アイキャッチ画像出典:PIXTA(鳳凰三山縦走路)
南アルプスの魅力とは

3,000m超の高峰に登ってみたい、日本百名山を歩きたい、同じ目線で富士山を眺めたい、美しい高山植物を楽しみたい……南アルプスには全部あります!まずは、そんな南アルプスの魅力を紹介します。
「南アルプス」は、赤石山脈の通称

南アルプスは長野県・山梨県・静岡県に跨る赤石山脈の通称で、北アルプス(飛騨山脈)・中央アルプス(木曽山脈)とともに日本アルプスとも呼ばれて親しまれています。
ダイナミックな連山の様はとても美しく、多くの登山者を魅了。3,000m超の高峰や日本百名山、花の百名山に選定されている峰も。環境保全と活用の取り組みもなされており、今なお原生の自然を体験できる場所です。
2014年には、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域である、生物圏保存地域「ユネスコエコパーク」に登録されています。
3000m峰が9座!

南アルプスには北岳をはじめ、中白根山・西農鳥岳・農鳥岳 ・仙丈ヶ岳 ・塩見岳 ・荒川岳・赤石岳そして聖岳と、3,000m超の高峰が9座も存在します。
なかでも南アルプス最高峰の北岳は富士山に次いで日本で2番目に高い3,193m、間ノ岳は奥穂高岳と並んで日本で3番目の3,189mを誇ります。
日本百名山が10座!

南アルプスで日本百名山に選定されているのは、甲斐駒ヶ岳・鳳凰三山・北岳・間ノ岳・仙丈ヶ岳・塩見岳・荒川岳・赤石岳・聖岳・光岳のなんと10座。
どれも個性的な山容で、荒々しい印象の峰もあれば雄大で優しい印象の峰も。見るのも良し、登るのも良し、さまざまな楽しみ方ができるのも南アルプスの魅力と言えます。
富士山が美しく見える!

南アルプスは高峰連山の中で最も富士山に近いということで、素晴らしい富士山の眺望を期待できます。まるで同じ高さに居るかのような目線で観る大きな富士山には「感動!」の一言。これを味わえるのは南アルプスならではの醍醐味ではないでしょうか。
広大なお花畑!

南アルプスには北岳・鳳凰三山・塩見岳・仙丈ヶ岳・荒川岳といった花の百名山に選定されている峰も5座あります。中でも北岳や仙丈ヶ岳に広がる高山植物のお花畑は、現実離れした美しさ。何度でも訪れたくなります。
南アルプス入門におすすめの3座
入門におすすめの3座はそれぞれ広河原・北沢峠からのアクセスが良好。登山者が多く、野外学習で訪れる子供達の団体なども見られるので、初めて南アルプスを訪れる方でも比較的安心して歩ける峰です。
甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)

何とも荒々しい山容が迫力の甲斐駒ヶ岳。他の峰から観てもひときわ堂々たる姿を楽しむことができます。山頂付近は大きな岩を乗り越えつつの急坂になりますが、脇にはなだらかな巻きルートも用意されているので、無理なく登頂できます。
【標高】
2,967m
【おすすめ登山ルート】
北沢峠バス停 – 双児山 – 駒津峰 – 甲斐駒ヶ岳 – 駒津峰 – 仙水峠 – 北沢峠バス停
【最適日数】
日帰り
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仙丈ケ岳(せんじょうがたけ)

「南アルプスの女王」の異名を持つ仙丈ヶ岳は、雄大で優しい印象の山容がとても魅力的。山頂付近の稜線に出ると、眼下には母性すら感じる壮大なカールが広がっています。
登山道はいたってシンプルなので経験の少ない方にもおすすめできますが、3,000mを超えるので体調と相談しながら登頂しましょう。
【標高】
3,033m
【おすすめ登山ルート】
北沢峠 – 大滝ノ頭五合目 – 馬ノ背ヒュッテ – 仙丈ヶ岳 – 小仙丈ヶ岳 – 北沢峠
【最適日数】
日帰り
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鳳凰山(ほうおうざん)

