和歌山県は整備中の県道のトンネルで、覆工コンクリートの厚さが大幅に不足する施工不良があったと明らかにした。施工者は厚さ不足に気づいていたにもかかわらず、設計通りに施工したとする完成図書を提出していた。県が2023年7月27日に発表した。
施工不良が判明したのは、紀伊半島南部の那智勝浦町に建設した県道長井古座線の八郎山トンネルだ。浅川組(和歌山市)と堀組(和歌山県田辺市)のJVが20年9月~22年9月の工期で、NATM工法によって施工した。工事費は約20億円だった。
トンネル躯体(くたい)の完成から2カ月半ほどたった22年12月、照明設置工事の施工者が覆工コンクリートを削孔したところ、厚さ不足が露見した。
その後の調査で、トンネルの延長711mのうち7~8割にわたって、覆工コンクリートの厚さが設計の30cmに満たないと判明した。最も薄い箇所では3cmしかなかった。覆工コンクリートの背面には、広範囲にわたって空洞が生じていた。