【AK-630】(えーけーろっぴゃくさんじゅう)
NATO名:ADMG-630
1960年代にロシア海軍に採用されたCIWS。
ファランクスやゴールキーパーと同じく6砲身ガトリング砲だが、実用化はこちらが先である。
火器管制レーダーにはMR-123-02「バス・ティルト」を使用し、1基で2基の砲座を管制する事ができ、4kmから5kmの間で海面上の目標を捕らえることが可能である。
光学追尾装置にはSP-521を使用し、航空機(MiG-21相当)なら7km、水上目標(魚雷艇相当)なら70kmから捕捉可能である。
SP-521はレーザー照準機、および光学式照準器から構成され、電波妨害に強いという特徴を持つ。
砲座は完全自動化されているが、オペレータが管制用機器ないし砲座より離れて取り付けられた照準器により手動操作することも可能である。
既存のCIWSの中では最もコンパクトなシステムで、消費電力も低くコルベットやミサイル艇レベルの小艦艇にも搭載可能である。
輸出もされており、ウクライナやポーランド、ギリシャなどに輸出されている。
主な装備艦艇
キエフ級航空母艦
アドミラル・クズネツォフ級航空母艦
カーラ級巡洋艦
キーロフ級巡洋艦
スラヴァ級ミサイル巡洋艦
クレスタⅠ級ロケット巡洋艦
クレスタⅡ級大型対潜艦(駆逐艦)
キンダ級ミサイル巡洋艦
パウク級コルベット
タランタル級コルベット
ズーブル型高速エアクッション揚陸艦
その他補助艦艇を含めてロシア海軍艦艇に幅広く装備されている。
主な採用国
ソ連/ロシア、ウクライナ、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、ギリシャ、スロベニア、リトアニア、クロアチア、
ユーゴスラビア、ドイツ、インド、中国、韓国、イエメン、アルジェリア、キューバ
性能諸元
配備年 | 1969年 |
銃身 | AO-18 30mmガトリング砲 |
銃身数 | 6門 |
口径 | 30mm |
重量 | AK-630/630M:1,850kg(本体重量)/1,918kg(砲弾含む)/9,114kg(砲弾及び管制システム含む) AK-630M1-2:2,500kg(本体重量)/11,819kg(砲弾及び管制システム含む) AK-306:1,100kg(本体重量)/1,630kg (砲弾及び管制システム含む) |
弾薬 | HE-FLAG、FLAG |
弾数 | 2,000発(AK-630/630M) 4,000発(AK-630M1-2) 500発(AK-306) |
初速 | 900m/秒 |
射程 | 4,000m(有効射程with HE-FRAG(0.54kg)shell) |
発射速度 | 83発/秒(5,000発/分) |
俯仰角範囲 | -12度~+88度 |
俯仰角速度 | 50度/秒 |
旋回範囲 | 360度 |
旋回速度 | 70度/秒 |
派生型
AK-630
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/30 14:35 UTC 版)
AK-630 | |
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種類 | 多銃身機関砲 |
原開発国 |
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運用史 | |
配備先 | #運用国及び機関 |
開発史 | |
開発期間 | 1960年代から |
製造業者 | トゥーラ兵器工場 |
諸元 | |
砲弾 | 30x165mm |
銃砲身 | 6砲身 |
作動方式 | ガトリング砲 |
仰角 |
-12度~+88度 (俯仰速度:50度/秒) |
旋回角 |
360度 (旋回速度:70度/秒) |
発射速度 | 5,000発/分 |
初速 | 900m/秒 |
最大射程 | 4,000m(HE-FRAG) |
AK-630は、ソビエト連邦の艦載機関砲システム。30mm口径・6砲身のガトリング砲を使用した全自動システムであり、密閉された自動操作の砲座に搭載され、レーダーや光学式指揮装置により管制される。このシステムの主要目的は、対艦ミサイルなどの精密誘導兵器に対する対空防御にあるが、航空機や艦艇などの水上目標、沿岸の目標への攻撃および浮遊機雷の処分にも用いることが可能である。
AK-630は、最も初期に開発されたCIWS システムと言える。当時はまだファランクスやゴールキーパーなどは実用化されていなかった。
実用化後に急速に搭載艦艇が増加し、掃海艇から航空母艦に至るまでソ連海軍艦艇に幅広くかつ数多く搭載された。
現在もロシア海軍を中心に多くの艦艇に搭載されている。
概要
AK-630は、弾倉が甲板下にあり、レーダーなど管制用装置が別に配置されていることから、非常にコンパクトな外形となっている。
AK-630M機関砲、MR-123-02火器管制レーダー、およびSP-521光学式追尾装置から成る兵器システムは A-213-ヴィンペル-A(A-213-Vympel-A)と呼ばれる。
MP-123 レーダーは1基につき2基の砲座を管制することが可能で、その組み合わせには30ミリ機関砲ないし57ミリ連装砲2基、または30ミリ機関砲および57ミリ連装砲各1基がある。レーダーは4-5キロの間で海面上の目標を捕らえることが可能である。
SP-521光学式追尾装置は、MiG-21相当の航空機なら7キロ、魚雷艇相当の水上目標なら70キロから捕捉可能である。この装置はレーザー照準器、および光学式照準器から構成され、監視および追跡モードを持ち、電波妨害に対する高い抵抗力がある。
砲座は完全に自動化されているが、オペレーターが管制用機器ないし砲座より離れて取り付けられた照準器により手動で制御することも可能である。AK-630は、ブロック1以前のファランクスやゴールキーパーより高い射撃速度を誇る。多くの場合2基1組で取り付けられ、有効な個艦防空システムとなっている。 しかし、他のガトリング機関砲ベースのCIWS同様、即応性と、複数目標への対応が課題となっている。
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画像 | ![]() |
