buoy
「buoy」の意味とは
「buoy」は、海洋や湖などの水上に浮かべておく目印や警告のための浮体を指す英単語である。航行の安全を確保するため、船舶が進むべきルートを示したり、危険な場所を警告したりする役割を果たす。また、科学的な観測や研究のために設置されることもある。「buoy」の発音・読み方
「buoy」の発音は、IPA表記では/bɔɪ/となる。IPAのカタカナ読みでは「ボイ」、日本人が発音するカタカナ英語では「ブイ」と読む。この単語は発音によって意味や品詞が変わる単語ではない。「buoy」の定義を英語で解説
A "buoy" is a floating device that can have many purposes. It can be anchored (stationary) or allowed to drift with ocean currents. Buoys are used to mark safe or unsafe waters, to moor ships, and to carry instruments for weather and other research.「buoy」の類語
「buoy」の類語としては、「float」や「marker」がある。「float」は、水面に浮かぶ物体全般を指す一方、「marker」は位置を示すための目印となる物体を指す。「buoy」に関連する用語・表現
「buoy」に関連する用語としては、「buoyancy」がある。これは物体が水や空気などの流体中で受ける浮力を指す。また、「buoy up」は、支える、元気づけるという意味のフレーズである。「buoy」の例文
1. The ship avoided the rocks, guided by the buoys.(船はブイの案内により岩礫を避けた)2. The buoy marks the safe channel for boats.(ブイは船の安全な航路を示している)
3. The buoy bobbed up and down on the waves.(ブイは波に乗って上下に揺れていた)
4. The buoy is equipped with a bell to warn ships in foggy conditions.(ブイは霧の中で船を警告するためのベルが装備されている)
5. The research buoy collects data about ocean temperatures.(研究用のブイは海洋温度のデータを収集している)
6. The lifebuoy was thrown to the man overboard.(投げ出された救命ブイは海に落ちた男性に向かっていた)
7. The buoy is anchored to the seabed.(ブイは海底に固定されている)
8. The buoy floated away in the current.(ブイは流れに乗って流れていった)
9. The buoy is flashing a warning signal.(ブイは警告信号を点滅させている)
10. The buoy indicates the presence of a submerged reef.(ブイは水中にある礁を示している)
浮標

浮標(ふひょう、英: buoy)[1]は、様々な目的で水面に浮かべる構造物。外来語でブイとも呼ばれる[2]。錨で固定させることも海流に漂わせることもできる。
種類
航路浮標
- 緊急沈船標示浮標 - 緊急沈船標示浮標は、新たな沈船の場所を示す明確な手段であり、国際規格となっている(ただし日本国では未採用)[3]。この浮標は一時的な対応で使用され、通常は最初の24-72時間使用される。この浮標は青と黄色の縦縞模様に塗色され、青と黄に交互点滅するライトが備わっている。これは2002年のドーバー海峡で起こった船舶 (MV Tricolor) の衝突沈没事故が原因で出来たものである[4]。
- 氷上の標示浮標 - 結氷した湖や川に存在する穴の場所を示すために使われ、スノーモービルが穴の上を通らないようにするもの。
- 大型自動航行浮標(LNB) - 灯台船の代わりとして電子的に監視される強力な灯火を備えた高さ10m以上の自動制御浮標[5]。英語圏ではランビー・ブイ (Lanby buoy) とも呼ばれ、海図上では "Superbuoy"[6]ないし台形状の記号で表されたりもする[7]。
- 側舷標識浮標 - 標識の位置が航路の端であることを示す浮標。左舷標識は、塗色と灯火いずれも緑色。右舷標識は、塗色と灯火いずれも赤色[8]。
- 安全水域標識 - 水路の入り口または付近の陸地初認を示す航路浮標。塗色は赤白の縦縞で頂部に赤色球が付いている[8]。
- 航路標識 - 船舶が安全に航行できるよう、海上の航路や危険水域や管轄域を示すことで操舵を支援する。一部の航路標識にはベルやゴングが取り付けられており、波で揺れると音が鳴る。
- 沈船標示浮標- 視認できない危険域から遠ざかるよう他の船に警告する目的で沈船箇所を示す浮標。
- 灯浮標 - 夜間に境界として使う、灯火装置を備えた浮標。
