電解液を固体化したLiイオン2次電池「全固体電池」でEV向けに実用化が見込まれる時期が「2022年ごろ」と急速に具体化してきた。スマートフォンやIoT端末向けはさらに早く1~3年内に量産される。当初のメリットは充電の速さや安全性の高さで普及すれば電池やEV市場の勢力図を塗り替えそうだ。エネルギー密度を大幅に高める道筋も見えている。

 「実用化は早くて2035年と言われていた以前からすれば隔世の感がある。これほど早まるとは」─。ある全固体電池の研究者はこうした感想をもらした。3年ほど前には早ければ2025年と実用化見通しが10年前倒しされていた1)

 今回、2025年からさらに前倒しされ、具体的な実用化時期も見えてきた。トヨタ自動車の副社長、Executive Vice PresidentであるDidier Leroy氏が2017年10~11月の「東京モーターショー」で「2020年代前半に、ゲームチェンジャーになる全固体電池の実用化を目指して開発を加速している。開発チームは200人超で、特許出願数も世界一」と発表したからだ(トヨタやパナソニックの全固体電池関連の戦略や特許数などの詳細は第4部「特許出願でトヨタが他を圧倒、量産対応の技術力にも厚み」参照)。