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五竜岳を中心とした複数の登山ルート

五竜岳からは遠見尾根ルートや八方尾根ルートのみでなく、鹿島槍ヶ岳や唐松岳といった山へと続く登山ルートがありますので、五竜岳を中心とした縦走を楽しむことができます。
五竜岳の登山適期は?

五竜岳のおすすめシーズンは7月中旬から10月上旬の無雪期です。7月は高山植物が咲き誇り登山者の目を楽しませてくれます。また、9月以降になるとダケカンパなどの紅葉で山肌が美しく彩られますが、ゴンドラ乗車時に大混雑するため、出発の際は早めの行動を心がけましょう。
五竜岳の天気と地図を事前にチェック!
五竜岳は標高が3,000m近くあるということもあり、麓の天気とは異なります。天候もとても変わりやすいため、事前に天気をしっかり確認し万全の準備をして登山に臨みましょう。また縦走では距離が長いため、全体ルートを把握できる紙の地図が便利です。
てんきとくらす|五竜岳
昭文社 山と高原地図|鹿島槍・五竜岳
唐松岳〜五竜岳|最もポピュラーな1泊2日縦走ルート
最高点の標高: 2772 m
最低点の標高: 1517 m
累積標高(上り): 2721 m
累積標高(下り): -3039 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:12時間55分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
八方池に写る白馬三山などの絶景を見ながら八方尾根ルートを進み、唐松岳、五竜岳を経由して遠見尾根ルートへ抜けていく縦走ルートです。1泊2日で歩けることもあり、五竜岳の最もポピュラーな縦走コースになります。
八方アルペンラインを利用し、八方池山荘からスタートします。白馬三山の姿を横目に登山を始めましょう。
八方山には特徴的なケルンが多数あります。登山道とケルンを照らし合わせながら進みましょう。
雄大な北アルプスが拝める絶景スポットの八方池。ここまでは登山届不要のトレッキングエリアということもあり、観光客で賑わいます。ここから唐松岳が本格的な登山道。勾配がキツくなるため、しっかりと休憩をとります。
唐松岳頂上山荘は唐松岳まで20分の好立地。きれいな山小屋のため、ここに宿泊するのもおすすめです。
唐松岳から五竜岳の稜線歩きは絶景です!振り返って歩いてきた八方尾根を眺めるのも楽しいですよ。
このルートの難所である牛首は、切れ立った岩場を進む高度感のある鎖場です。連休などには渋滞ができる場所ですが、一歩ずつ確かめながら焦らずに進みます。
宿泊地の五竜山荘に到着したら、重い荷物をデポして頂上に向かいましょう。

五竜岳の頂上からは剱岳などの勇姿が見られます。

アルプス平からゴンドラで下山する際は、ぜひ白馬五竜高山植物園を見て行ってください。200万株以上の高山植物が見られる日本有数の植物園です。
八方アルペンラインの情報
八方ゴンドラリフト「アダム」とアルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトがセットになったアルペンラインを利用することで、八方池山荘まで行くことができます。
爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳〜五竜岳|日本百名山の2峰を巡る、2泊3日コース
最高点の標高: 2847 m
最低点の標高: 1325 m
累積標高(上り): 4849 m
累積標高(下り): -4754 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 2泊3日
- コースタイム:19時間52分
- 【技術的難易度】★★★★★
- ・岩場、雪渓を長時間継続して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術に加え、撤退などの判断能力ができる
【2日目】冷池山荘(80分)→布引山(50分)→鹿島槍ヶ岳南峰(30分)→鹿島槍ヶ岳北峰(120分)→キレット小屋
扇沢駅からスタートし、爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳、五竜岳を経由して遠見尾根ルートへと進む縦走ルートです。日本百名山である鹿島槍ヶ岳と五竜岳を両方とも楽しむことができます。
ちょっと待った!縦走にはヘルメット着用を!
なお、このコースと次に紹介するコースは「八峰キレット」という難所を通過します。長野県ではここのエリアを「山岳ヘルメット着用奨励山域」に指定しています。滑落だけでなく落石の危険を防ぐためヘルメットを必ず着用しましょう!
扇沢から柏原新道登山口に入ります。柏原新道は整備されているため、安全に通行できます。
爺ヶ岳から先は空中散歩の稜線歩きが始まります。宿泊地の冷池(つめたいけ)山荘からは天気が良ければご来光も見えます。

