たいていのユーザーは、Wordの機能の約30%以下しか見つけないし、試さないと言われている。その30%がユーザーによって違うということは、あまり指摘されない。さらに、いくつかの機能は本当にめったに使われない。だがそういう機能も、必要な場合は非常に必要である。
そして、それがWordに関する最大の問題なのだ。あることができると知っていても、どうやればいいか思い出せない。おびただしい数のメニューやタブがあるので、たまにしか使わない機能や目立たない機能を使う方法を理解するのに1時間かかることがある。
そんなに時間がかかってはいけないはずだ。そしてマイクロソフトのヘルプファイルがあきれるほど役に立たないということがなければ、そんなことは起きないはずだ。例えば画面上の活字の表示を、フォントサイズを変更せずに大きくしたり小さくしたりするにはズームとやらの機能を使うということが、マイクロソフトが使っている正確な用語を知らないとヘルプでは絶対に見つからない。
これでは困る。ヘルプファイルが役に立つようにするには、インデックスを付けることが大切だ。たくさんのインデックスだ。クロスインデックスも同じだ。ヘルプのインデックスにはさまざまな冗長性が必要だが、まったくそうなっていない。これは、恐らくメモリーとディスク容量が貴重だった時代のなごりなのだろう。
そして「余計な機能で膨れ上がったソフトウェア」という非難にさらされたマイクロソフトは、Officeをできるだけ小さく効率的にしようとした。これが、テクニカルライティング教室で指導されるばかげた練習によって助長された。そんな教室では、冗長性は根本的な罪と見なされる。こうして生まれるのが、役に立たないインデックスなのだ。
おびただしい数の機能が、Wordの中のおかしな場所にしまい込まれている。この問題の改善法は、徹底的な再編成ではなく、もっと冗長性のあるインデックスだ。ユーザーが探している機能が実は「ズーム」であるということを、ユーザーに思い付かせるようなことではいけない。
そうではなく、「テキストを大きくする」とか「テキストサイズを変更する」といったインデックスの項目を用意すべきなのだ。テキストサイズを変更する方法をヘルプで調べると、フォントサイズを変更する方法はわかる。だが、「ズーム」でもそれができることについては、ヒントすらない。
ズームにこだわる理由
私が妙に「ズーム」にこだわっていると思うかもしれない。その理由はVistaのWord 2007の見苦しいテキストを目にした瞬間、どうなっているのかを確かめるために「ズーム」を変更しようと思ったからである。しかし悲しいことに、小さくて名前もないが「130%」などと任意の数を示す「ズーム」ウインドウは、Word 2007には存在しない。
もしあったとしても、私には見つけることができなかった。そして、ヘルプはヘルプしてくれなかった。私はWord 2003が動いているマシンを使ってまで、ズームウインドウの名前を探そうとした。ツールバーのオプションの「標準」に行き、そこにある選択肢を全部調べてやっと見つかった。
ズームはそこにあった。それが私の探しているものであることはすぐ分かった。Word 2003のヘルプで「ズーム」を検索すると正しい指示が見つかった。しかしWord 2007ではヘルプの項目に「ズーム」はなく、テキストサイズを変更する方法を見つけられなかった。
Word 2007は2006年末に出荷される(編集部注:マイクロソフトはパーネル氏の原稿執筆後、2007年初旬に発売予定を延期したと発表している)。ほとんど全部、習得し直す必要があるだろう。マイクロソフトが既存のWordユーザーにこの製品を売るつもりなら、買い換える価値がどこにあるかをもっと分かりやすく説明するように努力すべきだ。さらに言えば、ヘルプファイルのインデックスにもっと冗長性を持たせるべきだ。マイクロソフトがどちらもやらなければ、この製品は失敗に終わるだろう。
私はXPマシンにOffice 2007をインストール中である。Norton Backup and Restoreで最初に修復ポイントを作ったマシンだ。これを使って判断しようと考えている。もし私がこれにあまり気乗りしていないように見えるなら、その通りだ。だが、私があれこれとばかげたことをしておけば、読者はする必要がない。