鳳凰山は「地蔵岳」 「観音岳」 「薬師岳」の3峰の総称で、鳳凰三山とも呼ばれています。
特徴的なのは地蔵岳山頂の「オベリスク」と呼ばれるとても大きな尖塔。これが鳥の嘴に見えることが「鳳凰」の由来という説もあります。他の峰からでもすぐにわかるので、探してみてください。
【標高】
2,764m(地蔵岳)、2,841m(観音岳)、2,780m(薬師岳)【おすすめ登山ルート】
夜叉神峠登山口-夜叉神峠-南御室小屋-薬師岳-観音岳-赤抜沢ノ頭-地蔵岳-赤抜沢ノ頭-観音岳-薬師岳-南御室小屋-夜叉神峠-夜叉神峠登山口【最適日数】
1泊2日以上
建て替え工事に伴い休業していた鳳凰小屋(宿泊棟)は、2024年10月19日より営業を再開しています。テント場の再開時期は未定です。営業日など最新の情報は鳳凰小屋の公式サイトをご確認ください。
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さらに南アルプスを楽しみたいひと向けの3座
じっくり南アルプスを楽しみたいという方はもっと奥まった峰を目指してみてはいかがでしょう。登り6〜8時間、山で一泊して下山という行程なら、さらに南アルプスを堪能できます。
奥まった峰は比較的登山者も少ないので静かな山歩きを楽しめますが、その分リスクも高まります。初級者は経験者に同行してもらいましょう。
光岳(てかりだけ)

古くは「三隅嶽」と呼ばれた光岳は南アルプスの最南端に位置します。ほとんどが樹木に覆われていますが、山頂付近の岩峰が夕日に照らされて光って見えることから「光岳」と呼ばれるようになりました。
【標高】
2,592m
【おすすめ登山ルート】
易老渡-面平-平らな広場-馬の背-易老岳-三吉平-光岳小屋-光岳-光石-イザルヶ岳-易老岳-面平-易老渡
【最適日数】
1泊2日
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聖岳(ひじりだけ)

屋根のような形が特徴の聖岳。南アルプスの中でもひときわ奥深い場所に位置しており、俗世界から離れた聖なる山というのが、名前の由来であるとも言われています。
稜線からの大崩壊地の荒々しさと、どっしりとした重厚感を兼ね備えた景観に息をのみます。
【標高】
3,013m【おすすめ登山ルート】
易老渡-聖光小屋-西沢渡-苔平-薊畑-聖平小屋-薊畑-小聖岳-前聖岳-小聖岳-苔平-西沢渡-聖光小屋-易老渡
【最適日数】
1泊2日
※令和5年12月下旬より、地質調査に伴う通行止めとなっている箇所があります。詳細情報は長野県飯田市HPにて確認してください。
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塩見岳(しおみだけ)

南アルプスのほぼ中央に位置する塩見岳。東峰と西峰で構成される双耳の山容がユニークです。
なかなかアプローチのしづらい峰ですが、百名山と花の百名山に選定されている3,000m超の名峰をじっくり味わうことができます。
【標高】
3,047(西峰)、3,052m(東峰)
【おすすめ登山ルート】
鳥倉登山口 – 豊口山間のコル – 塩川ルート分岐 – 三伏峠 – 本谷山 – 塩見小屋 – 塩見岳 – 塩見小屋 – 本谷山 – 三伏峠 – 塩川ルート分岐 – 豊口山間のコル – 鳥倉登山口
【最適日数】
1泊2日
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高峰に挑戦したいひと向けの4座
南アルプスには3,000m超の高峰が9座ありますが、代表的な峰は北の北岳と南の赤石岳でしょうか。
それぞれ個別に登頂するのもいいですが、赤石岳と荒川岳、北岳と間ノ岳は縦走が可能なので、時間をとってじっくりと南アルプスの高峰を歩くのも素敵です。
赤石岳(あかいしだけ)

