軽いザック、欲しいなぁ……
ハイキングやトレッキングにおける「UL=ウルトラライト」の動きはここ数年で一気に広がり、現在では一つの登山スタイルとしてすっかり定着しています。
装備や道具を軽量化することで体力の消耗を抑え、より早く長い行動が可能になるULは、テント泊など長距離・長時間の山行にも効果が大きいとされています。
ただしULは良いこと尽くしではありませんので注意が必要です。ギアの中には軽量化するために機能の一部を除いたり、耐久性を犠牲にしたりといったデメリット面もあるのです。
ちょっと待って!ザックだけ軽くしてもダメ
テント泊山行は、小屋泊や日帰りよりも道具が多いので、一つ一つのギアを軽量化すればその効果はかなり大きくなります。とりわけザックに関しては、テント泊の場合45~60リットルと大型になるので、その重量も2~3kgとかなり重くなります。ここで軽量化ができれば、かなりの減量効果が期待できます。
ただし注意したいのは、全体の重量バランスを考えながらの減量が大切である点です。前に述べた通り軽量化には犠牲が付きもので、ザックにおいては生地の厚さや耐久性などがそれにあたります。耐荷重を超えてしまうと、ザックの故障にも繋がります。
収納する道具類も軽量化しないと、ザックに過度な負担が掛かってしまう心配があるのです。
軽量ザックを選ぶときは……
1つ注意しておきたいのは「軽ければ軽いほど良い」ということはザックに関して完全に当てはまらないということです。ULの場合はザックの機能面が必要最低限だったり、取り除かれたりすることにより文字通り「ライト」なのです。気の利いた収納スペースなんていうのも期待薄。テント泊に最低限必要なギアを見極めなければなりません。
また、ザックは身体に密着する装備品でもあります。ULザックの場合軽量化目的のための、背面のワイヤーフレームが入っていなかったり、ショルダーハーネスが肉薄だったりと、背負い心地を犠牲にしている場合が多くあります。
つまりUL系ザックは、ある程度経験者向けで、尚かつ長期縦走などには向いていないと言わざるを得ません。しかし軽ければ楽に登山ができ、疲れにくければ安全登山に繋がる、そうした欠点を補って余りあるメリットがあるのがULザックなのです。
【重量順】1,000g以下のおすすめウルトラライトザック14選
以上をふまえて、軽量なザックを見ていきましょう。今回は、テント泊におすすめ&1kgを切るウルトラライトザックを紹介します。
【480g】モンベル|バーサライト パック 40
日本を代表する総合アウトドアメーカーのモンベルからリリースされたULザックがバーサライトです。フィッテイングや機能性を確保しながら軽量化を成功するあたりはさすが。価格面での優位性も群を抜いています。
容量:40L
重量:480g
【485g】トレイルバム|ステディ
考えて使いこなす楽しみをくれる、シンプルで軽量なアイテムを生み出しているトレイルバム。長距離ハイクにも対応する容量がありつつ、機能も備えたモデルです。
Trail Bum STEADY
容量 | 40L-50L |
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重量 | 485g(本体:435g、背面パッド:50g) |
サイズ | H55×W28×D15.5cm |
【540g】グラナイトギア|ヴァーガ2
1986年アメリカのミネソタ州で生まれたザックメーカー。雨蓋を排し、トップロールスタイルで軽量化を図る手法は同社の得意とすることころです。「VIRGA 2」はトップロールとシンプルなデザインが人気の定番モデルです。
GRANITE GEAR VIRGA 2
容量 | 54L |
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重量 | 540g |
サイズ | ワンサイズ |
背面長 | 46-53cm |
【535~567g】山と道|ONE
2011年に夫婦で創業したウルトラライトが中心のアウトドアギアメーカー。長距離縦走ができる軽量ザックをテーマに作られた「One」背面にクロスされたカーボンのフレームをにより、クラス最軽量ながら長時間背負い続けても疲れにくいのが特長です。
容量:535g~567g (Without Accessories)
重量:50L-55L
【602g~649g】山と道|THREE
山と道の中型ザック「Three」は、軽量でもしっかりとした背負い心地を実現するため、パッド状の背面フレームを採用しています。またヒップベルトは細見ながら、絶妙な配置により安定感を確保しています。
容量:(M)40L、(L)45L重量:Mesh:(M)602g、(L)630g、Standard:(M)620g、(L)645g、Zip:(M)625g、(L)649g
【650g】オガワンド|OWN
軽量でシンプルなアウトドアギアを生み出す日本発のガレージブランドがオガワンドです。同社のフラッグシップモデル「OWN」の最大の特徴は25Lから50Lまで容量が可変する独自システムです。またショルダーハーネスの位置が調整でき、さまざまな体格に対応することができます。
容量:25〜50L重量:650g
【650~660g】ロウロウマウンテンワークス|アンテロープ
ロウロウマウンテンワークスは2人のバッグデザイナーが2015年に立ち上げた東京発のメーカーです。「Antelope」は80年代風の雰囲気をまとったモデル。デザイナーのディテールへのこだわりを随所に感じることができます。
