TM65とは? わかりやすく解説

TM65

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/13 02:58 UTC 版)

TM65
原開発国 デンマーク
設計者コペンハーゲン・サブオービタルズ
開発企業コペンハーゲン・サブオービタルズ
目的第1段ブースター
前身XLR-3A, XLR-3B [1]
現況開発中
液体燃料エンジン
推進薬液体酸素 / アルコール類(主成分エタノール
混合比75 % 体積 エタノール / 25 % [2]
サイクルガス発生器サイクル
構成
燃焼室L* = 200 cm
ノズル比1:4.5
性能
推力 (vac.)85 kN
推力 (SL)65 kN[3]
推力重量比75:1
燃焼室圧力12 bar (1.2 MPa)[4]
Isp (vac.)230秒[4]
Isp (SL)200秒[4]
燃焼時間HEAT 2X打ち上げ機では100秒間
寸法
全長全部で 1700 mm
直径燃焼室 400 mm
乾燥重量75 kg
使用
HEAT 2Xロケットで使用予定

TM65(Tordenskjold 65)は、コペンハーゲン・サブオービタルズによって開発されたHEAT 2X用のロケットエンジンである。TM65は推進剤燃料)としてエタノール酸化剤として液体酸素を使用するガス発生器サイクル(当初は加圧供給式)のロケットエンジンである。

開発

2010年にTM65の試作ロケットエンジンの製造が開始され[5]2012年の春に試作品が完成し、同年5月と11月に燃焼試験を実施した[6]。ただ、同年12月30日のテストではエンジンが破損して大量のエタノールが地面にこぼれるといったことも起こった[7]。エンジンへの推進剤の供給をターボポンプによる方法に変更する予定である。

詳細

TM65は75% エタノール/水の混合物を燃料として液体酸素(LOX)を酸化剤とする[4]再生冷却式のノズルを備える。 最初の試験で推進剤のタンクを加圧するためにノズル内の熱交換器で加熱された窒素が使用された。[8]

TM65 エンジン仕様諸元

推進剤

冷却

  • 燃焼室: 再生冷却
  • ノズル: 再生冷却とフィルム冷却
  • 15%の燃料流が直径2 x 7.3 mmの管を通じて直接ノズルのフィルム冷却に供給され、56 x 2.0 mmの穴から噴射される。

噴射器

  • 衝突の種類: 対向式
  • 燃料ポート: 100 x 2.5 mm 穴; 50組
  • 酸化剤ポート: 132 x 2.5 mm 穴; 66組

冷却ジャケット

  • 形式: アニュラ型
  • ノズルの流速: 5.4 m/s
  • 燃焼室の流速: 2.5 m/s

燃焼器

  • 仕様での全長 (L*): 2.0 m
  • ノズルのくびれの面積: 450 cm2
  • ノズルの開口部の面積: 1963 cm2
  • ノズル膨張比: 4.36

定格運転データ

  • 推力100%定格時の燃焼室圧力: 12 bar (1.2 MPa)
  • 定格海面高度推力: 65 kN (6,600 kgf) @ Cf 1.2
  • 定格海面高度比推力: 200 秒
  • 定格真空中比推力: 235 秒

TM65 ターボポンプ仕様諸元

液体酸素ポンプ

  • 形式: 遠心式
  • 出力方法: 単段衝動タービン
  • 回転速度: 4300 rpm
  • 吸入圧力: 2 bar (0.20 MPa)
  • 吐出圧力: 20 bar (2.0 MPa)
  • 流量: 20 kg/s
  • 出力消費: 50 kW

燃料ポンプ

  • 形式: 遠心式
  • 出力方法: 単段衝動タービン
  • 回転速度: 6200 rpm
  • 吸入圧力: 2 bar (0.20 MPa)
  • 吐出圧力: 20 bar (2.0 MPa)
  • 流量: 15 kg/s
  • 出力消費: 50 kW

ガス発生器

  • 推進剤: 80% 過酸化水素(H2O2)
  • 触媒: KMnO4 固体
  • 推進剤流量: 0.45 kg/s
  • ガスの構成: 蒸気, 酸素
  • ガス温度: 275℃
  • ガス圧力: 25 bar (2.5 MPa)

ターボポンプは吐出圧力と回転数を計測する電子制御装置で制御され必要に応じてH2O2の流量を調節する。2台のタービンとポンプはそれぞれガス発生器を備え、互いに反対方向に異なる速度で回転する[2]

歴史

試作ロケットエンジンであるTordenskjold 65 (TM65)の製造は以前のXLR-3A[1]の一連の試験の成功後の2010年の秋[5]に開始された。計画はコペンハーゲン・サブオービタルズティコ・ブラーエを積載するHEAT-1Xロケットの動力であるハイブリッドロケットエンジン計画と並行して進められた。

開発して数カ月経過後、計画は2011年夏にHEAT-1Xの打ち上げに注力することで停止した。

コペンハーゲン サブオービタルズが以前、開発を進めていたハイブリッドエンジンを置き換える目的でTM65の開発と試験は2012年に再開された。

TM65エンジンの最初の試作機は2012年の春に完成して2012年5月に燃焼試験に成功した[6]。65 kNの推力を生み出すために燃焼室の圧力を12barに高めての試験は2012年の秋から冬にかけて実施された。

関連項目

出典

  1. ^ a b A rocket is born (Danish)”. 2012年12月18日閲覧。
  2. ^ a b TM65 in numbers (Danish)”. 2012年12月18日閲覧。
  3. ^ TM65 Liquid propellant rocket engine”. 2012年6月30日閲覧。
  4. ^ a b c d TM65 testes den 17 maj, og et åbent brev til tyskerne...”. 2012年6月30日閲覧。
  5. ^ a b TM65 is under construction (Danish)”. 2012年12月18日閲覧。
  6. ^ a b A big day for Copenhagen Suborbitals (Danish)”. 2012年12月18日閲覧。
  7. ^ TM65LE static test
  8. ^ TM65 Liquid Propellant Rocket Engine - Episode 1”. 2012年5月12日閲覧。

外部リンク


TM65

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/27 09:40 UTC 版)

コペンハーゲン・サブオービタルズ」の記事における「TM65」の解説

詳細は「TM65」を参照 TM65(Tordenskjold 65)は、ティコ・ブラーエ積載するHEAT-1Xロケット動力であるハイブリッドロケットエンジン計画並行して開発進められ推進剤としてエタノール液体酸素使用する推力65 kN (6,600 kgf) のガス発生器サイクルロケットエンジンである。 開発当初加圧供給式の試作ロケットエンジンだったTordenskjold 65 (TM65) の開発以前のXLR-3Aの一連の試験成功後2010年秋に着手され数カ月経過後に計画2011年夏にHEAT-1X打ち上げ注力することによる停止経て以前進めていたハイブリッドエンジン置き換える目的開発と試験2012年再開され2012年春に試作品完成し同年5月11月燃焼試験実施した。ただ、同年12月30日テストではエンジン破損して大量エタノール地面にこぼれるといったことも起こったエンジンへの推進剤供給ターボポンプによる方法変更して65 kN (6,600 kgf) の推力生み出すために燃焼室圧力12 bar (1.2 MPa) に高めて試験2012年の秋と冬に実施予定だった。

※この「TM65」の解説は、「コペンハーゲン・サブオービタルズ」の解説の一部です。
「TM65」を含む「コペンハーゲン・サブオービタルズ」の記事については、「コペンハーゲン・サブオービタルズ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「TM65」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「TM65」の関連用語

TM65のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



TM65のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのTM65 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのコペンハーゲン・サブオービタルズ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS