AH-6とは? わかりやすく解説

MH-6 (航空機)

(AH-6 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/05 15:35 UTC 版)

AH-6/MH-6 リトルバード

MH-6 リトルバード英語: MH-6 Little Bird)は、MDヘリコプターズが生産している軽汎用・攻撃強襲用ヘリコプターである。OH-6の軍用派生版。

愛称はMH-6がリトルバード(Little Bird)、AH-6がキラーエッグ(Killer Egg)

本項では武装攻撃型のAH-6も記述し、特記がない限りはAH/MH-6と呼称する。

概要

陸軍特殊部隊員4名を搭乗させたMH-6

この機材となったベースのOH-6の前史は当該項目に詳しい記述があるが、AH/MH-6が開発される契機となったのは、1980年イランアメリカ大使館人質事件におけるイーグルクロー作戦である。この作戦については当該項目に詳しい記述があるが、ヘリコプターの選択ミス及びトラブルが重なった事により作戦が失敗してしまった。この失敗による調査委員会で、急襲に必要な部隊と航空機の欠如が指摘され、特殊作戦航空能力開発のための特別プロジェクトである「ハニー・バジャー(ミツアナグマ)作戦(Operation HONEY BADGER)」が開始される事となる。

この計画では第101空挺師団の3個飛行大隊を中心に当時新鋭機だったUH-60およびベトナム戦争でも活躍した大型ヘリコプターCH-47の開発及びイラン大使館の人質の再奪還を目標としていた。

その中でAH/MH-6を開発する事になったのが、第229攻撃ヘリコプター大隊である。OH-6Aを運用していた同大隊は、この作戦のためにパイロットを提供し、アラバマ州フォートラッカーで同機の開発が行われた。そして同機が完成し、先のUH-60、CH-47の部隊と統合しタスクフォース158が創設され、同大隊はリトルバード運用部隊となった。そして第二の奪還作戦が行われる予定であったが、1981年イランとの交渉が進展した結果、同年1月20日に人質が解放される事となり、この作戦も中止となった。

ところがこのタスクフォース158は後の同種作戦で必要と判断され、解散せずに現在の第160特殊作戦航空連隊 ナイトストーカーズとなり、同機は連隊本部特殊作戦航空訓練中隊及び第一大隊に配備され活躍している。

なお、アメリカ陸軍においてはナイトストーカーズのみで運用されているが、FBIHRTにも民間型のMD 530Fが配備されている。

また、派生型としてボーイング・ロータークラフト・システムズが開発した無人航空機(UAV)タイプのAH/MH-6X電子戦/指揮機のEH-6も存在する。

現在ナイトストーカーズで現役で運用されているのは、MH-6H、AH/MH-6J、AH/MH-6Mである。

主な参加作戦

グレナダ侵攻
アージェントフューリー作戦に参加。アメリカ海軍の船舶へ死傷者を搬送するために活躍。
コントラ戦争
1983年ロナルド・レーガン政権によるニカラグアへの介入の際の紛争で活躍。
イラン・イラク戦争
1987年9月にイランからのイラクタンカーへの攻撃を阻止するべくプライムチャンス作戦に参加。イランの機雷敷設船舶を攻撃した。
パナマ侵攻
モガディシュの戦闘
所謂ソマリア紛争。ゴシックサーペント作戦に参加し、捕獲対象の居るビルへデルタフォースを屋上からエントリーさせるための支援、MH-60墜落現場へ急行、夜間における民兵掃討で活躍。
イラク戦争
イラク・フリーダム作戦に参加。この際AH-6が捕虜になったジェシカ・リンチ救出のために援護。また、MH-6がイタリア人民間軍事会社社員及び武装勢力に誘拐されたポーランド人実業家の救助に使用される。
ブラバ急襲
ケニアのモンバサで起きたホテル爆破事件の首謀者でアルカーイダと繋がりがあったサレ・アリ・サレ・ナブハンに対する殺害作戦セレスティアル・バランス作戦に参加。AH-6が車列を攻撃しナブハンが死亡した。

