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テント場

やっぱり登山用テントじゃなきゃダメ? 石井スポーツの人に聞いてきた

「今年こそ、テント泊デビューしたい!」そう考えている方は、当たり前ですがテントを準備しなくてはいけません。「キャンプ用持ってるけど、それじゃダメ?」「どう選んでいいかわからない…何か基準を教えて!」今回は、そんな『テン泊デビュー』を目論む登山者が抱くギモンを、石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さんにぶつけてみました!

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

テント泊デビューしたい! でも…

南アルプステント場

出典:PIXTA

山登りもある程度経験を積み、山小屋泊も経験し、「今年こそはテント泊デビューがしたい!」そんな方は、当然まずテントを準備しなくてはいけません。でもお金がかかるし、安い買い物でもないのは事実…。そんな時、こんな疑問が浮かぶ方も中にはいるのでは。

キャンプ用のテントはあるんだけど、それって山で使えないのかな?

もちろん登山用テントは、山で使うことを考慮して作られているのはわかるんだけど…具体的に、キャンプ用と登山用のテントって何がどう違うのでしょうか?

そこで今回はテントのスペシャリスト、石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さんにそれぞれのテントの違いについてお話を伺ってきました。

登山用テントじゃなきゃダメな理由って?

ICI増田さん

撮影:YAMA HACK編集部(石井山専 新宿東口ビックロ店主任・増田さん)

編集部(以下:編):今日はよろしくお願いします。ところで、初めて山でテント泊しよう!という人の中には、登山用テントは持ってないけどキャンプ用は持ってて、「それを使えないかな?」と考える方、案外いるのでは…と思うのですが。
やっぱり登山用テントじゃないとダメでしょうかね?

増田さん:そうですね。結論から言うと、キャンプ用のものを登山で使用するのはお勧めできません。

キャンプ用テントというと、オートキャンプ用をイメージすると思います。でも、そもそも「自分で背負って移動する」ということを想定して作られていない。みんな車で運んじゃいますから。
もし持ち運ぼうと思ったら、リュックの中がテントだけでぱんぱんになってしまうサイズだと思います。

編:なるほど…では、登山用テントはキャンプ用に比べて、持ち運びがしやすく収納サイズが小さいということなんですね。

増田さん:はい、でも登山用テントがコンパクトなのは、「持ち運びがしやすいから」という理由だけではないんです。

山では限られたスペースでテントを張る

ファミリーキャンプの様子

出典:PIXTA

増田さん:キャンプの場合だと、広大なキャンプ場に、自分が快適に過ごせる空間を作るためにテントを張ります。キャンプではそうした居住性を重視することが多いので、テントも立ったまま入れたり、広々としたスペースを確保したりといったものが多くなります。そのためテントも大きくなる傾向にあるんですね。

北アルプス・薬師峠のキャンプ場

出典:PIXTA(北アルプス・薬師峠のテント場)

でも登山の場合はそうはいきません。山は不整地であることが多いですから、テントを張れるスペースは限られてくる。そんな時、大きなテントだと周りにも迷惑になってしまいます。

編:そうか、山のテント場って、そりゃあ平地のキャンプ場に比べたら全然狭いですよね…。

山岳地ならではの環境にも配慮

モンベルステラリッジテント

出典:mont-bell(登山用テントの人気モデル・モンベルのステラリッジテント)

増田さん:さらに、その耐久性にも違いがあります。標高の高い山間部では強い風が吹くのは当たり前。多くの登山用テントは、この風を受け流しやすいような形状で作られています。垂直の壁だと、そのまま風をくらってしまいますよね。高所登山のベースキャンプで使われる大きなテントでも、風対策で丸い形をしています。

出典:Amazon(ベースキャンプ用の大きいテント)

増田さん:さらに高さも、風の影響を受けることもあって、個人用のテントは高いもので1.2mと腰ほどの高さで低めに作られているものが多いんですよ。

編:たしかに、背が高いともろに風の影響受けちゃいますもんね。

増田さん:それでも飛ばされちゃう事もあるぐらいです。
その点、キャンプ用テントは居住性を重視しているので、登山用ほど背が低くないものが多いです。そのぶん、風に煽られる可能性も増えるので、登山には向いていないと言えます。

編:なるほど。登山用とキャンプ用では、根本的に用途が異なるので特徴も違う、ということですね! そういえば、ツーリング用のテントってあると思うんですが…あれとはどう違うんでしょう?

ツーリング用テント

増田さん:たとえば、ポップアップテントなどが挙げられます。設営に手間がかからず、またバイクに括り付けていくため、“軽量でコンパクトである”という点は登山用と共通しています。
しかし厳しい山岳環境で立てるわけではないので、ポールや生地の耐久性は登山用には劣る、といった感じでしょうか。

編:何だか話を聞いていると、一番価格帯が安そうなのが、ツーリング用テントなのかな?と思いました。

増田さん:そうですね。「とりあえず雨風を防げる空間を作る」という目的のものが、ツーリング用テントかと思います。ここに高所の環境に対応する耐久性が加わると登山用テント、居住性重視のものはキャンプ用。そのように考えて頂くとわかりやすいのではないでしょうか。

まとめてみると…

テント比較表

単純に比較してみると、上記のような図になります。キャンプ用テントに耐久性がないというわけではありません。優劣の問題ではなく、登山・キャンプ・ツーリングはそれぞれ用途と目的が異なるため、それに即したテントがあるというわけですね。

増田さん:その通り。「自分が持ち運ぶ」「すぐにエスケープが出来ないので、何かあった時のために耐久性を持たせる」それを突き詰めていったのが登山用テントというわけです。

編:『登山するなら、そのために作られた登山用テントを使うべき』という理由がしっかり理解できました!

