PEAQ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/10 02:28 UTC 版)
ITU-R BS.1387-1 で定義されている PEAQ はオーディオの客観評価を行うためのアルゴリズムである。デジタル放送やデジタル機器などで使用されているさまざまなビットレートのオーディオ圧縮コーデックの評価などを行うためのもので、それまでに提案されたいくつかのオーディオ客観品質評価法を研究して優れたところを1つにまとめたものである。ただしこの方法は主観品質評価を補完するためのものであって、正式なリスニング試験の代わりになるものではない。 PEAQ は、音声の客観品質評価法と同様、リファレンス音(原音)と評価対象音とを入力とし、以下の2段階の処理により評価値を推定する。 知覚モデリング :リファレンス/評価対象音を人間の聴覚心理モデルにもとづき周波数領域でパラメータ化 認知モデリング :パラメータ化した値の差からさまざまなモデル変数値を計算し劣化度合を求める 聴覚心理モデルとしては、FFTベースの耳モデルとフィルタバンクベースの耳モデルの2種類が定義されている。用途に応じ、FFTベースのみ、あるいはFFTベースとフィルタバンクベース両方のいずれかが使われる。 認知モデリングでは知覚モデリングの出力を用いて音質に関係するさまざまな聴感上のモデル変数値(16種類)が計算され、これらの値から人工ニューラルネットワークを用いて Objective Difference Grade(ODG、客観品質劣化度合)と呼ばれる最終的な劣化度合が計算される。 ODG は、BS.1116-1 のような主観品質評価法での評価値「わからない:評価値 5.0 」~「非常に気になる:評価値 1.0 」について、評価対象信号の主観的評価値からリファレンス信号の主観的評価値を引いた Subjective Difference Grade(SDG、主観劣化度合い)に対応するものである。SDG は以下の式で表される。 S D G = G r a d e S i g n a l U n d e r T e s t − G r a d e R e f e r e n c e S i g n a l {\displaystyle SDG=Grade_{SignalUnderTest}-Grade_{ReferenceSignal}} SDG 値は 0 ~ -4 までの値をとり、0 は劣化が分からず、-4 は劣化が非常に気になる状態を表す。
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