Rawlow mountain works Antelope
容量 | size S/M:36〜40L、size M/L:38〜42L |
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重量 | size S/M:650g、size M/L:660g |
サイズ | S/M、M/L |
背面長 | size S/M:背面長42cm、size M/L:背面長47cm |
【715g】アークテリクス|アルファ FL 40
ハイエンドユーザーからシティユースまでプレミアムなアウトドアギアを提供するアークテリクス。「Alpha FL 40」はミニマル志向のアルピニストに向けた軽量クライミングパックです。耐久性を重視しており厳しい環境下においても優れたパフォーマンスが発揮することができるモデルです。
Arc'teryx アルファ FL 40 バックパック メンズ
容量 | 40L |
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重量 | 715g |
サイズ | H63×W30×D25cm |
背面長 |
【730g】OMM|クラシック32
イギリスの伝統ある山岳レース(OMM / Original Mountain Marathon オリジナルマウンテンマラソン)の名前を冠したメーカーです。軽量性はもとより山岳レースのノウハウが詰まった製品づくりが特徴です。Classic 32はオーソドックスな外見と裏腹に非常に機能性の高いモデルです。
OMM Classic 32
容量 | 32L |
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重量 | Full Weight:730g、Leanweight:420g |
【780~860g】オスプレー|レヴィティ45
高い機能性に定評のあるアメリカのバックパックメーカー。軽量かつ通気性に優れた構造により、長距離歩行に適したモデルです。
OSPLEY レヴィティ45
容量 | (S)42L、(M)45L、(L)48L |
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重量 | (S)780g、(M)820g、(L)860g |
サイズ | (S)H63×W40×D30cm、(M)H68×W40×D30cm、(L)H73×W40×D30cm |
【799g】ハイパーライトマウンテンギア|2400 ウィンドライダー
ハイパーライトマウンテンギアは2010年に誕生した新興メーカーです。「Windrider」は数々の賞に輝く同社の顔的なモデルです。軽量で非常に丈夫なメイン素材を採用し、背面に備えた金属のステーが大容量でもしっかりとサポートします。
容量:40L
重量:799g
【863g】ゴッサマーギア|Gorilla
ゴッサマーギアはULザックを中心に展開するアメリカの小規模ファクトリーです。「Gorilla」はその代表作と言えるプロダクトで、軽量かつ強度の高い表地と、しっかりとしたショルダーハーネスやウェストベルトが装備されています。
容量:約45L
重量:863g / Mサイズ(実測値)
【860~880g】ミレー|ウェルキン 30
ミレーはフランスを代表するザックメーカー、アウトドアブランドです。「ウェルキン30」は軽量ながら通気性に優れ、収納スペースを多く確保するなど機能面を損なっていないのが特長です。
ミレー ウェルキン30
容量 | 30L |
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重量 | 880g |
サイズ | W26.2×H54×D23.6cm |
背面長 | 46cm |
ミレー ウェルキン30W(ウィメンズ)
容量 | 30L |
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重量 | 860g |
サイズ | W26.2×H54×D23.6cm |
背面長 | 43cm |
【970g〜1,294g】ゼログラム|ロスト クリーク55
アウトドアアクティビティを快適にするギアを生み出しているゼログラム。荷物の出し入れも簡単な構造と拡張性の高さが特徴。フレーム、ベルト、ポーチ、レインカバーを取り外せば、970gにまで軽量化できます。使い勝手と軽量性のバランスが優れたバックパックです。フレームを入れたら1294gですが、大型ザックの55Lでこの軽さはすごい!
ZEROGRAM LOST CREEK UL 55
容量 | 55L |
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重量 | ボディ970g /トータル1294g |
サイズ | 33×75×25cm |
背面長 | 40~54cm |
軽さがゆとりを与えてくれる
ULザックのメリットを中心にご紹介してきましたが、耐久性やフィッティングについては、一般のザックに軍配が上がります。岩場の登攀や長期縦走などが目的の場合はULザックを使うべきではないでしょう。しかし一般登山道でそれほど長い距離ではない場合、ULザックの軽さは武器になるはずです。数百グラムでも軽くなれば、携行するか悩んだギアを持って行くこともできますし、山ごはんを充実させることだってできます。あるいは余った時間でいつもより長く眺望を楽しむのもいいですね。そんなゆとりを生み出してくれる存在がULザックなのです。