KR750
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 16:29 UTC 版)
「カワサキ・KR (ロードレーサー)」の記事における「KR750」の解説
(本節は、特記以外『究極のレーサー』(p168 - p173)を参考文献とする) KR750(ケイアールななひゃくごじゅう)は、F750選手権用ロードレーサー(競技用バイク)である(→写真)。エンジンは2ストローク水冷直列3気筒。初期型のKR750は不安定なハンドリングとカワサキのワークスカラーであるライムグリーンに掛けて「グリーンミーニー」(green meanie - 意訳「緑の意地悪な奴」)と呼ばれた。 FIMがF750の最低ホモロゲーション台数を25台に減らし、さらに、どのようなバイクでもよい、という決定をしたので、KR750が誕生した。 1975年、KR750デビュー 1975年型KR750のエンジンは、120度の2ストローク直列3気筒のピストンポートで、1気筒あたり4つの掃気ポートを持ち、内径×行程は68 mm×68mmのスクエアである。出力は120bhp/9,500rpmである。ただ、6,000rpm付近で出力曲線に折れがあり、スイッチが入ったかのような出力特性を持っている。この特性はとても扱い難いものである。スピードはとても速く、ミック・グラントはKR750を駆り、マイク・ヘイルウッドが持っていたマン島TTレースのラップ・レコードを塗り替えた。 ミック・グラントと彼のチームメイトのバリー・ディッチバーンは、1975年のイギリス・スーパーバイク・シリーズでバリー・シーン(スズキ)を破り、1位と2位を獲得した。もう一人のKR750ライダー、イヴォン・デュハメルは、FIM750シリーズのオランダのレースで2ヒートとも優勝し、総合優勝をカワサキにもたらした。 1976年、アーヴ・カネモトとギャリー・ニクソンの活躍 1976年、KR750はチャンピオン・シップに手が掛かった。アーヴ・カネモトがチューニングした3気筒エンジンは10,000rpmまで回り、また、レース・シーズン中盤から使い始めた特製フレームによって、このKR750を駆るギャリー・ニクソンはポイント・リーダーとなった。しかし、レース・シーズン終了後、FIMは、ギャリー・ニクソンが勝っていたはずの第2戦ベネズエラの結果を破棄したため、ギャリー・ニクソンとKR750はチャンピオンになれなかった。 KR750の終焉 カワサキは1976年をもってF750クラスのレースから撤退し、KR250とKR350でWGPに力を注ぐことにした。KR750が残した結果は、1975年のイギリスの1シーズンと、グレッグ・ハンスフォードとマレー・セイルがネビル・ドイル・チューンのKR750を駆って圧勝したオーストラリアの1戦だけに終わった。ヤマハTZ750のほうが良いロードレーサーだった。 1976年型の仕様 エンジン - 2ストローク水冷ピストンポート直列3気筒 内径×行程 - 68 mm×68 mm 排気量 - 747cc 出力 - 120bhp/9,500rpm キャブレター - 36mm ミクニ x 3 イグニッション - カワサキ CDI トランスミッション - 6段 クラッチ - 乾式多板 フレーム - チューブラースチール・ダブルクレードル サスペンションフロントサスペンション - 直径36mm カヤバ テレスコピック リアサスペンション - 角断面スイングアーム + フォックス・ツインショック(2本サス) ブレーキフロントブレーキ - 直径296mm カワサキスチールディスク + カワサキ 2ピストンキャリパー x 2(ダブルディスク) リアブレーキ - 直径260mm ハント アルミディスク + カワサキ 2ピストンキャリパー x 1 ホイールベース - 1,365mm 車重(乾燥)- 140kg 最高速度 - 180mph(289.7km/h) 製造年度 - 1976年
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