T77a
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 01:44 UTC 版)
1934年3月、T77がプラハで発表されると、自動車業界・一般大衆を問わず、大センセーションを巻き起こした。そして同年のベルリン・モーターショーでも注目の的となり、タトラの名声を高めた。 大型乗用車における従来の既成概念(フロントに直列6気筒・8気筒の水冷エンジンを積み、前後とも固定軸で、馬車さながらに四角いボディ)を完全に破壊してしまったという点で、この車は革命的であった。 しかし、市販を開始したT77は、僅か101台が作られたのみで、1935年には改良型のT77aに移行した。 T77aは、T77よりエンジンのボアを拡大することで排気量を3,380ccとし、出力を70HPに強化したモデルである。車重も1,800kgに増加したが、最高速度は140km/hに達した。 フロントはヘッドライトを3個配置とした(これもあまり例のない試みである。後のフォルクスワーゲン・ビートルに似た顔つきとなった)。左右のライトはフェンダーに半埋め込み式とし、ノーズ中央にレイアウトされた第三のライトは、ステアリングに連動して行く手を照らす「安全設計」とした。また、リアエンジンフード上のエア・インテークは、エンジンフード上端を伸ばして段差を付けることでフードと一体化された。「背びれ」はそのままである。 T77aは1938年までに154台が製造されている。 T77は、かつて流線型車トロッペンワーゲンを設計したエドムンド・ルンプラー博士などに愛用された。またT77aは、外務大臣から第2代チェコ大統領(のちにはチェコ亡命政権首班にも)となったエドヴァルド・ベネシュ(Edvard Benes)の公用車ともなった。タトラ設計陣のユーベルラッカーもT77がお気に入りで、自ら2ドア仕様とした試作車を乗り回していたという。 だが、レドヴィンカら開発チームはT77/T77aに満足していなかった。これらのモデルは重量が過大であり、また重量配分が後輪に偏り過ぎて、操縦安定性を損なっていると考えられたからである。 その結果、全面的な改良が加えられ、まったく別物の「T87」が完成するに至った。
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