柔道 永山竜樹 銅メダル 男子60キロ級 パリオリンピック

パリオリンピック、柔道男子60キロ級でオリンピック初出場の永山竜樹選手が、敗者復活戦を勝ち上がって銅メダルを獲得しました。

永山竜樹 敗者復活戦を勝ち上がって銅メダルを獲得

28歳でオリンピック初出場の永山選手は初戦の2回戦は相手の反則負けで勝ち、準々決勝で去年の世界選手権の金メダリストでスペインのフランシスコ・ガルリゴス選手と対戦しました。永山選手は開始2分過ぎから長く寝技をかけられても耐え審判が「待て」をかけましたがガルリゴス選手がすぐには寝技の体勢を解かず、審判は2人が離れた後、永山選手の様子を見て絞め技によるガルリゴス選手の一本勝ちを宣告しました。永山選手は納得がいかない表情でしばらく畳を降りず、日本は「待て」がかかったあとにも相手が絞め技を続けたとして抗議しましたが判定は変わりませんでした。

永山選手は敗者復活戦で東京大会の銀メダリストで世界ランキング1位の台湾の楊 勇緯選手から延長戦に入る寸前に大外落としで技ありを奪って優勢勝ちしました。

3位決定戦は、トルコのサリー・イルディス選手と対戦し、開始48秒で大腰で技ありを奪ってペースをつかむと、3分すぎに横車で再び技ありを奪って合わせ技で一本勝ちし銅メダルを獲得しました。
この種目での日本選手のメダル獲得は、4大会連続です。

金メダルは、カザフスタンのイェルドス・スメトフ選手が獲得。スメトフ選手は3大会連続のメダル獲得となり、カザフスタンの柔道で初めての金メダリストとなりました。

銀メダルは、前回銅メダルのフランスのルカ・ムハイジェ選手で、銅メダルは、永山選手と、スペインのガルリゴス選手でした。

永山竜樹「価値のある銅メダル」

柔道男子60キロ級の永山竜樹選手は、表彰式で銅メダルをかけられましたが、笑顔はなく、表情は緩みませんでした。

永山選手は「これまでいろいろなことがあったので金メダルではないですが、価値のある銅メダルです。まだちょっと悔しい気持ちはあるが、次に向けてまた進んでいこうと思います」とかみしめるように話していました。

そして「ほかの大会と違ってオリンピックはすごい舞台でした。今後の人生に生かしていきたいです」とさらなる成長を誓っていました。

【解説】ライバルとの代表争い乗り越え 価値ある銅へ

永山選手は、ライバルとの代表争いを乗り越えてあこがれのオリンピックの舞台に臨み、銅メダルという結果をつかみました。

長年、永山選手の壁となってきたのが大学の先輩でもある高藤直寿選手でした。東京大会の代表を争った時には国際大会で直接対決の末、敗れてオリンピック出場はかないませんでした。

パリ大会に向けても高藤選手を追う立場となった永山選手。試合で思うような結果が出ないことに代表の座をあきらめかけたといいますが、去年の春、フランスへの武者修行に赴いたことが大きな転機となりました。当時を振り返り「緊張の糸が切れて『もう駄目だ』と思っていたが、フランスに行ってリフレッシュして、1人になっていろいろ考えた。1回諦めて吹っ切れていたのでもう1回スイッチを入れることができた」と、その後は出場した国際大会で2連勝。去年12月のグランドスラム東京の決勝では、高藤選手との直接対決に臨みました。

前回の対戦と同じく延長戦にもつれたものの、今回は永山選手が得意の一本背負い投げで一本を奪って優勝し、その結果を評価され念願のパリ行きの切符を獲得しました。その後、ことし5月の世界選手権でまさかの初戦敗退を喫してからは得意とする担ぎ技だけでなく、足技を磨いたほか組み手のバリエーションを広げてワンパターンにならない柔道を心がけてきました。

たびかさなる敗北を、みずからを高める機会ととらえ努力を怠らなかった永山選手でしたが、準々決勝、スペインの選手との試合で絞め技での一本負けを喫し、敗者復活戦に回ることになりました。

この敗戦を巡っては待てのあとに締め続けられたなどとして判定に抗議したものの、結果は覆りませんでした。それでも永山選手は敗者復活戦を制して3位決定戦までたどりつき、価値ある銅メダルを手に入れました。

=決勝までの勝ち上がり=

【敗者復活戦】

永山選手は、敗者復活戦で、前回の東京大会のこの種目の銀メダリストで世界ランキング1位の台湾の楊勇緯選手に、延長戦に入る寸前に大外落としで技ありを奪って勝ち、3位決定戦に進みました。

【準々決勝】スペイン選手に絞め技で一本負け 敗者復活戦に

永山選手は、準々決勝で去年の世界選手権の金メダリストでスペインのフランシスコ・ガルリゴス選手に絞め技で一本負けし、敗者復活戦にまわりました。

永山選手は開始2分過ぎからガルリゴス選手に長く寝技をかけられましたが、足をからめて必死に耐え、審判が「待て」をかけました。

しかし、ガルリゴス選手はすぐには寝技の体勢を解かず、審判は2人が離れた後、永山選手の様子を見て絞め技によるガルリゴス選手の一本勝ちを宣告しました。

永山選手は一本負けの判定を宣告されたあとも納得がいかない表情で、しばらく畳を降りませんでした。

“スペイン選手「待て」のあとも絞め技”と抗議も 判定覆らず

全日本柔道連盟の金野潤強化委員長は待てがかかったあとにもスペインの選手が絞め技を続けたとして判定に抗議しました。

金野強化委員長や鈴木桂治監督は国際柔道連盟の担当者など、関係者と映像を確認しながら話し合いましたが、鈴木監督はその後、「覆らなかった」とだけ話し、判定が変わらなかったことを明らかにしました。

永山選手の試合後、金野強化委員長は「『待て』がかかったあとにも長く締めていて、あれを許していいのかと感じている。判定が覆るかはわからないが、われわれとしてやれることをやりたい」と話していました。

【初戦の2回戦】相手の反則負けで準々決勝へ

パリオリンピック柔道男子60キロ級で、オリンピック初出場の永山竜樹選手は、初戦の2回戦で世界ランキング25位のブラジルの選手に延長戦の末、相手の反則負けで勝ち、準々決勝に進みました。

フランス “柔道人気” 競技人口は日本の4倍

東京オリンピックは原則、無観客となりましたがパリ大会では再び、観客が会場に入れるようになりました。フランスでは柔道がさかんで、競技人口は50万人余りと日本のおよそ4倍になっていて、会場のシャンドマルス・アリーナにも大勢の観客が入っています。

フランスの選手の試合が始まると観客の熱気はひときわ高まり、選手たちの顔をプリントした大きなボードや国旗を振りながら、大声援を送ったり、フランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」を合唱したりして選手を後押ししていました。

そして、男子60キロ級の準決勝でフランスの選手が延長戦の末に競り勝つと会場を揺るがすような大きな歓声があがっていました。また、フランスの選手以外の試合でも一本勝ちを収めたり、白熱の試合が展開されると惜しみない拍手が送られていました。