これだけは押さえたい! 初めて登山用テントを買う時のポイント

テント選びを手伝ってくれる石井山専増田さん

撮影:YAMA HACK編集部

編:では、テントの種類について違いがわかったところで『いざ!初めて山用テントを買うぞ!』という方に”ここだけは押さえとけ!“というポイントなどはあるでしょうか。

増田さん:一つ必ず頭に置いていて頂きたいのが、「白銀の雪山の中でテント泊をするのか、寒いのはイヤだから雪山は山小屋に泊まるのか」ということです。
山用のテントは『春・夏・秋使える3シーズン用テント』、『冬まで使える4シーズン用テント』にわかれます。「やっぱりみんなと登ってたら、雪山テント泊もしてみたいな…」とそのうち思うかもしれません。そんな時、持ってるテントが雪山対応じゃないものだと、もう一張買わなきゃいけなくなる。

積雪のテント場

出典:PIXTA

編:はぁ~。『自分は雪山テント泊をやるのか、やらないのか』が重要なポイントというわけですね。でも最初からそんなことわからないかも。やるかもしれないしやらないかもしれないし…

増田さん:行くかわからないけど、行ってみたくなるかもな~という方は、最初から4シーズン用を選んでおくのがおすすめですよ。心がゆらぎやすい方は、ツブシが利く方がいいです(笑)

編:なるほど! 増田さんはご接客されてて、そういうお客様はいますか?「やっぱり雪山も行きたくなったから、2張め買いに来ました!」という方。

増田さん:結構いらっしゃいますよ。『4シーズン用買っておいたんだけど、冬は荷物も増えるしもう少し軽くて小さいものが欲しい』という方なんかもいらっしゃいます。
実際にたくさん山へ行ってご自分で使われていくと、荷物との兼ね合いが精査されてくるからでしょうね。

テント選びは、物件選びと一緒です!

ICI石井山専の増田さん

撮影:YAMA HACK編集部

増田さん:イメージするテント泊って、人それぞれだと思うんです。テントを選ぶ時は、そこのイメージをとにかく膨らますことが大事。
『山で使うお家』なので、自分にとって一番重要な要素は何かを決めておくと選びやすいですね。女性なら『力がなくても立てられるものがいい』とか、背が高い男性だったら『足を伸ばして寝たいなぁ』とか。

編:物件選びと同じですね! なるほど、すごく腑に落ちました。

増田さん:『ここは妥協したくない!』という点を決めておけば、あとはトーナメントみたいに『雪山に行くのか・行かないのか』『数人でわいわいしたいのか・1人でどんどん距離を伸ばして小屋泊にとらわれない登山がいいのか』…といった形で、自然と理想的なテントが絞られてくるはずです。

編:その要求だとお家賃これくらいになりますけど、どうですか?ということですね。

増田さん:そうです。じゃあその条件だと重量これくらいになりますけど、持てますか?ということ。譲れないポイントと妥協点を見つけるという点においては、物件選びと同じですね。

テント泊で今までとは違った景色を見にいこう!

大天井岳

出典:PIXTA

増田さん:テント泊を始めることで、今までとは違う『時間にとらわれない山行』を楽しんで頂けると思います。それによって、見える景色も変わってきますので、これから始めようという方はぜひ今までとは違った景色を見に、テント泊を始めて頂ればと思います。


大まかなテントの種類の違いから、選び方のポイントまでをお伺いしてきました。要点をまとめると、

・山には山に適した機能が備わったテントを選んだ方が良いこと
・初めてテントを選ぶ時は、雪山テント泊をやるのか、やらないのかを考える
・自分が山に泊まる上で、譲れないポイントはどこか

以上が重要な要素。初めてテント泊にトライしてみようという方は、ぜひその条件をもってお店の人に相談してみると、きっと理想のテントに出会えるはずです。

『衣食住』を背負って登る山は、大変だけど達成感もひとしおです。みなさんが、今年は今まで見ることができなかった素敵な景色に出会えますように!
石井スポーツ登山学校で学ぼう

アライテント エアライズ2

 

重量:1550g(本体+フレーム+フライシート) サイズ:(設営時)間口130×奥行210×高さ105cm、(収納時)本体30×15φcm、フレーム38cm

    ダンロップ コンパクトアルパインテント VS-20

     

    サイズ:間口205×奥行120×高さ100cm 収納サイズ:本体/25×ø15cm、ポール/43×9.5cm 重量:約1,660g(総重量約1,870g)

     

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