- 競技コース用の標示ブイ- ブイを設置したレースは、ヨットおよびパワーボートレースの最も一般的な形態である。このブイは競技コースの範囲を定めるために使われ、指定された側を通過する必要がある。このブイは水中オリエンテーリング競技にも使用されている。
目印となるブイ
ブイは、しばしば水中にある物体の位置を示すのに使われる。一時的なものと永続的なものがある。
- あば(網端・浮子)- 漁網の上縁につける、水中に沈めた網の位置を示すブイ[9]。現在では送信機を内蔵した「ラジオ・ブイ」(電波法令上は無線標定移動局、操作に無線従事者は不要[10])が網の両端に使用され、そこから送信する電波を船で受信することで網を張った方位等を把握する[11]。主に延縄漁や刺網漁でこれが採用されているほか、かご漁でも使われている。
- エビかご用の浮子(Lobster trap buoys) - 西欧のロブスター漁師が自分の仕掛けたエビかごを見つけられるよう、かごの場所を示すのに使用される明るい色のブイ。各ロブスター漁師は独自で着色した印や登録番号を持っているので、(最悪ラジオブイなしでも)どれが自分のものかを判別できる。このブイは明るい色で数字も目立つため、悪天候で視界が悪い時でも視認可能である[12][13]
潜水用

幾種類かのマーカーブイは、潜水士によって使用される場合がある。
- 減圧時ブイ - 減圧停止の最中に、水中にいる自分の位置を示すために、潜水したスクーバダイバーによって展開されるブイ。
- ショット・ブイ - スクーバダイバーの安全を確保するために潜水地点を示すブイで、ロープと重り(shot weight)が付属している。これにより潜水士は視界の悪い状態や潮流があっても容易に潜水地点に降りることができ、また上昇時に安全に減圧停止することができる。
- サーフェス・マーカー・ブイ(SMB) - スクーバダイバーが水面で膨らませて、自分の浮上場所を知らせる緊急用のブイ[14]。特に、水中で膨らませて浮上前に自分の居場所を知らせることができるものはディレイド・サーフェス・マーカーブイ(DSMB)と呼ぶ。
- 潜水地点境界ブイ - 潜水士が境界域内で作業中であるという標識として使用されるブイ。これは通過する船舶に境界域に立ち入らないよう通知する意図がある。
救助用
- 救命浮環 (Lifebuoy) - 落水した人の方向に投げ、つかまらせて救助するために設計された救命道具[15]。通常は、救助側が落水者を引っ張るためのロープが付いている。
- 自己位置データ発信ブイ (SLDMB) - 海洋表層流を測定するために設計された水面漂流型のブイ。 位置を定期的に送信するGPSセンサーを備えており、アメリカ沿岸警備隊による捜索救助任務でも配備される。SLDMBは、海面上にある表面積が非常に小さくて水中面積が大きいため、風や波の直接影響による進路のずれが殆ど無い[16]。
- 潜水艦救助ブイ- 緊急時や通信用に解放して使用されるブイ。沈没した潜水艦はその位置を救出部隊に知らせるため「メッセンジャー・ブイ」と呼ばれるものを放出し、このブイは救難ワイヤーを引きながら海面に浮上する。片や救助艇は、発見したブイから伸びるワイヤーを使ってレスキュー・チェンバーを同潜水艦まで送ることができる[17]。
研究用

- プロファイリングブイ - 海水温や塩分濃度などの水質を測定しながら水面下2000mまで管理された速度で沈降するよう浮力を調整してある特殊なもの。一定時間(通常は10日)経過するとブイは水面に戻り、衛星を介してデータを送信したのち再度沈降する[18]。ARGO計画を参照の事。
- ブイ式海底津波計[19] - 海底水圧の急激な変化を検出可能な固定ブイで、太平洋津波警報センターおよびインド洋の津波警報システムの一部として使用されている。
- 波観測ブイ - 水面の動きを波列として測定するために用いられるもの。送信されたデータを分析することで、有義波の高さや周期・波の方向といった統計量が生み出される。
- 海洋気象ブイ - 気温、気圧、風速、風向などの気象パラメータを測定し、専用のアルゴスシステムや商業衛星電話網などの衛星無線接続を介してこれらのデータを気象センターに報告し、天気予報や気候調査に使用するもの。錨固定させる(係留ブイ)場合も海洋表層流に漂わせる(漂流ブイ)場合もある。気象ブイは、海洋データ収集システム (Ocean Data Acquisition Systems) ことODASブイと呼ばれることがあり[20]、海図上では「特殊標識」浮標として記される[21]。
係留用
- 係船浮標 - 係留ケーブルやチェーンの一端を水面上に維持させ、船やボートをそこに繋げるようにしたブイ。多くのマリーナではこのブイを番号記載してあり、特定の船舶に割り当てたり短期で貸し出す。
- トリッピングブイ - 動かせなくなった錨をより簡単に解放できるよう、引き綱(tripping line)の一端を水面に保持するために使用される。
軍事用
- マーカーブイ - 海戦(とりわけ対潜戦)で使用され、炎と煙を出して発光や狼煙の役割を果たす、ある種の火工品として用いられるブイ。通常は直径3インチ(76 mm)で長さ約20インチ(500mm)の装置で、海水との接触で切り離されて水面に浮遊する。一定時間経過で炎が消えるものや、不要になったら沈むものなどもある。