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重量[要出典] | 9,114 kg (20,093 lb) | 6,200 kg (13,700 lb) | 9,902 kg (21,830 lb) | 9,800 kg (21,600 lb)? |
武装 [要出典] | GSh-6-30 30 mm (1.2 in) 6砲身ガトリング砲 |
M61 20 mm (0.79 in) 6砲身ガトリング砲 |
GAU-8 30 mm (1.2 in) 7砲身ガトリング砲 |
[注 1]30 mm (1.2 in) 7砲身ガトリング砲 |
発射数[要出典] | 毎分5,000発 | 毎分4,500発 | 毎分4,200発 | 毎分5,800発 |
射程[要出典] | 4,000 m (13,000 ft) | 1,490 m (4,890 ft) | 2,000 m (6,600 ft) | 3,000 m (9,800 ft) |
携行弾数 [要出典] | 2,000発 | 1,550発 | 1,190発 | 1,000発 |
弾丸初速 [要出典] | 毎秒900 m (3,000 ft) | 毎秒1,100 m (3,600 ft) | 毎秒1,109 m (3,638 ft) | 毎秒1,100 m (3,600 ft) |
垂直軸射撃範囲[要出典] | +88°~-12° | +85°~-25° | ||
水平軸射撃範囲[要出典] | 360° | +150°~-150° | 360° |
改良型
AK-630は、幾つかの改良型および派生型があり、しばしばCADS-N-1 カシュタンシステムも含まれる場合がある。
AK-630
AK-630は、1963年に設計が開始され、1964年には最初の試作品が完成した。
レーダーも含めた全体の管制システムは、実艦への搭載および運用が開始された後の1976年頃まで運用試験が続けられた。
AK-630M
初期のAK-630が配備・運用されていくにつれ、システム開発中及び運用試験では判らなかった多数の問題が明らかになった。これらの問題を修正し、1979年に新しいシステムはAK-630Mと命名され、運用が開始された。
AK-306
AK-630Mの派生型は小型艦艇用に開発され、このシステムはAK-306と命名された。
AK-306とAK-630の間には外観上の違いは無いが、AK-306(A-219)は電気駆動へと変更された。 また、この派生型はレーダー制御を欠き、光学式装置に管制されるだけであり、その結果、全体のシステム名称は「A-213-ヴィンペル-A(A-213-Vympel-A)」から「A-219」へと変更された。
1974年に設計が開始され、1980年に運用を開始した。 1986年までに125基が生産され、運用された。
AK-630M1-2
1983年に、縦に2本の銃身を束ねたAK-630改良型を設計することが決定された。 AK-630M1-2 ロイ(Roy)は、既存のAK-630が搭載されている砲座を換装できるように、同程度の寸法と重量にまとめられた。
本格的に導入が進められると思われたが、AK-630M1-2 ロイは、後にカシュタンとも呼ばれているミサイルと砲の複合対空システム3M87 コールチクの開発・生産が優先されたために生産されなかった。
AK-630M1-2 ロイは、マトカ型ミサイル艇「R-44」への搭載に留まった。
2007年7月のIMDS-2007において、AK-630M1-2の近代化タイプがOAO AK Tulamashzavodにより出展、「AK-630M-2 デュエット(ロシア語: Дуэт、Duet)」という新しい名称を付され展示された。「デュエット」の「ロイ」との外観上の相違点は、ステルス性を考慮した新しいレーダー反射面積の低い形状にある。
中国製AK-630
中国で生産されているAK-630には、独自に開発されたレーダー反射率の低減を図ったステルスシールドが採用されており、江凱型フリゲートや紅稗型ミサイル艇、071型揚陸艦に搭載されている。紅稗型ミサイル艇には、管制レーダーに中国独自のHEOS-300が用いられている。
中国人民解放軍海軍では、中国で独自に開発された730型CIWSも運用しているが、AK-630の4倍という高コストのため、AK-630も併用している。
運用国及び機関
現在運用中および過去に運用した国および機関の一覧
要目
- 銃身:AO-18 6砲身30mm ガトリング機関砲
- 重量(本体のみ/砲弾および管制システムを含む)
- AK-630/630M:1,850kg(本体のみ), 1,918kg(砲弾含む), 9,114kg(砲弾および管制システムを含む)
- AK-630M1-2:2,500kg(本体のみ), 11,819kg(砲弾および管制システムを含む)
- AK-306:1,100kg(本体のみ), 1,630kg(砲弾および管制システムを含む)
- 仰俯角範囲および速度:-12度から+88度、50度/秒
- 旋回範囲および速度:360度、70度/秒
- 初速:900m/秒
- 発射速度:83発/秒(5,000発/分)
- 弾薬:HE-FRAG, FRAG
- 弾薬搭載量(1層下の弾薬庫に搭載)
- AK-630/630M:2,000発
- AK-630M1-2:4,000発
- AK-306:500発
- 射程:HE-FRAG(0.54kg)shell, 4,000m
- 捜索・追尾システム:A-213-Vympel-A, レーダー、レーザーおよび光学式管制システム
脚注
注釈
- ^ AK-630を6砲身から7砲身したもの
出典
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 179. ISBN 978-1-032-50895-5
関連項目
外部リンク
AK-630
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 00:19 UTC 版)
AK-630は、1963年に設計が開始され、1964年には最初の試作品が完成した。 レーダーも含めた全体の管制システムは、実艦への搭載および運用が開始された後の1976年頃まで運用試験が続けられた。
※この「AK-630」の解説は、「AK-630」の解説の一部です。
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