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燕岳ってどんな山?

標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
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2,763m | 長野県大町市・安曇野市 | 北アルプス南部 | 16℃ | 1.8℃ |
日本二百名山、新日本百名山にも数えられる燕岳(つばくろだけ)。「アルプスの女王」とも呼ばれ、花崗岩がむき出しになった美しい造形美は、多くの登山者を惹きつけてやみません。山頂付近には、ピンク色の可憐な高山植物・コマクサが群生し、フォトジェニックな風景が続きます。

北アルプス一の鋭鋒・槍ヶ岳をバックに撮影できる通称「イルカ岩」。ほかにも、穴が2つ空いた「めがね岩」など、ユニークな形をした奇岩がそこかしこにあります。
燕岳のの天気と地図をチェック
ルートが長くなる縦走登山では、天候や体力に応じて行程の変更の可能性もあります。その際に山域全体を見られる登山地図は必須アイテム。計画時からエスケープルートの想定にも役に立つので、手に入れておきましょう。
燕岳のふもと(安曇野市)の10日間天気
日付 | 03月24日 (月) | 03月25日 (火) | 03月26日 (水) | 03月27日 (木) | 03月28日 (金) | 03月29日 (土) | 03月30日 (日) | 03月31日 (月) | 04月01日 (火) | 04月02日 (水) |
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天気 | ![]() 曇一時雨 | ![]() 晴 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 晴のち曇 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 晴一時雨 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 曇 | ![]() 曇 |
気温 (℃) | 20 1 | 22 7 | 21 12 | 23 7 | 21 13 | 11 6 | 9 -1 | 10 -1 | 10 1 | 12 3 |
降水 確率 | 50% | 40% | 40% | 40% | 90% | 80% | 30% | 50% | 40% | 40% |
データ提供元:日本気象協会
燕岳の登山指数
日付 | 03月25日 (火) | 03月26日 (水) | 03月27日 (木) | 03月28日 (金) | 03月29日 (土) |
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登山 指数 |
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登山指数の留意点
登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。
- 雷の発生の可能性
- 前日の天気による道のぬかるみ
- 局地的大雨
- 土砂災害の発生の可能性
- 雪崩の発生の可能性
- 噴火の可能性
- 積雪の有無
- 濃霧
- 低温または高温
- 虫やヒルなどの発生状況
山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。
データ提供元:日本気象株式会社
燕岳周辺の山と高原地図
山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地
初級者向け|北アルプス入門!合戦尾根往復コース
最高点の標高: 2720 m
最低点の標高: 1455 m
累積標高(上り): 1673 m
累積標高(下り): -1673 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 1泊2日
- コースタイム:8時間5分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
北アルプスの入門コースとしても有名な中房温泉からの往復コースです。途中の合戦小屋より燕山荘まで続く合戦尾根は「北アルプス三大急登」と呼ばれており、少しハードではありますが徐々に展望が開けていき、気分も高まります。
健脚であれば日帰りでも可能ですが、初級者は人気の山小屋「燕山荘」に1泊するのがおすすめです。縦走に挑戦する前に、まずはこの往復コースを歩くことを初級者は目標にしましょう!

1日目は中房温泉の登山口からスタートして合戦尾根を登りきり、燕山荘にて宿泊します。道が整備されているので歩きやすいのが特徴ですが、合戦尾根はじわじわと登りが続くので、バテてないように注意しましょう。

登山口から合戦小屋までは樹林帯を登っていきます。途中ベンチや水場もあるので、休憩を取りながら登りましょう。合戦小屋では名物のスイカが大人気です!燕山荘までの残り1時間半は急登の合戦尾根を登るので、スイカでエネルギーチャージしておきましょう。

合戦尾根を登りきると、燕山荘に到着です。チェックインを済ませ、身軽にしてから燕岳の山頂を目指しましょう。

気持ちのいい稜線を歩いて燕岳山頂を登った後、もと来た道を戻ります。燕山荘から山頂までは見晴らしがよいハイマツと砂礫の道が続きます。

山頂に到着!帰りはこれまで来た道を戻ります。下りが続くので慎重に歩きましょう。
▼詳細なルート案内はこちらの記事をどうぞ
中級者向け|大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳も踏破!四山縦走コース
最高点の標高: 2878 m
最低点の標高: 1455 m
累積標高(上り): 5136 m
累積標高(下り): -5075 m
- 【体力レベル】★★★★★
- 3泊4日
- コースタイム:22時間35分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
北アルプスで人気の燕岳、常念岳、大天井岳、蝶ヶ岳を踏破する欲張りなコースです。ぜひともすべての山のピークを踏みたいところですが、体力次第では山頂を巻くこともできます。
またいずれの山にも山小屋があるため、宿泊地の計画をアレンジしやすく、縦走入門としてもぴったりのコースですよ。
1日目|燕岳登山口~燕山荘
合戦尾根往復コースと同じ
2日目|燕山荘~燕岳~大天井岳~常念小屋

