Tiran-4/5
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 23:10 UTC 版)
「チラン (戦車)」の記事における「Tiran-4/5」の解説
Tiran-1/2としてIDFの制式装備となったT-54/55であるが、イスラエル軍の運用思想に必ずしも合致するわけではなかったため、その点を補うために必要な改修を行うこととし、改修を受けた車両はそれぞれTiran-4/Tiran-5の制式名を与えられた。 Tiran-4/Tiran-5は、Tiran-1(T-54)/Tiran-2(T-55)の同軸機銃を7.62mm SGMT重機関銃から7.62mm M1919重機関銃に換装し、車長用キューポラに設置されている12.7mm DShK38重機関銃を12.7mm M2重機関銃に取り換えて装填手用ハッチ付近に7.62mm M1919重機関銃を追加搭載した他、装填手や操縦士のハッチを新型に付け替えた。主砲はしばらくの間オリジナルの100mm ライフル砲を使用していたが、イスラエル軍の弾薬の規格はNATOに準ずるものであったため、ワルシャワ条約機構制式の100mm砲弾は使用されておらず、砲弾の供給に不安が出てきた上に、2種類の戦車砲弾を揃えるのは兵站の都合上好ましいものではなかったため、主砲をマガフやショットと同一規格のL7 105mm ライフル砲に換装し照準装置もL7の弾道に合わせたものに取り換えたTiran-4Sh/Tiran-5Shに改修された。しかし、主砲の換装が行われなかった車両も多く、これらは後のレバノン内戦の際に、キリスト教マロン派系民兵組織のレバノン軍団や、同じくイスラエルと同盟関係にあった南レバノン軍に供与された。 さらに、砲塔の右側面や後部に大型の雑具箱を追加して中空装甲の代用とすると共に、車体後部にジェリカンなどの装備品を積み込むための雑具箱を追加している。砲塔左側面にも小型の雑具箱が搭載されたほか、砲塔右側面に60mm迫撃砲を追加するなどの改修が行われた。第四次中東戦争後は、一部の車両に対し、イスラエルがHEAT弾対策に開発したブレーザー ERAが砲塔の前面と側面、車体前面に装着された。一説には、この時にエンジンとトランスミッションを換装し、レーザー測距儀や砲手・車長・操縦士用の赤外線暗視装置、主砲安定装置、マタドール火器管制装置が装備されたとも言われている。1980年代に入ると、後述のアチザリット装甲兵員輸送車への改造や、南レバノン軍への供与に充てられ、前線装備からは外れていった。 Tiran-4の車体後部 L7 105mm砲を搭載し、車体前面にドーザーブレードを装着したTiran-5Sh 放棄された、南レバノン軍のTiran-5。車体上には、ホメイニ師の木製肖像が掲げられている(ホメイニ師はヒズボラの精神的リーダー)
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