「オンライン・ゲーム内の宇宙ステーションが10万米ドル(日本円で約1200万円)で売れた」――2005年11月9日,米国のABC,CNNや英国のBBCなど世界各地のテレビ局は一斉にこんなニュースを報じた。スウェーデンMindArk社が運営するオンライン・ゲーム「Project Entropia」内で開催されたオークションの結果を伝えたものだ。

 「ゲームの中の話でしょ」と早とちりしてはいけない。MindArk社は,ゲーム内の通貨を固定レートで米ドルに換金するサービスを提供しているからだ。ユーザーは現金でゲーム内通貨を買ったり,ゲーム内で得たもうけを現金に戻したりできる。つまり,ゲーム内通貨の価値が現実社会の価値と同等なのだ。こうした仕組みの結果,Project Entropia内の商取引は他に類を見ないほど活性化している。

 同様のアプローチでゲーム内商取引を活性化しているゲームに,米Linden Research, Inc.(Linden Lab社)が運営する「Second Life」がある。約9万人の登録会員を有するこのゲームでは,ユーザーのほとんどが商取引に参加する。仮想空間で店を開き自分で作ったアイテムを販売したり,仮想空間内の土地を取引したり,イベントを開いて参加費を徴収したりして,それぞれに利益を得ている。