- ソノブイ - ソナーによって潜水艦を検出する目的で、対潜戦航空機から水中に投下されるブイ。
- ターゲットブイ - 海軍や沿岸部隊の実弾射撃訓練における、小型ボートなどの疑似標的として使われるもの。通常は重機関銃・速射砲・機関砲・対戦車ロケット弾を撃つ際の標的となる。
特定形状
その他
- 宇宙ブイ - SF作品に登場する要素で、航行データや警告を発する宇宙空間の静止物体。例えば『スタートレック』作中にこのブイが登場する[24]。
- 郵便ブイ- アメリカ海軍で悪ふざけとして用いられる空想上のブイ。船あての郵便物がブイに括られて海を漂って届くため(真っ赤な嘘)、見つけしだい回収するよう新人水兵に伝えられる。この任務を真に受けた新人は、郵便ブイを見逃すまいと波間を監視する[25]。
その他の用途
- 文芸作品のタイトルに使われる場合がある。著名なものでは、三好十郎の戯曲『浮標』や、北方謙三の小説『錆びた浮標(ブイ)』が知られている。
- ブイは、一部の波力発電で電力を発生させるのに使われている[26]。
- ジョージ・A・ステファン(現Weber Inc.創設者)は、金属ブイを半分に切って、丸い蓋のついたドーム型ケトルグリルを発明した[27]。
ギャラリー
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幾種類もの浮標。
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ヨットレースで転回の目印として使用されるブイ
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古い鉄製のブイ、恐らく係留用。
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ヴォルガ川の浮標で遊ぶ子供たち
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セバスチャン・インレット州立公園の浜辺にあった浮標。
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スウェーデンの潜水艦Nordkaparenの緊急ブイ
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ハリケーン (1915 Galveston Hurricane) 襲来後、テキサス市近郊に打ち揚げられた浮標
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アルゼンチンのラプラタ川にある右舷標識浮標
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アンダマン海に配備される前の津波ブイ
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エビかご用のブイ。背景にあるのがエビかご
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米国アラスカ州ホーマー市にて乾燥保管中の浮標
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気圧計を装着した漂流式ブイ
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修理中のブイ
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クルーズ船の救命浮輪(灯火つき)
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英国ノース・ヨークシャー州ウィットビー沖のブイ
関連項目
出典
- ^ buoy in the American Heritage Dictionary
- ^ コトバンク「ブイ」日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より。
- ^ 海上保安庁第四管区「緊急沈船標示浮標について」2022年2月18日閲覧。
- ^ “Archived copy”. 2014年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月26日閲覧。
- ^ “Large Navigational Buoys (LNB)”. United States Coast Guard. 2015年7月6日閲覧。
- ^ National Oceanic and Atmospheric Administration (2013). US Chart No. 1. Silver Spring: NOAA. pp. 89
- ^ 日本水路協会「海象等航海支援情報の電子海図等への統合化に関する調査研究」日本財団図書館、2022年2月25日閲覧。
- ^ a b 海上保安庁「標識灯浮標」