燕岳に登頂した後、槍ヶ岳へと続く表銀座縦走路を歩きます。緩やかで快適な稜線歩きを楽しんでいると現れるのが蛙岩(げえろいわ)。ごつごつとした岩峰で、岩の間のわずかな隙間が登山道になっています。

さらに進むと見えてくるのが槍ヶ岳と常念岳の分岐点でもある大天井岳(おてんしょうだけ)。ここから宿泊先の常念小屋まではおよそ3時間。大天井岳は標高2922mと、このコース中で最も標高が高くなりますが、山頂を巻いていくことも可能です。体力に余裕をもって行動するようにしましょう。

大天井岳から徒歩10分ほどの場所にある大天荘。ここでランチするなら、名物のインディアン・ランチがおすすめ。3種類から選べるカレーをナン&サフランライスとともにいただきます。

大天井岳から常念小屋までは、左に大天井岳から槍ヶ岳へ続く東鎌尾根を眺めながらの空中散歩。途中、岩場が点在するなだらかなルートをたどります。
3日目|常念小屋~常念岳~蝶ヶ岳

常念小屋を出て常念岳山頂までは1時間強。早めに出発すれば、山頂から日の出を見ることも可能です。山頂からは浮石に気を付けながら下り、ニッコウキスゲのお花畑を過ぎると、蝶槍まであとすこし。稜線からは槍ヶ岳から穂高へと続く美しい稜線を間近に見ることができます。

蝶槍から緩やかな稜線を進むと、蝶ヶ岳山頂へ到着。山頂は見晴らしがよく、さらに南へ続く稜線と、その先にある霞沢岳や乗鞍岳まで眺めることができます。宿泊先である蝶ヶ岳ヒュッテは山頂直下に位置し、特に槍ヶ岳・穂高の展望は北アルプス随一ともいわれています。
4日目|蝶ヶ岳ヒュッテ~徳沢~上高地

最終日は蝶ヶ岳から西へ延びる長塀尾根を下って上高地を目指します。長塀山を過ぎるころまでは緩やかですが、後半は急峻な下り道になるので注意が必要です。徳沢まで下りれば坂道は終わり!あとは梓川に沿うように上高地を目指します。

徳沢から上高地までは樹林帯の平たんな道をひたすら歩くことになります。時期によっては途中にサルが多く出没します。このあたりのサルは人慣れしていますが不用意に近づかないようにしましょう。

徳沢から徒歩約2時間で上高地を代表するスポット・河童橋に到着です。晴れていれば梓川の先に美しい穂高の峰々を見上げることができますよ。
上級者向け|登山者の憧れ!槍ヶ岳まで抜ける表銀座コース
最高点の標高: 3088 m
最低点の標高: 1455 m
累積標高(上り): 5861 m
累積標高(下り): -5800 m
- 【体力レベル】★★★★★
- 3泊4日
- コースタイム:25時間12分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
北アルプスを登る登山者にとって憧れの「表銀座コース」。名峰・槍ヶ岳を目指しての稜線歩きはまさにアルプスの真骨頂とも言えます。ぐんぐんと槍ヶ岳へと近づきテンションも上がっていく、ぜひとも挑戦したいコースのひとつですね。
1日目|燕岳登山口~燕山荘
合戦尾根往復コースと同じ
2日目|燕山荘~燕岳~大天井ヒュッテ~ヒュッテ西岳

大天井岳手前までは「常念岳・蝶ヶ岳コース」と同じルートをたどります。表銀座コースでは、稜線上にある切通岩を過ぎたあたりにある「喜作レリーフ」から大天井岳を右に巻くように迂回して進みます。

喜作レリーフを過ぎたら、西岳、東鎌尾根を経て槍ヶ岳への道のりが続きます。西岳までは比較的なだらかな道で、右側には槍ヶ岳から北に延びる、迫力ある北鎌尾根を間近に眺めることができます。

宿泊先のヒュッテ西岳は、西岳の山頂から徒歩15分ほどの場所。小屋で荷物を降ろして山頂に登れば、明日の行程になっている東鎌尾根から槍ヶ岳、穂高までをすべて見渡すことができます。
3日目|ヒュッテ西岳~槍ヶ岳

西岳を出発して現れる長いハシゴ。これまでの稜線歩きと違って、東鎌尾根は本格的な岩稜地帯。ハシゴやクサリ場、浮石に注意しつつ慎重に進みましょう。

東鎌尾根を登り切れば、槍ヶ岳まであと少し。槍ヶ岳山荘で受付をした後は軽装にして山頂を目指しましょう。山頂までは長いハシゴとクサリの連続。シーズン中は行列ができるので、落石に注意しながら進みます。
山頂からの眺めは360度。奥穂高岳まで続く美しい峰々や最深部ともいわれる水晶岳など、北アルプスの名峰を見渡せる絶景スポットでもあります。槍ヶ岳山荘からの山頂往復は1時間ほど。人が多いときは撮影をしたら速やかに降りるようにしましょう。
4日目|槍ヶ岳山荘~横尾~徳沢~上高地

