある方なら日帰り登山も可能です。
②観音平~編笠山~権現岳登山コース(周回)
最高点の標高: 2667 m
最低点の標高: 1511 m
累積標高(上り): 2126 m
累積標高(下り): -2126 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:8時間30分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
※このコースは信州 山のグレーディングで「1泊以上が適当・難易度C(地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要)」に設定されています。標準コースタイムより速く登れる方、早朝からアタックができる方以外は宿泊を前提にした登山計画をおすすめします。
【往路】観音平(60分)→雲海展望台(50分)→押手川(85分)→編笠山(20分)→青年小屋(90分)→権現小屋
【復路】権現小屋(40分)→三ツ頭(60分)→木戸口公園(60分)→八ヶ岳神社(45分)→観音平
観音平から雲海展望台までは、緩やかな笹原を進んで行きます。カラマツの樹林帯を進み、岩の割れ目を抜けると雲海展望台に到着。天気が良ければ、雲海の中にたたずむ富士山を望むことができます。

雲海展望台を過ぎると、そこからは岩まじりの登山道へと変化していきます。所々、木の根が張り出した箇所も。少し傾斜のついた岩場を抜けると押手川へと到着です。
押手川を越えるとさらに傾斜が増して、八ヶ岳らしいゴロゴロとした岩の道へ。山頂に近づくにつれて急登になっていきます。

編笠山の山頂は広く、八ヶ岳の山々が連なる様子を堪能できます。

編笠山山頂からの景色を堪能した後は、青年小屋へ向かいます。ここからはゴロゴロとした岩場を下っていきますので、転倒に注意しましょう。居酒屋風の赤い提灯が青年小屋の目印です。

青年小屋から権現岳山頂までは2箇所の鎖場を越えます。まずは、西ギボシへ。斜度は急ですが、鎖もあり足も置きやすい岩場なので、自分のペースで登れば大丈夫。落石には注意しながら進みましょう。そこを越えたら次は東ギボシへ。斜面を巻いて、鎖場をもう1箇所通過すれば岩場はクリアです。

稜線に乗り権現小屋へ到着したら、そこからからキレット方面への分岐へ。分岐を越えて岩場を登って行けば5分ほどで権現岳山頂へ到着します。

帰りは三ツ頭方面に下山します。三ツ頭を越え、前三ツ頭の分岐では木戸口公園方面へ。

前三ツ頭の分岐からは、シラビソ、コメツガの林を下っていきます。途中で木戸口公園の広場を越えて笹原をひたすら下ると八ヶ岳横断歩道分岐が。観音平方面に進みましょう。

八ヶ岳神社から観音平までは一度登り返します。笹原をひと登りすると1時間弱で観音平に到着です。
難易度高めの上級者向け!権現岳~赤岳縦走コース(1泊2日)
「日帰りじゃ満足できない!」という上級者におすすめなのは、1泊2日で三山をめぐるコース。前項でご紹介した編笠岳~権現岳の縦走に加え、2日目に赤岳を登頂するコースです。
③編笠山・権現岳・赤岳縦走コース(1泊2日)
最高点の標高: 2856 m
最低点の標高: 1495 m
累積標高(上り): 2753 m
累積標高(下り): -2828 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間30分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
※このコースは信州 山のグレーディングで「1泊以上が適当・難易度D(地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要、ルートファインディングの技術が必要)」に設定されています。自分の登山レベルに合ったコースであるかどうか、十分に検討しましょう。
【1日目】
観音平(60分)→雲海展望台(50分)→押手川(85分)→編笠山(20分)→青年小屋(90分)→権現小屋
1日目は前項で紹介したコースで観音平~編笠山~権現岳と登頂します。一日目は権現小屋で宿泊です。
【2日目】
権現小屋(70分)→キレット小屋(120分)→赤岳(80分)→行者小屋(100分)→美濃戸山荘(50分)→美濃戸口
権現岳から赤岳へ、まずは山頂からキレットの底部まで下へ向かってかけられた61段のゲンジー梯子を下ります。


旭岳のコルからは再び登り返します。旭岳の山頂は通過せず、西面の鎖場をトラバースして進んでいきます。旭岳山頂付近から一気に下ると、コマクサの群生地としても有名なツルネに到着です。

ツルネからキレット小屋へは、大きな岩がゴロゴロとした道を下っていきます。濃霧のときは、目印がなく分かりにくいのでハイマツを目印に進みましょう。樹林帯に入り、鎖場を1か所通過するとキレット小屋です。

