安倍晋三前首相は27日夜、インターネット番組に出演し、「情報機関の設置が必要である」という認識を示した。国内外の情報を的確に入手・分析することは、国家の存続と発展にとっての不可欠といえる。日本は「スパイ天国」ともいわれるが、具体的にどんな機関を設置すべきなのか。
安倍氏は首相在任中の2013年に成立した特定秘密保護法で、米国やオーストラリアなど「同志国」との情報のやりとりが可能になったとしたうえで、「内調(内閣情報調査室)や公安(公安調査庁)はあるが、組織をしっかりつくる必要がある」「(情報は)貸し借りであり、こちらが出せるものがなければ向こうだって出さない。大変な価値がある」と語った。
また、安倍氏は「情報を取りに行くことで防諜(=他国やテロリストの諜報活動を防ぐこと)もできる」と説明した。
警視庁公安部は20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など約200の研究機関や企業へのサイバー攻撃に関与したとして、中国共産党員の男を書類送検した。
安倍氏は「氷山の一角」といい、日本国内で世界各国の工作員や協力者が跋扈(ばっこ)している現状を示唆した。
一体、どのような情報機関が必要なのか。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「情報機関の設置は、外交や安全保障の専門家からすると『国家として当然必要』と考えているものだ。情報を専門的に分析する人物の育成に加え、情報を得るために、各国とやりとりをする公式な情報機関の看板が両輪として必要だろう。英国の秘密情報部(MI6)ぐらいの規模は必要との声もある。特定秘密保護法だけでは、米国の信頼を得るまでには至っていない」と語っている。