スーパーで「ユズ湯に」と表示したら軽減税率の対象外になる説が拡散→国税庁「なりません」
税金・お金
師走に入り、日没が早くなってきました。12月22日は冬至です。1年のうちで最も昼が短いこの日は、ユズ湯に入り温まることがならわしになっています。このユズ湯に使うユズが軽減税率の対象外なのではないかとSNS上で話題になっています。
「今日近隣のスーパー(うちではない)に税務署の査察が入って大騒ぎ。しかもターゲットは青果。なんで?と思ってたら、ゆず(わかります?みかんの親戚で鍋物にいい香りのアレ)を冬至の柚子湯に、とオススメすると食品じゃないので軽減税率の対象外になるんですって。うわーめんどくさい」と投稿されたツイートは3万6000以上リツイートされました。
これに対して、「野菜売り場で働く人が『ユズ湯にどうぞ』と書くと軽減税率の対象外になるので『冬至に』としか書けない」「節分の時のイワシの頭はどうなるのか」といった様々な声が上がっています。本当に10%になるのか、国税庁に聞きました。
●「ユズ湯に」と表示しても税率は8%
軽減税率は、10月1日の消費増税に伴い導入されました。酒類以外の飲食料品と新聞が対象で、8%の税率に据え置かれます。ユズの税率がSNSで話題になっていることを認識しているか国税庁に聞いたところ「そのような投稿は把握していません」という回答でした。
では、スーパーの青果コーナーで扱っているユズに「ユズ湯にどうぞ」などのポップを付けて販売すると、税率は10%になるのでしょうか。国税庁の担当者からは「事業者が食品としてユズを譲渡する目的で、スーパーの青果コーナーに置いた場合、『ユズ湯に』と表示したとしても軽減税率が適用されます」と明快な答えが返ってきました。営業用のフレーズとして「ユズ湯に」という文言を使ったとしても「課税評価にはつながらない」という見解です。
●全てのユズ=8%ではない
担当者は「ただし、全てのユズ=税率8%とすると、税務上誤る場合があります」と付け加えます。どういうことでしょうか。「仮に飼料用のユズがある場合は、食品ではないということがはっきりしているので、軽減税率の適用外で10%になります」。インターネット上ではユズの皮を乾燥させて入浴用にパック詰めにした商品も見掛けますが、この場合も税率は10%です。
つまり事業者がどのような用途で販売しているのかという点がポイントになります。
ちなみに国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」では、事業者が飲食料品として譲渡した場合には、顧客が別の目的で購入して使ったとしても軽減税率の適用対象になることが明記されています。スーパーのユズを8%の税率で買って、お風呂に浮かべて温まっても何の問題もないということです。