アンケートの回答受け付けは終了しました

 編集長を務めている「日経ソリューションビジネス」が、2008年7月15日号で通巻300号を迎える。普段とは違うものということで、「夢」と題した記念特集を企画している。この特集と連動して、1ページの巻頭言を執筆することにした。

 タイトルは「IT業界は夢を可視化する義務がある」に決めた。ただこのテーマ、簡単に原稿が書けるものではない。大きく重いものである。300号記念の巻頭言だから、つまらないものにはしたくない。

 いろいろ考えたが、「これだ!」というアイデアを思いつかない。そこで記者の眼を通じて、読者のみなさんの知恵を拝借することにした。それに、他人に話を聞くことは記者の仕事の基本でもある。3年以上前からWeb2.0の時代だといわれる。群衆ならぬ“知衆”と思われるITpro読者のみなさんの知恵を借りるのも、300号記念企画にふさわしいのではないかと考えたのだ。

 そこで、記事の末尾に簡単なアンケートを用意しました。よろしければご意見のご記入をお願いします。書き込みたいものだけご自由にご回答いただければ幸いです。回答結果は、日経ソリューションビジネスの300号記念特集で引用する可能性があります。

作成途上の記事、公開します

 本論に戻る。まず、現段階の巻頭言「IT業界は夢を可視化する義務がある」の原稿を以下に公開する。

IT業界は夢を可視化する義務がある

 商業利用が始まって約50年、ITは多くの夢を実現してきた。正確にはITによるソリューションというべきかもしれない。

 今、夢を実現させるだけでなく、その夢の持つ意味を可視化させることがITにかかわる人間に求められている。このことを日経ソリューションビジネスの通巻300号の巻頭で強く宣言したい。

 夢の可視化とは何か。さまざまな情報システムやソフトが何を実現してきたのか、それがどれほど世の中に影響を与えたのかを、目に見える形で示すことである。

 考えて欲しい。過去50年、不可能と思われていることが実現するとき、ITは大きな役割を果たしてきた。

 世界中を飛び交う飛行機、さらには宇宙を飛ぶロケット、これらがごく当然のように運行しているのは、ITがあるからである。航空管制や軌道計算を処理するプログラムがあればこそだ。

 ほかにもある。銀行の勘定系システムがなければ、全国のATM(現金自動預け払い機)から自由に預金を下ろすことはできない。海外に出張して、電子メールで簡単にコミュニケーションが取ることができる世の中になったのもITの力である。

 10年、20年前と比較すると隔世の感がある。ITは今後も不可能を可能にして夢を生み出す。1990年代から普及し始めたインターネットは今も世界を変革している。身の回りには、進化し続ける携帯電話がある。携帯を支えるのは巨大な組み込みソフトウエアとネットワークを経由して実現するさまざまなサービスである。パソコンやサーバーの全世界での出荷台数は増え続けている。

 にもかかわらず今、夢を生み出してきたIT業界に元気がないといわれる。実際に業界で働く現場の人間に加え、未来を支える学生の人気も下がっている。

 先日、何人かの中堅のシステム・インテグレータの社長に会う機会があったのだが、少し理由が分かったような気がした。複数の社長から期せずして、「ソフトは目に見えないので、若い社員がやりがいを感じづらい」という言葉を聞いたのだ。

 確かにシステム開発が難航するとき、「ソフトは目に見えない」という言葉はよく耳にする。だが、やりがいを感じるかどうか、可能性を感じるかどうか、といった点でも、目に見えないことが関係しているとは考えてなかった。

 残念ながら、ソフトが見えるようになることはない。見えないソリューションを懸命に提案し、全力で開発する宿命から、IT業界が逃れることはできないだろう。

 であれば、何とかしてITソリューションの力を可視化するしかないのではないか。よくITは経営の可視化に不可欠だという。知恵を尽くせば、ITの持つ夢も必ず可視化できるはずだ。

現実には夢を語れない人が多い

 書きかけの原稿は以上である。実は、ただ巻頭言の執筆に悩んだから、記事を公開したわけではない。なぜITに夢があると言える人が減っているのか、少なくとも夢を語れない人が増えているのか、理由が知りたいのである。

 「IT業界は夢を可視化する義務がある」にも書いたように、ITに夢があるのは間違いない。ソフトが目に見えないから、夢を感じにくいという考えには説得力もあると思う。

 ただ筆者は、ソリューションを提案しているわけでも、システムを開発しているわけでもない。もちろん保守・運用にもかかわっていない。IT業界で働いている人なら自明のことが理解できてない可能性もある。虫のいい話ではあるが、読者のみなさんにネットを通じて取材したいと考えているのだ。

 少し舞台裏を話そう。記者と「夢」特集の取材を進める中で、ITの夢や可能性を具体的に語ることのできる人が少ないことに気付いた。

 「システム障害とか失敗商談といった批判的な記事はやめて、前向きな記事を書いてほしい」。こういった意見を取材先からいただくことがよくある。今回の特集では、前向きな記事を望むそうした取材先に、やっとご期待に沿える記事が掲載できそうだ、ということで問い合わせてみたのだが、すらすらと夢を語ってくれる人は本当に少ない。

 なぜ語ることができないのかを説明できる人も多いとは言えない。取材は難航している状態である。

 現在までのところ、少しも考えることなく、ITが実現する夢を語ることができたのはわずか1人である。正式な取材ではないので具体的な内容を紹介するのは差し控えるが、あるプロスポーツチームの躍進をITが支えたというものだった。

 こういったソリューションの提案や開発、あるいは運用にかかわることができれば、大きなやりがいを感じるだろう。それほどプロスポーツに興味のない筆者もそう思った。

ITの夢、教えてください

 だがすべての人間が、プロスポーツチームの躍進を支えるソリューションにかかわることができるわけではない。ITを支える多くの人々が身近に感じられる例ではないだろう。

 ITが実現する夢にはどんなものがあるのか、についても皆さんのご意見を聞きたい。特に、あまり語られてこなかったITの夢について書き込んもらえれば本当にありがたい。この記事や、「夢」という企画全体に対する、真摯なご批判も待っている。

 繰り返しになりますが、ここまで読んでいただいた皆さん、以下のアンケートにご協力いただければ幸いです。締め切りは6月27日(金)とさせていただきます。よろしくお願いします。

問1.記事中にある「IT業界は夢を可視化する義務がある」への感想・ご批判があればご自由にご記入ください。

問2.IT産業やITソリューションはどんな夢を実現している、あるいは実現できると思いますか。理由を含めて、ご自由にお書きください。

問3.現実には、IT産業やITソリューションに夢を感じない人が増えています。なぜだと思われるか書き込んでください。

問4.その他、IT産業やITソリューションの実現する夢に関するご意見があればご自由にご記入ください。

問5.あなたは以下のいずれに属しますか。

ITソリューションを販売する企業で営業を担当している
ITソリューションを販売する企業で開発を担当している
ITソリューションを販売する企業でその他の業務を担当している
ITソリューションを利用する一般企業で情報システム部門に属している
ITソリューションを利用する一般企業で利用部門に属している
その他 

問6.あなたは以下のどの層に当てはまりますか。

10歳代以下
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代以上