研究所向けの機能を盛り込んだ、コクヨの「リサーチラボペン」が好調だ。現場をヒアリングし、様々なニーズを実現できる特殊インクの開発が市場開拓に奏功。ニッチながら安定した売り上げが見込めるとして、今後も同分野向け商品開発を強化する。
「成熟している市場だから、もう開拓の余地はない」と思えるジャンルでも、視点を変えれば新たな市場はまだ見つかるはずだ。たとえニッチなマーケットでも、高い付加価値を備え、継続的な購入が多い商品なら、安定した売り上げを見込める。
それを実現した商品がある。コクヨが開発・販売している「リサーチラボペン」だ。
企業や大学といった研究所向けのペンで、一般的な油性ペンとは異なる特殊なインクを開発した。「アルコールで拭いても文字が消えにくい」「小さい容器にも書き込みやすい0.6mmの細いペン先」「凍結面や結露面など濡れていても書ける」といった特徴がある。研究所のニーズを細かくヒアリングし、それをリサーチラボペンに反映させた。
結果、2023年11月に発売すると、約4カ月分の販売目標を見込んでつくった初回生産分が約1週間で完売。予約受注で24年2月末まで在庫が欠品になるほど反響があった。
「これまでも様々な文具を企画してきたが、学生向けやオフィス向けが中心になり、少子化やペーパーレス化で市場が小さくなっている。また、100円程度で手に入るような安い文具も増えている。そうした中で、コクヨが得意とする高い機能や品質を生かせる市場はどこか。文具の成長性、高付加価値につながる市場はどこかをターゲティングしたところ、企業や大学といった研究所に着目した」と、リサーチペンの企画を担当したコクヨのグローバルステーショナリー事業本部 開発本部開発第2部 企画開発第2グループのグループリーダーを務める伴和典氏は話す。
インクとペン先のバランスを探る
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