- ^ コトバンク「網端」デジタル大辞泉の解説より。
- ^ 電波法施行規則第33条第6号(5)に基づく平成2年郵政省告示第240号第3項第1号(3)
- ^ 2. 漁業用ラジオ・ブイの現状と課題(東北総合通信局 - 26MHz帯の周波数を使用する漁業用ラジオ・ブイの導入に向けた調査検討会(令和元年度) 調査検討報告書)(2020年7月9日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- ^ Cobb, John N., "The Lobster Fishery of Maine", Bulletin of the United States Fish Commission, Vol. 19, Pages 241?265, 1899; from Project Gutenberg
- ^ Taft, Hank; Taft, Jan, A Cruising Guide to the Maine Coast and the Maine Coast Guides for Small Boats, Peaks Island, Maine : Diamond Pass Publishing, 5th Edition, 2009. Cf. Chapter: "BUOY, OH BUOY" Archived 2008-11-18 at the Wayback Machine., and Chapter: "Fisherman, Lobsterboats, and Working Harbors" Archived 2012-03-20 at the Wayback Machine.
- ^ 伊豆のPADIダイビングスクール「DSMB ディレイド・サーフェス・マーカーブイ」2022年2月18日閲覧。
- ^ 日本小型船舶検査機構「小型船舶用救命浮環(浮輪)」2022年2月18日閲覧。
- ^ [Bang, I., Mooers, C. N. K., Haus, B., Turner, C., Lewandowski, M. (2007). Technical Report: Surface Drifter Advection and Dispersion in the Florida Current Between Key West and Jacksonville, Florida. Technical Report.].
- ^ 山内敏秀「水艦救難と脱出:潜水艦乗組員の安全のために」笹川平和財団、2021年1月15日
- ^ Kery, SM (1989). “Diving in support of buoy engineering: The RTEAM project”. In: Lang, MA; Jaap, WC (ed). Diving for Science…1989. Proceedings of the American Academy of Underwater Sciences annual scientific diving symposium 28 September - 1 October 1989 Wood Hole Oceanographic Institution, Woods Hole, Massachusetts, USA. オリジナルの2013-06-21時点におけるアーカイブ。 2013年4月16日閲覧。.
- ^ 中田健嗣、西新三郎「ブイ式海底津波計の紹介」気象庁『測候時報』第81巻特別号、2014年、S101-S115頁。
- ^ IALA (2008年). “International Dictionary of Marine Aids to Navigation - ODAS buoy”. 2016年12月10日閲覧。
- ^ 海上保安庁「日本の浮標式」三池海上保安部、2022年2月18日閲覧。
- ^ 海遊社「テレスコ・ダンブイ プラスチモ」
- ^ 鮒鮓「アメリカ海軍調査船 フリップ RP FLIP(1962)」twitter、2018年10月6日
- ^ しのぶろぐ「スタートレック 宇宙大作戦 シーズン1 第10~13話の感想文」2017年1月22日
- ^ “Pranks: Some old, some new”. USS RICH. USS RICH Association. 2022年2月18日閲覧。
- ^ Buoy System Harnesses Wave Energy - ABC News
- ^ George Stephen, Company Founder and Inventor of the Weber Kettle Grill Archived June 23, 2007, at the Wayback Machine.
- ^ 国土交通省「第4章 波力発電システム」148頁。2022年2月18日閲覧。
外部リンク
- 海図をよんでみよう-日本海事広報協会(主な浮標の記号)
- Global Buoy Network Maps
- Lighthouses and Buoys Archived 2013-01-24 at the Wayback Machine.
- buoyのページへのリンク