J-2S
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/22 16:32 UTC 版)
「J-2ロケットエンジン」の記事における「J-2S」の解説
J-2エンジンの性能を向上させる実験計画は、1964年にJ-2Xという名称でスタートした(後に同名の全く異なる計画が行なわれたため、しばしば混同される)。原型のJ-2からの主な変更点は、燃料の供給システムをガス発生器サイクル(Gas Generator Cycle)からタップオフサイクル(tap-off cycle)に変更したことである。 一般に液体燃料ロケットエンジンは、毎秒数百リットル以上もの燃料や酸化剤を消費するため、それらをタンクから燃焼室に送るための強力な動力が必要になってくる。ガス発生器サイクルは最も基本的なシステムで、ポンプの出口から燃料と酸化剤の一部を取り出し、別に設置したガス発生器の中で燃焼させ、その排気ガスによってポンプに直結したタービンを駆動するというものである。使用済みの排気ガスはノズルの中に排出され、推力として還元される。 これに対し、タップオフサイクルは主燃焼室にあたかも蛇口(tap)を設置するようにして直接燃焼ガスの一部を取り出し、タービンを駆動させるものである。これによって、主燃焼ガスの半分以下の温度の燃焼ガスを利用でき、ガス発生器を設置する必要がなくなるというメリットがある。またエンジンを構成する部品が少なくなるため、各種装置の始動のタイミングが的確になり、点火もしやすくなる。 さらに、J-2では液体水素と液体酸素の混合比率を変えることで燃焼圧力を的確に変化させる推力調整機能が追加されたことにより、幅広い打ち上げ計画に柔軟に対応できるようになった。また無重力状態の軌道上で、燃焼前に燃料をタンクの底に押しつけ、エンジンに送り込むために微少な推力を発生させる「アイドリング・モード」も新規に追加された。 実験段階でロケットダインは試作品J-2Sを6基製作し、それらは1965年から1972年にかけ、のべ30,858秒(8時間34分18秒)にわたり燃焼試験が行なわれた。しかし、アポロ計画が中止されサターンロケットの発注がなくなったために、J-2Sの開発も取りやめになった。その後もNASAはJ-2Sをアポロ以外の様々な計画に使用することを検討し、スペースシャトルの初期の概念図では5基のJ-2Sを搭載したイラストなども描かれていたが、実現されることはなかった。
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