GPA
「GPA」とは・「GPA」の意味
GPA(Grade Point Average、グレード・ポイント・アベレージ)、GPA制度とは、日本では多くの大学と一部の高校において採用されている、一定期間のうちに履修した単位の成績評価に応じてグレード・ポイント(GP)と呼ばれる数値を付与し、それの平均値をもって成績評価の基準とする制度のこと。GPAはアメリカで広く普及した成績評価方法であり、日本で最初に導入したのは国際基督教大学である。アメリカでは一般的に以下のような方法でGPが付与される。
・「秀」(A)=100~90点=4.0
・「優」(B)=89~80点=3.0
・「良」(C)=79~70点=2.0
・「可」(D)=69~60点=1.0
・「不可」(F) =59点以下=0.0
GPAスコアは、「単位数×GP」の総和を「総履修単位数」で割ることで算出する。すべての単位で最高点をマークした場合GPAは4.0となり、すべての単位が不合格だった場合のGPAは0.0である。GPA制度を導入している日本の大学は年々増加しており、学部段階での導入率は、文科省の調査によれば、2006年度は40%、2008年度は46%、2013年度は72%となっている。日本の最高学府である東京大学と京都大学では、京都大学がGPA制度を導入しているが、東京大学はGPA制度を導入していない。
日本のGPA制度は基本的にアメリカ方式を参考にしてはいるものの、細かい部分では大学によって違うことが多い。たとえば、京都大学では6段階評価を導入しており、最高評価であるA+は96点以上、そこから10点ごとにA~Cまで評価され、最低限の学修の効果が認められるとされるDは64~60点である。GPの付与は基本的にはアメリカ式と同じだが、A+の評価を得た単位にはGPが4.3付与される。他にも、東洋大学のGPA制度では、100~90点である「秀」に4.3のGPを付与し、「優」が4.0、「良」が3.0、「可」が2.0のGPを付与する。「不可」を2段階に分け、59~40点の生徒には1.0を付与し、それ以下は0.0ポイントである。特に東洋大学のような制度の場合、アメリカ式の最もオーソドックスなGPA制度を利用している大学の生徒と比較してしまうと高い数値が算出される。このように、日本ではGPA算出の方法が大学ごとに違うため、就職など様々な学校に通う学生を比較する際に、単純に評価基準として採用することができない。
GPA制度は様々な大学の生徒を比較するという点では利用できないが、同じ大学の生徒の成績を判断するという点では、いい成績を取ることで数値が上昇していくためわかりやすい。一般的なアメリカ式の評価方法だと、GPAが3.0を超えていれば十分に優秀な学生と評価される。GPAの活用方法として、GPAを卒業の要件にしている大学や学部、学科があり、例えば九州大学や横浜国立大学ではGPA2.0が卒業の目安とされている。
GPA制度が導入される場合、付随していくつかの制度が導入される場合がある。GPA制度は単位数でGPの合計を割るため、生徒はとにかくGPが0.0や1.0になるような低い成績を出さないようにしなければならない。そのため、GPA制度導入に際しては、履修後、自分に合わないなどの理由で単位取得が難しい授業について、途中で履修を取り消すことができる措置(履修中止制度)を同時に取り入れている場合も多い。この制度の問題点として、講義の理解が難しい科目は自然と敬遠されてしまい「得意ではないが全体像は把握している」という学生すら育たない可能性があるなど、学生の多様な分野の学びという課題を抱えている。
GPA制度を導入するメリットは、各種選考基準の透明性が増すことや、生徒の学習意欲が増すことが挙げられる。授業料免除や奨学金など、これまで成績を基準に付与するか否かが決められてきた制度は、GPAを基準とすることでその評価基準が明確となる。そうした場合、生徒は「とりあえずいい成績を取ろう」という漠然とした目標から、「GPA〇〇を目指して頑張ろう」と具体的な目標を立てて努力することができるようになる。また、GPA制度は一つでも単位を取得できなかったり悪い成績を取ってしまうと数値に影響が出てしまうため、できるだけすべての講義でいい成績を目指さなければならない。そのため、生徒の学習意欲の向上につながると言える。実際、先んじて導入されていた外国(特にアメリカ)では成績の上昇が進んでおり、2013年には名門とされるエール大学やハーバード大学で5割以上の学生のGPAが最高数値である4.0付近まで到達している。
一方で、GPA制度そのものにデメリットが存在する。それは、「点数とGPAの関係に差が生じてしまう」点である。一般的なGPA制度では、テストの点数が70点でも79点でも同じGPが付与される。この状態が公平であるとはいいがたい。