2日目の宿泊地のキレット小屋です。健脚の方は五竜山荘まで行けるかもしれませんが、この後にルートの核心部があるためしっかりと体力を温存しましょう。
鹿島槍ヶ岳と五竜岳の間には北アルプス三大キレットの「八峰キレット」が鎮座しています。落ち着いて、最大限の注意を払って登りましょう。
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳〜五竜岳・唐松岳|健脚向け!歩きごたえ抜群の大縦走
最高点の標高: 2847 m
最低点の標高: 1325 m
累積標高(上り): 5415 m
累積標高(下り): -5002 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 2泊3日
- コースタイム:21時間52分
- 【技術的難易度】★★★★★
- ・岩場、雪渓を長時間継続して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術に加え、撤退などの判断能力ができる
【2日目】冷池山荘(80分)→布引山(50分)→鹿島槍ヶ岳南峰(40分)→鹿島槍ヶ岳北峰(120分)→キレット小屋(60分)→口ノ沢のコル(30分)→北尾根ノ頭(150分)→分岐(3分)→五竜岳(2分)→分岐(40分)→五竜山荘
紹介した中では最も距離の長い縦走登山ルートとなります。扇沢駅をスタートし、爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳まで、五竜岳を中心とする縦走ルートの山をすべて経由する、ボリューム満点のコースです。
このプランでは2日目のコースタイムが9時間超えと長いうえ、核心部である「八峰キレット」があるので、3泊4日にするなど体力と技術に応じて変更してください。

種池山荘はおいしいピザが食べられることでも有名です。長い道中の休憩場所として利用できます。
後立山連峰の中心に位置する爺ヶ岳は3つのピークがある山です。扇沢から日帰りでピストンする登山者も多くいます。

前ルートでも触れた八峰キレットは死亡事故も起こっている危険エリアです。自身の登山レベルを過信せず、安全第一で通過しましょう。
唐松岳まで来れば、あとは下山のみ。足が疲れ切った終盤は気が緩みやすく、事故も多くなります。怪我をしないように、最後まで集中して下山することを心がけてください。
登山口までのアクセス・駐車場情報
ここでは登山口へのアクセスについて紹介します。
八方尾根登山口
【クルマの場合】
・上信越自動車道「長野」ICー県道35号ー国道19号ー県道31号ー県道33号ー国道148号ー八方ゴンドラ駅駐車場
・長野自動車道「安曇野」IC−県道310号−八方ゴンドラ駅駐車場
【公共交通機関の場合】
JR大糸線「白馬」駅下車、アルピコ交通「栂池高原」行き乗車−「白馬八方バスターミナル」下車−八方ゴンドラ駅
【高速バスの場合】
バスタ新宿−「白馬八方バスターミナル」下車−八方ゴンドラ駅
アルピコ交通|白馬−新宿
扇沢登山口
【クルマの場合】
長野自動車道「安曇野」IC−県道310号−県道306号−県道45号−扇沢市営第1駐車場
【公共交通機関の場合】
JR「信濃大町」下車、アルピコ交通「扇沢線」乗車− 「扇沢」下車
アルピコ交通 |信濃大町駅-扇沢駅
五竜岳周辺の山小屋情報
五竜山荘

五竜岳と白岳の鞍部にあり、五竜岳山頂へは約1時間と五竜岳登頂への拠点となります。五竜岳へのアクセスにもとても便利で、山荘からゆったりと眺める景色は格別です。
唐松岳頂上山荘

唐松岳へは徒歩20分となっており、五竜岳へ向かう途中の拠点ともなります。
※2021年度は宿泊営業なし。1日20張のテント泊のみ
冷池山荘

爺ヶ岳からほど近い場所にある山荘です。宿泊者には適切に処理した沢の水1リットルをサービスしてくれます。テント場は小屋から10分ほど離れた場所にあります。
キレット小屋

八峰キレットからほど近い、両側が切れ立っている場所に建つ山小屋。真正面の剱岳に沈む夕日は圧巻。節水時期の場合、宿泊者以外に水を売れない時があるため要注意です。
下山後におすすめの日帰り温泉情報は下記を参照!
たっぷりと縦走登山を楽しんだ後は、周辺の素敵な日帰り温泉で体をしっかりと癒しちゃいましょう!
様々な角度から楽しめる五竜岳

五竜岳は日帰りも可能な初心者でも楽しむことのできるルートもありますが、もっと五竜岳やアルプスの山々を楽しみたいのなら縦走ルートがおすすめです。1泊2日〜2泊3日でルートを選ぶこともできるので、自分に最適な五竜岳の縦走ルートを見つけましょう!