キレット小屋からザレ場を過ぎると、そこからはルンゼ状の岩場が始まります。岩にペンキで書かれた指示に沿って進みましょう。

天狗尾根ノ頭の直前からは、梯子や鎖場が断続的続きます。この難所を越えて稜線部に出てもしばらく鎖場は続きますが、赤岳山頂へはあと一息です。

帰りは文三郎尾根を通って行者小屋方面に下山しましょう。ハシゴ、鎖場、階段とガレ場を下ります。1時間半ほど下ると行者小屋に到着。行者小屋からは、南沢を下り2時間弱で美濃戸山荘へ。

美濃戸山荘から1時間弱歩くと美濃戸口に到着です。
権現岳登山で利用できる山小屋・テント場
権現岳登山の拠点として利用できる山小屋をご紹介します。個室やテント場がある山小屋もあります。それぞれの登山計画に合わせて利用しましょう。
権現小屋(全てのコースで利用可能)

権現岳の西側、標高2700mの地点にある権現小屋。正面には南アルプス、西には北アルプス、北には八ヶ岳を望むことができます。夜はランプの明かりで静かに過ごせます。
所在地:長野県諏訪郡富士見町八ヶ岳10066
電話番号:0551-36-2251
営業期間:4月下旬~10月下旬
収容人数:50人
テント場:なし
料金 | |
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1泊2食 | 8,500円 |
素泊まり | 5,500円 |
青年小屋(②・③のコースで利用可能)

青年小屋は、標高2400m、八ヶ岳の最南端に位置します。小屋からは、富士山や北アルプスの全景を眺めることができます。テント場もあるのでキャンプもおすすめです。
所在地:長野県諏訪郡富士見町字広原編笠岳国有林1315
電話番号:0551-36-2251、090-2657-9720(直通)
営業期間:4月下旬~11月上旬
収容人数:150人
テント設営数:20張
料金 | |
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1泊2食 | 7,800円 |
素泊まり | 4,800円 |
テント | 600円/人 |
キレット小屋(③のコースで利用可能)

深い場所に位置するキレット小屋は水場もありキャンプも人気です。斜面が多いため混みあう時期は注意が必要ですが、小屋の前にはコマクサが咲き自然の中でのんびりと癒されることができます。
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出
電話番号:0266-72-3260、090-4716-2008(直通)
営業期間:7月上旬~10月中旬
収容人数:35人(個室あり)
テント設営数:15張
料金 | |
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1泊2食 | 7,800円 |
素泊まり | 4,700円 |
テント | 550円/人 |
行者小屋(③のコースで利用可能)

行者小屋は標高2340m地点にあり、赤岳、横岳、阿弥陀岳への拠点にもなる山小屋です。昼食のメニューも充実しているので親子登山にもおすすめです。大迫力の赤岳岩壁も望めます。
所在地:長野県茅野市玉川原山11400664
電話番号:090-4740-3808
営業期間:GWは6月上旬~11月上旬 年末年始は1月~3月の週末
収容人数:100人(個室あり)
テント設営数:50張
料金 | |
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1泊2食 | 9,000円 |
素泊まり | 6,000円 |
テント | 1,000円/人 |
権現岳登山口へのアクセス・駐車場情報
権現岳登山口までのアクセスをまとめました。往路と復路でコースが変わるものもあるので、登山計画に合わせて事前に確認しておきましょう。
天女山登山口へのアクセス(①のコースで利用)
【車の場合】
中央道 長坂IC-国道141号-県道28号-県道620号天女山公園線-天女山駐車場ログアウト
※県道620号天女山公園線は例年12月初旬~4月下旬まで冬季閉鎖されています。
<駐車場>
天女山駐車場
駐車可能台数:26台
料金:無料
トイレ:なし
【電車の場合】
JR小海線 甲斐大泉駅からタクシーに乗車
観音平へのアクセス(②・③のコースで利用)
【車の場合】
中央道 小淵沢IC-八ヶ岳高原ライン-県道618号観音平下久保線-観音平駐車場
※観音平下久保線は11月末~4月末まで冬季閉鎖されます。
<駐車場>
観音平駐車場
駐車可能台数:20台
料金:無料
トイレ:あり
【電車の場合】
JR中央本線 小淵沢駅からタクシーに乗車
美濃戸口からのアクセス(③のコースの下山で利用)
【電車・バスの場合】
JR 茅野駅-アルピコバス「美濃戸口線」乗車-美濃戸口バス停にて下車
権現岳で山岳信仰の歴史を感じよう

権現岳は南八ヶ岳らしい岩場の急登や、スリリングな鎖場、梯子などを楽しめるコースですが、体力や脚力も必要で中~上級者向けのコースとなります。無理はせず自分のレベルに合った登山計画を立て、山頂からの絶景を楽しんでください。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。