これを解決するために、大学ごとで様々な手段が用いられている。その一つが先に挙げた京都大学のように、評価基準を増やすことで点数とGPAの乖離を少なくしようという考え方である。GPを付与する際に基準となる成績評価の間隔を狭めて、より点数に沿ったGPAが算出されるようにしたものである。山梨大学や北海道大学では、京都大学の6段階からさらに細かい11段階方式での評価法を採用している。もう一つの方法が、fGPA(functional GPA)という考え方である。fGPAとはお茶の水女子大学などに所属している半田智久が2012年に提唱したGPA制度であり、点数とGPAを1:1対応させることでより厳密で公正な評価をすることができる。この方式を採用している大学は、お茶の水女子大学、新潟大学、宮崎大学などが挙げられる。
「GPA」の熟語・言い回し
GPA3.0以上とは
GPAが3.0以上ある場合、一般的にその生徒は非常に優秀であると評価される。なぜなら、最も標準的なアメリカ式のGPA制度の場合、GPA3.0以上を取るには単位の平均点数が80点以上である必要があるからである。1つでも単位を落としてしまうとその単位は0点になってしまい、GPAの算出においては非常に不利となってしまう。そのため、学生は万遍なく好成績を取ることが要求されている。理系の大学院に進学する場合、GPAが3.0以上であれば試験を合格できると言われている。日本では、GPAの平均がおよそ2.7で、3.0以上ある学生の割合は35%程度といわれている。
GPA4.0以上とは
アメリカ式の最も基本的なGPA制度では、単位に付与されるGPは4.0が最高である。したがって、GPAが4.0を超えることはあり得ない。しかし、日本では大学ごとに様々なGPA制度が導入されている。そのため、大学のGPA制度によってはGPAが4.0を超える場合がある。その場合、多くのGPA制度ではGPA4.0以上は成績最上位層である。
たとえば、GPAの評価段階を6段階や11段階に増やした方式を採用している学校がある。これは、既存の5段階方式が成績評価としては粗すぎる、という問題点を解決するためのものである。この方式の場合、最高評価を4.3や4.5とすることが多い。また、先述のfGPA方式を採用している場合も、評価の最大値は4.5を超える場合がある。このように、より正確に生徒のGPAを算出しようとした結果、GPの最大値が4.0を超えてしまい、GPAも4.0以上になることがある。
累積gpaとは
累積gpaとは、ある基準の日までに評価を受けた全ての授業を対象として計算するGPAである。
学期GPAとは
学期GPAとは、当該の学期に評価を受けた各授業を対象として計算するGPAである。学期GPAは奨学金の給付や授業料免除などの評価基準として使われることが多い。以下の計算式で算出する。
学期GPA= (当該学期に評価を受けた各授業で得たGP×当該授業科目の単位数)の合計/当該学期に評価を受けた授業科目の単位数の合計
通算GPAとは
通算GPAとは、入学してから現在までの評価を受けたすべての授業を対象として計算するGPAである。通算GPAは卒業要件として使われることが多い。以下の計算式で算出する。
通算GPA= {(各学期に評価を受けた各授業で得たGP×当該授業科目の単位数)の合計}の総和/(各学期に評価を受けた授業科目の単位数の合計)の総和
ジー‐ピー‐エー【GPA】
ジー‐ピー‐エー【GPA】
GPA
GPA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 10:14 UTC 版)
GPA (Grade Point Average) とは、各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価値のこと、あるいはその成績評価方式のことをいう。米国の大学や高校などで一般的に使われており、留学、就職の際にその人の学力を測る指標となる。日本の大学においても一般的に導入されている。
概説
GPAの成績は、アメリカ合衆国で使われている計算方式であれば、まず、各科目の5段階評価を、以下のように換算し合計する。
評価 | 点数 | グレード | ポイント |
---|---|---|---|
優もしくは秀 | 90 - 100点 | AAまたはS | 4 |
良もしくは優 | 80 - 89点 | A | 3 |
可もしくは良 | 70 - 79点 | B | 2 |
準可もしくは可 | 60 - 69点 | C | 1 |
不可 | 59点以下 | DまたはF[注 1] | 0 |
スコアは、各科目の(単位数×ポイント)の合計÷総単位数(履修登録単位の総数)で求めることができる。この場合、オールAA(またはS)なら4.00、オールDなら0.00となる(注意:国によって一般的な計算方式や値が違う。また、4.00が通常の最高値であっても、たとえば高校でのGPAの場合、大学相当の内容の講義を受けている場合には一定の補数を乗じて、その科目のAAを4以上として算出する場合もある。また、Dの学科目をGPAに含めないこともある)。
