博士人材が足りない!
博士号を持つ高度な専門人材の確保で日本が大きく遅れをとっている、経団連がそんな調査結果をまとめました。
博士人材は研究者として大学に残る人が多い一方、日本では企業での活躍の場が少ないとのこと。
何が起きているの?経済担当の小坂隆治デスク、教えて!
日本で博士人材が足りないというのはどういうことなんですか?
博士人材といえば、日本では大学の研究者というイメージが強いですが、欧米では企業でも広く活躍し、研究開発だけでなく、「新しい製品や事業の開発」「金融工学で金融商品を開発」「統計学やAI分野でデータアナリスト」など、さまざまな仕事についています。
「博士号を持つ経営者」も多くいます。
一方、日本ではというと…
博士人材の活用などの実態について経団連が調査結果をこのほどまとめました。
従業員1000人以上の企業を中心に全国の120社余りが回答したのですが、なかなか厳しい実態がわかったんです。
2022年度に理系の博士人材の採用がゼロだった企業は、23.7%。
さらに、今後5年程度先の採用方針を尋ねると、「増やしていく」と回答した企業は新卒、経験者いずれも2割以下にとどまりました。
企業の採用意欲はかなり低いんですね。
博士人材の企業での活躍の場が少ないという課題は以前からありましたが、この調査結果は、企業側の採用意欲が思っていたよりもかなり低いという印象です。
そして、こんなデータもあります。
人口100万人当たりの博士号取得者の数を国別で比較したものです。
赤い線が日本ですが、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国が右肩上がりで増え続けているのに対し、日本は横ばいで増えていません。
そもそも増えていないとは!なぜですか?
ひと言で言うと「悪循環」が起きているからです。
例えば、博士人材は、大学に残って研究を続けることが主流派とされ、それを目指さない人たちは修士から博士課程に進もうとしない実態があること。
日本企業の間では、これまで修士と博士の給与体系を同じにしているところも多いという待遇面での課題もあります。
企業側も博士人材に対して、専門的すぎて視野が狭いとか、ビジネスに直結する最先端の研究分野を手がけていない、といったイメージが先行していること。
こうしたお互いのすれ違いが悪循環につながっていると言えそうです。
では、どうすればいいのでしょう?
調査を担当した経団連の長谷川知子常務理事は、次のように指摘しています。
「産学官が連携し、それぞれ役割を果たさないと博士人材の育成・活用は進まない」
産学官が連携することが必要だとしています。
企業の中にはインターンシップに力を入れたり、大学の中にも新しい教育プログラムを導入するなど、実はさまざまな取り組みが行われています。
しかし、その周知やお互いの理解が不足しているのが現状で、その改善も必要です。
さらに、取り組みを広げるための政府の支援も欠かせません。
経団連は調査結果を踏まえた提言の中で「教育は国家百年の計」と表現していました。
まさにそのとおりで、教育改革や人材育成はその成果が出るまでに長い時間がかかります。
日本がこれ以上、国際競争から取り残されないためには、今すぐに取り組みを強化することが必要です。
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