南アルプス(赤石山脈)のシンボルとも言える赤石岳。堂々とした山容には風格すら感じます。
標高2,700m辺りまで樹林が続きますが、山頂からの眺望は360度の大パノラマ!富士山・奥秩父・八ヶ岳、遠くには槍ヶ岳まで見ることができる絶景です。
【標高】
3,121m【おすすめ登山ルート】
椹島 – 中電基準点 – 樺段 – ボッカ返し – 尾根上の小ピーク – 赤石小屋 – 富士見平 – 砲台型休憩所 – 椹島下降点 – 赤石岳避難小屋 – 赤石岳 – 椹島下降点 – 砲台型休憩所 – 富士見平 – 赤石小屋 – 尾根上の小ピーク-ボッカ返し – 樺段 – 中電基準点 – 椹島
【最適日数】
1泊2日
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荒川岳(前岳・中岳・悪沢岳)

荒川岳は前岳・中岳・悪沢岳(東岳)の3峰の総称で、荒川三山とも呼ばれています。
前岳と中岳は非常に隣接していて、15分程度で縦走が可能。中岳から悪沢岳も1時間45分程度で縦走できます。日程に余裕があれば赤石岳まで足を延ばすのもおすすめです。
【標高】
3,141m(悪沢岳=東岳)【おすすめ登山ルート】
林道ゲート – 豊口山登山口 – 豊口山間のコル – 三伏峠 – 烏帽子岳 – 小河内岳 – 板屋岳 – 高山裏避難小屋 – 前岳 – 東岳 – 前岳 – 荒川小屋 – 大聖寺平 – 小赤石岳 – 赤石岳 – 富士見平 – 赤石小屋 – カンバ段 – 椹島
【最適日数】
3泊4日
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間ノ岳(あいのだけ)

日本では奥穂高岳と並んで3番目に高い山である間ノ岳。南北の農鳥岳・北岳とともに白峰三山とも呼ばれており、稜線上は高山植物の宝庫です。
これと言って難所のない間ノ岳ですが、山頂までの稜線は吹きさらしになるので、風の様子を見ながら歩きましょう。
【標高】
3,190m
【おすすめ登山ルート】
広河原 – 白根御池小屋分岐 – 白根御池 – 大樺沢二俣 – 八本歯のコル – 分岐 – 吊尾根分岐(20分)→北岳 – 吊尾根分岐 – 北岳山荘 – 中白根山 – 間ノ岳 – 農鳥小屋 – 西農鳥岳 – 農鳥岳 – 大門沢下降点 – ゴーロ帯上端 – 直進 – 峠 – 大古森沢 – 大門沢登山道入口 – 奈良田第一発電所 – 奈良田駐車場[丸山林道入口] – 奈良田【最適日数】
2泊3日
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北岳(きただけ)

富士山に次いで日本で2番目に標高が高い山である北岳。南アルプスでもいちばん人気のある峰と言えます。
3,000m超・日本百名山・花の百名山であり、素晴らしい富士山の眺望も期待できる、とても贅沢な山。広河原からのアクセスが良いのもうれしいポイントです。
【標高】
3,193m【おすすめ登山ルート】
広河原 – 白根御池小屋分岐 – 白根御池 – 小太郎尾根分岐 – 北岳肩ノ小屋 – 両俣小屋分岐 – 北岳 – 両俣小屋分岐 – 北岳肩ノ小屋 – 小太郎尾根分岐 – 白根御池 – 白根御池小屋分岐 – 広河原
【最適日数】
1泊2日
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一度行ったら病みつきに!

個性的な山容が楽しい南アルプスには高峰あり、高山植物あり、絶景の富士山あり!大きな魅力がたくさん詰まっています。
北アルプスや八ヶ岳に比べるとアクセスなどの面でなかなか行きにくいエリアですが、その分比較的入山者も少ないため、じっくりと山を楽しみたいひとには特におすすめ!きっと病みつきになるはずです。
山と渓谷社 ヤマケイアルペンガイド 南アルプス
昭文社 山と高原地図 日本アルプス総図