また、大学院においては9ポイントスケール (9.0=A+, 8.0=A, 7.0=A-,6.0=B+, 5.0=B, ...)を採用する大学もある(例: ミシガン大学大学院)。
アメリカの就職活動で重視されるGPA
アメリカでは多くの企業が即戦力のある人物を求める。たとえ、応募者が大学生、新卒(new grads)であってもアメリカの企業は、その人物の専門的な知識と実務経験があることを採用で重視し、その人の「専攻」(major)で応募者たちを選抜していく。日本企業の新卒の募集要項のような「全学部全学科不問」ということはなく、学生が大学でどの専攻を選んだかで、その人の就職できる企業が限られていくのが現状である。
さらに、この専攻(major)と並んで、大学の成績「GPA」のスコアは非常に重要である。たとえば、投資銀行では、GPA(成績評価基準)が4.0中3.5以上の学生しか受け付けないといったケースや、大手企業ではGPA 4.0中3.0が応募の必要最低条件として課しているケースが普通にある[1]。
日本でのGPAの導入
文部科学省によるとGPA制度を学部の段階で導入している日本の大学は2005 (平成17)年度には248大学(全体の35%)であったが、2011 (平成23)年度には453大学(全体の61%)[2]、2016(平成28)年度には665大学(全体の90%)、2020(令和2)年度には734大学(98%)となっている[3]。
アメリカの就職活動では、大学の成績「GPA」が非常に重視されるのに対して、日本の就職活動では、新卒の学生たちの大学の成績(GPA)はそれほど評価されていない傾向がある。
リクルートワークス研究所が毎年実施している「大卒求人倍率調査」によると、2019年4月入社の新卒一括採用を実施する予定、または実施中の企業では、「採用活動において大学の成績を重視する企業」の割合は、全体の 6.7% という数値になった[4]。日本的雇用慣行では、正社員を中心とした「OJT」があり、多くの企業は、主に20代の新入社員たちに即戦力をあまり期待しないからである。日本企業が20代の新入社員たちを一括で大量採用すると、新入社員たちは数年をかけて社内研修などで仕事を覚えていく。よって日本の企業は新卒の学生たちが大学で何を学んだかはあまり参考にせず、大学の成績「GPA」を重視しないケースが多い[4]。
一方、大学の給付型奨学金を得る時には、学生の成績「GPA」を参考にして支給を決定するところがある[5][6][7]。
脚注
注釈
- ^ 不可ではなく、成績評価対象外あるいは履修放棄をFとする場合もある。
出典
- ^ “日本より学歴主義?!アメリカでの新卒就職活動事情”. 外資就活ドットコム. 2023年9月25日閲覧。
- ^ 大学における教育内容等の改革状況等について 文部科学省高等教育局大学振興課 2013年11月7日
- ^ “令和2年度の大学における教育内容等の改革状況について”. 文部科学省. 2023年6月12日閲覧。
- ^ a b Co.,Ltd, (C) Recruit Holdings (2019年12月18日). “新卒採用で成績を重視する企業は6.7%──茂木洋之|研究所員の鳥瞰虫瞰 Vol.4|リクルートワークス研究所”. www.works-i.com. 2023年9月28日閲覧。
- ^ “学長賞・学部長賞給付奨学金 |”. 中央大学. 2023年9月29日閲覧。
- ^ “奨学金 概要|関西国際大学”. www.kuins.ac.jp. 2023年9月29日閲覧。
- ^ “成績評価・GPA制度|フェリス女学院大学”. フェリス女学院大学. 2023年9月29日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 「GPA重視」が採用の王道だ 企業の青田買いで大学を壊すな - 小此木潔 web論座(2018年10月11日)
- 海外大受験で重視される「GPA」はどう算出する? - 海外進学留学ラボ Bennese(2020年11月27日)
- 大学の「成績」を企業が求める理由 - 産経新聞(2020年12月3日)
- 早稲田大・恩藏直人常任理事「AO入学者の成績評価が高い」 - 朝日新聞EduA(2022年02月09日)
GPA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:28 UTC 版)
学生の成績評価方法として、GPAを採用している。ラーニング・アウトカム(学修到達目標)を設定しており、2015年時点で一部科目においてルーブリックによる評価を行いGPAに反映している。東京工科大学では、将来的にこのルーブリックを用いた評価方法を標準にする予定としている。
※この「GPA」の解説は、「東京工科大学」の解説の一部です。
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