BT52
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 01:52 UTC 版)
1982年11月、フラットボトム規定を含むレギュレーション変更が発表され、ついにグラウンド・エフェクト・カーが禁止となった。ブラバムは新たなグラウンド・エフェクト・カーであるBT51を製作していたが、規定変更のためにそのままでは使用できなくなった。このため、新規定に合致したマシンを新たに開発することとなった。開幕まではたった3ヶ月しかなく、デザイナーのゴードン・マレーが「ほとんど寝る暇もなく、クスリで生きながらえていた」とこぼすほど追いつめられた中でデザインされたマシンだった。 BT52のデザインに取り掛かる前に、ブラバムはひとまずBT50とBT51をフラットボトムに改修しテストしたが、やはり風洞で新たに空力面の開発をやり直すにはあまりにも時間がなかった。そのため、ダウンフォースに頼るのではなく、重量配分をリアに寄せることで安定性を確保する方針をとった。ダウンフォースは巨大な前後ウイングによって確保し、サイドポンツーンは空気抵抗を抑えるために極端に小さくされた。独特のマシンデザインは「アローシェイプ」と呼ばれた。 マクラーレンなどカーボンモノコックを採用したチームは既にいたが、マレーはカーボンという素材の性能にまだ懐疑的で、モノコックはアルミハニカム製のタブにカーボン製のアッパーを接合する構造を採用した。重量配分をリア寄りにするため、コクピットは従来よりも後ろに下げられた。サスペンションは前後プッシュロッドに変更され、ノーズ上にはバルジがあった。 エンジンはKKK製シングルターボを搭載したBMW直4ターボエンジンM12/13で、予選仕様で850馬力、決勝仕様で640馬力を発生させた。開発当初からレース中の給油作戦を念頭に設計されており、燃料タンクは容量が縮小され、コクピット後方の高い位置に据付けられた。エンジン、ギアボックス、リアサスペンションを合わせて1つのモジュールとし、予選と決勝の間にスムーズに交換できるよう工夫されていた。 ギヤボックスはヒューランド製FG400のギヤに、新たに開発されたブラバム製のケースを組み合わせたものだった。ディファレンシャルはワイズマン製。 1983年は開幕戦からピケが勝利するなど幸先のいいスタートを切ったが、相変わらずBMWエンジンの信頼性の低さには泣かされ続けた。
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