【BMD-3】(びーえむでぃさん)
旧ソ連(ロシア)が開発した歩兵戦闘車。
赤軍空挺部隊(後のロシア空挺軍)向けとして1980年代中盤から開発され、1990年に採用、1994年から生産が開始された。
前作までと比べて車体設計は大幅に見直されており、車体を大型化した事によって車内容積が増大したほか、BMD-2の砲塔が搭載できるようになった。
武装には砲塔に2A42 30mm機関砲とPKT 7.62mm機関銃を装備するほか、対戦車戦闘用に9M113「コンクールス」対戦車ミサイルが搭載されている。
また、車体正面にはRPKS-74 5.56mm機関銃とAGS-17「プラーミャ」30mm自動擲弾筒を装備し、前方への火力展開が可能になった。
そのほか、履帯などの足回りを改良した事により、従来のBMDシリーズよりも機動性の向上や荒地踏破性能も改善されている。
車体重量は増加したが、ロケット噴射緩衝装置付のパラシュート・トレーによる空中投下が可能である。
また、BMD-3用にプラットフォームを必要としない新型降下装置PBS-950が開発され、空挺兵を乗せたまま投下し、着地後直ちに戦闘に移ることが可能となった。
スペックデータ
乗員 | 2名+兵員5名 |
全長 | 6.36m |
全高 | 2.45m |
全幅 | 3.11m |
戦闘重量 | 13.2t |
エンジン | 2B-60-2水冷ディーゼルエンジン(出力331kW) |
登坂力 | 70% |
超堤高 | 0.7m |
超壕幅 | 2.0m |
速度 | 71km/h(路上)/45km/h(不整地)/10km/h(浮航) |
行動距離 | 500km |
装甲 | 16mm(装甲) |
兵装 | 2A42 30mm機関砲×1門(弾数860発) AGS-17「プラーミャ」 30mm自動擲弾発射器×1基(弾数541発) 9M113「コンクールス(AT-5「スパンドレル」)」対戦車ミサイル発射機×1基(ミサイル6発) PKT 7.62mm機関銃×1挺(弾数2,000発) RPKS-74 5.45mm機関銃×1挺(弾数2,160発) 902V「トゥーチャ」3連装煙幕発射器×2基 |
バリエーション
- BMD-3M「バフチャー-U」
BMD-3の改良型でBMD-4とも呼ばれる。
砲塔に2A72 30mm機関砲と、破片榴弾(射程7km)と対戦車誘導弾「アルカン」(射程5.5km)を発射することができる2A70 100mm滑腔砲を有する。
2010年に予算削減により調達を断念すると発表されたが、計画が復活した。
- BMD-4M
BMD-4の改良型。
2013年末に受領されることが発表され、2020年までに1000両を納入する予定である。
- 2S25「スプルート-SD」
1990年代初めにBMD-3の車体を利用して開発された対戦車自走砲。
主砲はT-80やT-90に装備されている2A46を基に開発された、2A75 125mm対戦車滑腔砲を装備する。
2010年に予算削減により調達計画は断念されると発表されたが、後に撤回され、2012年1月に海軍歩兵向けに2S9「ノーナ-S」自走砲の更新として10両配備する方針が発表された。
- RKhM-5「ポヴォースカ-D-1」
化学偵察車型。
- BTR-MD「ラクーシュカ」
多目的輸送車型。
- トラヴマティズム
衛生車型。
- ZPRK「ロマーン」
高射ミサイル・機関自走砲型。
- オブジームカ
120mm自走砲型。
- オブジームカ-K
120mm自走砲指揮車型。
BMD-3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/31 05:50 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2023年1月) |
![]() | |
基礎データ | |
---|---|
全長 | 6.36m |
全幅 | 3.114m |
全高 | 2.45m |
重量 | 12.9t |
乗員数 | 3名 |
乗員配置 | 乗員3名・歩兵5名 |
装甲・武装 | |
装甲 |
砲塔:スチール 車体:アルミニウム合金 |
主武装 |
2A42 30mm機関砲 9М113 コンクールス対戦車ミサイル AGS-17 プラミヤ自動擲弾銃 |
副武装 |
PKT 7.62mm機関銃 RPK-74 5.45mm機関銃 |
機動力 | |
速度 |
70km/h(整地) 45km/h(不整地) 10km/h(水上) |
エンジン |
2B-60-2 液冷ディーゼル 331kW |
行動距離 | 500km |
BMD-3(露: БМД-3)は、ソビエト連邦の歩兵戦闘車。"BMD"とは、ロシア語で空挺戦闘車(Боевая машина десанта)を意味し、この型の車両は空中投下が可能なように設計されている。
BMD-3は、1980年代中盤、A.シャバリン主任設計師により開発され、1990年にソビエト連邦軍の装備として採用された。BMD-3では、空挺兵を内部に収容したまま空中投下が可能なように設計されている。
概要
BMD-3は車体設計が根本的に見直され、車体容積が増大し、BMP-2の砲塔が搭載できるようになった。車体正面右側にはRPK-74 5.45mm機関銃が、左側にはAGS-17 プラミヤ(Пламя)30mm自動擲弾銃が設置される。これらの副武装は取り外して、下車戦闘に使うこともできる。
砲塔には主武装として、2A42 30mm機関砲とPKT 7.62mm機関銃が設置されている。砲塔には安定装置が付いており、走行間射撃が可能である。最大仰角は75度まで取れる。
対戦車戦闘用に、対戦車誘導装置9P135Mと射程4,000mの9M113 コンクールス(Конкурс)対戦車ミサイル4発が搭載されている。砲塔の周りには、902V トゥーチャ(Туча)発煙弾発射装置2基が設置されている。砲塔の背後には2人の空挺兵が座ることができる兵員室があり、銃眼を通して射撃を行うことができる。その外、3人までの予備スペースが存在する。NBC防護は、兵員室を密閉・フィルター式換気装置を作動させ、車内を陽圧にすることによって保障される。
2B-60-2液冷ディーゼルエンジンは出力331kWで、エンジン予熱機と非噴射式予熱システムが設置され、-25℃の環境下で5分、-45℃では20分で発進することを可能にしている。
BMD-3用に、プラットフォームを必要としない新型降下装置PBS-950が開発され、空挺兵を乗せたまま投下し、着地後直ちに戦闘に移ることが可能となった。
弾薬搭載数は、9M113対戦車ミサイル×4発、2A42 30mm機関砲弾×500発、AGS-17 30mm擲弾×290発、PKT 7.62mm機関銃弾×2,000発、RPK-74 5.45mm機関銃弾×2,160発。
派生型
- BMD-3M バフチャー-U(Бахча-У)
- 詳細は「BMD-4」を参照
- BMD-3K バフチャー-K(Бахча-К)
- 指揮車型。
- 2S25 スプルート-SD(Спрут-СД)
- 詳細は「2S25スプルート-SD 125mm対戦車自走砲」を参照
- 125mm対戦車自走砲。
- オブジームカ(Обжимка)
- 120mm自走砲。
- オブジームカ-K(Обжимка-K)
- 120mm自走砲指揮車。
- RHM-5 ポヴォースカ-D-1(Повозка-Д-1)
- 化学偵察車。
- ラクーシュカ(Ракушка)
- 多目的車。
- トラヴマティズム(Травматизм)
- 衛生車。
- ミラージュ-2002(Мираж-2002)
- ZPRK ロマーン(Роман)
- 対空ミサイル・対空機関砲を搭載した自走式対空砲型。
関連項目
固有名詞の分類
- BMD-3のページへのリンク