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 正直言って、日本のIT業界はここまでまずい状況だとは思わなかったぞ。以前からこの「極言暴論」で日本のIT業界のご用聞き商売や人月商売の愚かしさ、そして多重下請け構造の人でなしの構造を問題にしてきたが、今回の問題は別の話だ。技術者の発想が硬直化しているというか、ご用聞き商売や人月商売に毒されてしまっているというか、これじゃ新たな技術の開発やユニークなデジタルサービスの創出なんてできないぞ。困ったものだ。

 ここまで読んで「いったい何の話をしているのか」といら立つ読者がいるだろうし、「ああ、例のやつね」とほくそ笑む人もいるかと思う。事の発端は2024年12月1日に、私がX(旧Twitter)に投稿したツイートである。内容はこうだ。「今どきウオーターフォール型開発とアジャイル開発の違いをどうこう言う必要はないかと思うが、若手の技術者は間違ってもウオーターフォール型開発のほうに行ってはダメだぞ。失敗は絶対に許されないと連呼する世界と、とっとと失敗しようぜと言う世界では、どちらが成長できるかは明らか」――。

 私としては、休日の投稿だからそんなにリアクションはないだろうと思っていたら、逆にもう来るわ来るわである。強めの批判がどんどんやって来たのだ。いわゆる「炎上」状態である。私は自分のツイートに対するコメントは全て目を通すことにしており、若干の見落としはあるかもしれないが今回も全部読んだ。100通ぐらいまでは数えたが、ひょっとしたら200通ぐらい届いていたかもしれない。そのうち9割以上は強めの批判である。

 単なる個人攻撃も多かったが、これは大した問題ではない。ちょっと深刻なのは、私が間違ったことを言っているとか、一知半解に適当なことを書いているとかいった指摘がそれなりにあったことだ。もう驚いてしまったよな。あらかじめ断っておくが、このツイートの内容は何一つ間違っていない。肯定的に捉えてくれたリアクションでは、私の日ごろの論評が好きではないと言う人を含め、この件では私が正しいこと、当たり前のことを述べているとしていたからね。

 それにしても、私は(本物の)アジャイル開発を担う技術者と(人月商売の)ウオーターフォール型開発に携わる技術者のマインドやその文化について述べ、成長したいなら(本物の)アジャイル開発をやっているITベンダーに就職、あるいは転職せよ、と言っているだけなのに、強めの批判を寄せる人はどうしてアジャイル開発などの「手法」の話をするのか。しかも、「アジャイル開発は失敗を前提とする手法だと木村が勘違いしている」とレッテルを貼ってくる。もうあきれてしまったぞ。

 どこをどう読めば「とっとと失敗しようぜ」をそんなふうに解釈できるのだろう。後できっちりと書くが、新しいことや困難なこと、いくら考えても分からないことは「とっとと」やってみて、失敗から学び次につなげよう。そんなマインドや文化の話をしているんだぞ。そんなことを考えていたら、日本の技術者が直接、あるいは間接的にご用聞き商売や人月商売に毒されているんじゃないかと思い至った。だから、極言暴論の記事にすることにした。それと、若者はやはり「ウオーターフォール型開発のほうに行ってはダメ」だな。