M1905
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 21:12 UTC 版)
アメリカ軍の「軍用拳銃には.38口径を凌ぐ大口径のものが必要である」という要求に対してM1902をさらに改良発展させたものが、1905年に完成したM1905(Colt Model 1905)である。口径は45口径(0.45インチ(約11.4mm)に変更されており、使用弾薬は.45ACP弾である。この銃は世界で最初の45口径自動拳銃であった。 M1905は基本的にはM1902の内部構造をそのままに銃身と薬室を拡大したものだが、.45ACP弾の強烈な反動に耐えるため、M1900/1902ではバレル後端の上部にある3列の嚙合ラグを下部にも設け、スライドとフレームの両方で反動を受け止める構造としている。M1902同様、撃鉄の形状(長さが短く先端の丸い"round hammer"モデルと張り出しの大きい"supr hammer"モデルの2種類があった)や表面仕上の違い、グリップの材質等が異なるいくつかの仕様のほかに、本体のみのノーマルモデルとホルスター兼用のショルダーストックが装着できるピストルカービンモデルがあった。 1904年9月より開始された設計作業は翌1905年には完成し、同年6月にはアメリカ軍制式採用.45口径拳銃のトライアルに参加すべく最初の1梃が納入された。1907年1月より開始された軍のトライアルにはノーマルモデルとピストルカービンモデルの両タイプが提出され、いずれも優秀な成績を収めた。軍の評価では最終選考に残ったルガーP08の.45口径型に対しても優越しているとされたが、安全装置の不足など、実際はP08 .45に対し問題があるとされた点も多々あった。しかし「自国開発の銃を優先したい」というアメリカ政府/軍の意向と、コルト社によるロビー活動もあり、M1905は「トライアルに参加したものの中では最優秀であるが、制式採用とするには未だ改良点が残されている」という結論とされた。これに対してコルト社はM1905にコルトM1903の機構を採り入れた45口径型自動拳銃の開発に着手した。 M1905はアメリカ軍を始めとして軍隊での制式採用はなされていないが、.45口径の大口径弾薬を使うオートマチックピストル、として話題となり、民間市場向けとしても生産されて販売された。民間市場向けの生産は1905年9月下旬から10月上旬にかけて開始され、最初の製品は同年12月に出荷されている。1905年の生産開始から1911年の生産中止までの生産数は約6,100梃である。このうち、ピストルカービンモデルとしては440梃が製造されているが、実際にショルダーストックホルスターとのセットで出荷されたものは408セットである。 M1905 ショルダーストックホルスターを装着したピストルカービンモデル コルトM1905と45口径型ルガーP08。1907年のアメリカ軍の正式採用拳銃トライアルに参加した際のもの
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