最終日は槍ヶ岳山荘から一気に下山します。3084m地点から1500m以上も下るため、膝がガクガクになってしまうことも。また、歩行距離も19km弱と非常に長いため、膝に負担をかけないように歩くようにしましょう。標高差こそありますが、特に注意すべきは最初の2時間。九十九折の道を急峻な道のりを歩き槍沢を目指します。

その後は緩やかな下り道を経て横尾へ。このあたりまでくれば、上高地からの軽装のハイキング客もちらほら。ゴツゴツとした明神岳を横目に、1時間強歩けば徳沢へ。あとは「常念岳・蝶ヶ岳コース」と同じルートをたどり、上高地に到着です。
上級者向け|餓鬼岳からの縦走は、マニアックな丸山新道コース
最高点の標高: 2720 m
最低点の標高: 992 m
累積標高(上り): 2927 m
累積標高(下り): -3390 m
- 【体力レベル】★★★★★
- 2泊3日
- コースタイム:15時間43分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
四座縦走と表銀座縦走がスター街道だとしたら、こちらはかなりマニアックなコースになります。燕岳が目的ですが、登山者も中房温泉からと比べると格段に少なく、難易度がぐっと上がります。静かな山行を好む熟練登山者向けです。
1日目|白沢登山口~大凪山~餓鬼岳

餓鬼岳方面から燕岳へ続く丸山新道を選ぶ人は非常に稀で、静かな山道が続きます。ただし、初日から非常に体力を使い、岩場や足場の悪い道が続くため、ある程度の登山経験を経たうえで挑戦するのがいいでしょう。
白沢登山口には駐車場(約20台)がありますが、ゴールとなる中房温泉から戻ることを考えると、JR信濃常盤駅からタクシーを利用してアクセスするのがおすすめです。

大凪山まではアップダウンのある沢沿いの道を進みます。途中、足場の良くない場所もあるため、特に雨上がりには注意して進みます。

大凪山まではおよそ4、5時間ほど。急な坂道を登り終えるとようやく大凪山に到着します。大凪山の山頂は視界が悪く、通過点のような印象です。ここまでくれば、餓鬼岳まで急な斜面はあまりありません。

大凪山からさらに2、3時間ほど歩けば、昔ながらの山小屋の雰囲気を残した餓鬼岳に到着です。

餓鬼岳小屋から餓鬼岳山頂までは目と鼻の先。餓鬼岳小屋で荷物を下ろして軽装にしたらぜひ山頂に立ち寄りましょう。餓鬼岳は日本二百名山にも指定されている山。山頂からの眺望は非常によく、烏帽子岳や野口五郎岳といった裏銀座の全景を眺めることができます。
2日目|餓鬼岳小屋~燕岳~燕山荘

餓鬼岳小屋を抜けるとしばらく岩稜帯が続きます。足場やはしごはしっかりと固定されていますが、手袋などを持ってきておくのがおすすめです。その後は東沢乗越まで樹林帯一気に下り、再度急登。稜線に出ると、砂礫の稜線が延々と南へ続き、燕岳に至ります。

東沢乗越から燕岳へはおよそ3時間ほど。燕岳山頂から30分ほど歩けば燕山荘に到着です。もし健脚で早めについてしまったら、そのまま合戦尾根を下って中房温泉から帰ることも可能ですが、定期バスを利用する場合は到着予定時刻が間に合うかどうか、確認するようにしましょう。
3日目【燕山荘~燕岳登山口】
最終日は燕山荘から中房温泉にある燕岳登山口を目指して下るだけ。合戦尾根の往復コース(復路)と同じです。
登山口までのアクセス
ここでは各ルートの登山口へのアクセスについて紹介します。今回は主に縦走ルートのため、下山口からの帰路も事前に調べておきましょう。
中房温泉
燕岳の表玄関となる中房温泉登山口には無料駐車場が3か所ありますが、ハイシーズンの土日祝には早朝に満車となる可能性が高いです。到着時間を考慮し、山麓の駐車場から定期バスやタクシーの利用も検討しましょう。
【クルマの場合】
長野自動車道「安曇野」IC−県道306号−県道327号−安曇野市営駐車場
【公共交通の場合】
・JR大糸線 「穂高」駅より定期バス乗車(4月下旬〜11月上旬運行)−「中房温泉」バス停下車
南安タクシー|定期バス
・東京都内より「まいにちアルペン号」乗車−「燕岳登山口」バス停下車
まいたび|まいにちアルペン号
白沢登山口
下山口は中房温泉となりますが、白沢登山口までは公共交通がないため、縦走の場合は注意が必要です。
【クルマの場合】
長野自動車道「安曇野」IC−県道496号−白沢登山口
【公共交通の場合】
JR大糸線「信濃常盤」駅もしくは「信濃大町」駅よりタクシー乗車−白沢登山口
初級者から上級者まで楽しめる北アルプス屈指の人気の山

燕岳は初級者が北アルプスで最初に登る山として非常に人気のあり、合戦尾根はいつも混雑しますが、そこから続く峰々は上級者まで楽しめるルートがたくさん!憧れのままにせず、ぜひチャレンジしてみてくださいね。