派生型

MH-6C
攻撃/輸送兼用型。現在訓練用として使用。
MH-6E
C型改良版。
MH-6H
E型改良版。AN/ALQ-114ジャマーおよびAN/AAQ-16第一世代型FLIRを装備。現在も使用されている。
AH-6C
武装型。
AH-6F
C型改良版。
AH-6G
F型改良版。
AH/MH-6J
MD 530MGベースの能力向上型。
HH-47のような5枚の中型液晶モニターからなるグラスコックピットタイプとなり、GPS/慣性航法システムを搭載した型。また、MH型では着脱式ベンチシートが使用可能。
AH/MH-6M MELB(Mission Enhancement Little Bird)
2002年導入のAH/MH-6Jの能力向上改修型。このタイプでは完全に相互運用性が付与された。
また、J型より更に改良が施され、大型液晶モニター2枚、中型モニター1枚などから構成されるグラスコックピットとなり、ナイトビジョンに対応し、第二世代型FLIR AN/AAQ-16、戦術インターネットを搭載する最新型[1]
AH/MH-6X
AH-MH-6MのUAV型。ボーイングAH-6とも
EH-6E
電子戦/指揮機型。

性能諸元

MD 530ベース

出典: U.S. Army Aircraft,[2] MD 530F data[3][4]

諸元

  • 乗員: 2名
  • 定員: 6名(外装式ベンチ使用時)
  • 全長: 9.80m (32.6ft)
  • 全高: 3.0m (9.8ft)
  • ローター直径: 8.30m (27.4ft)
  • 空虚重量: 722kg (1,591lb
  • 最大離陸重量: 1,406kg (3,100lb)
  • 動力: T-63-A-5-AまたはT63-A-700 ターボシャフト、317kW (425shp) 離陸時:375shp(280kW) × 1
  • ローター:メインローター6枚 テールローター4枚
  • 搭載可能燃料量:62USガロン(242L)または 403lb(183kg)

性能

  • 最大速度: 282km/h=M0.23 (152ノット
  • 巡航速度: 250km/h=M0.20 (135ノット)
  • 航続距離: 430km (232海里) (5,000ft時)
  • 実用上昇限度: 5,700m (18,700ft)
  • 上昇率: 10.5m/秒 (2,061ft/分)


使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

武装

採用国

アメリカ合衆国

登場作品

映画

ブラックホーク・ダウン
ナイトストーカーズ所属のMH-6Jが登場。デルタフォース作戦地域に降下させるほか、コールサイン「スター41」が上空から地上部隊指揮を執る。また、夜間戦闘時にコールサイン「バーバー52」が屋上ソマリア民兵に対してM134 ミニガン機銃掃射を行う。
マン・オブ・スティール
兵員の輸送に使用される他、内2機が地上部隊を援護するためミニガンでクリプトン人を攻撃するも車を投げつけられ、1機は回避するも後ろのもう1機に直撃し墜落する。

漫画・アニメ

HELLSING
第九次空中機動十字軍ロンドン侵攻の際に使用する。
ヨルムンガンド
ココの部隊がバブーリン博士拉致する際に2機使用。

ゲーム

ArmA: Armed Assault
アメリカ陸軍とサーラニ王立軍の装備としてAH-6とMH-6が登場。キャンペーン中ではAIが操縦することが多いが、ミッションを自作するなどでプレイヤーも操縦可能。
ARMA 2: Operation Arrowhead
米陸軍の装備としてAH-6・MH-6・AH-6Xが登場。キャンペーンのAH-64D アパッチ・ロングボウを使用するミッションではAH-6Xを操作し、AH-64DのAGM-114 ヘルファイアを誘導することも可能。
Just Cause
「Delta 5H4 Boxhead」の名称で登場する。武装としてスタブウイング機関銃ロケット弾ポッドを搭載している。
Operation Flashpoint: Dragon Rising
アメリカ海兵隊陣営で使用可能なヘリコプターとしてAH-6Jが登場する。武装としてスタブウイングにM134 ミニガンスティンガーミサイルを搭載している。
Wargame Red Dragon
NATO陣営のアメリカ軍デッキで使用可能なヘリコプターとしてAH-6Cが登場する。武装としてMk.19 グレネードランチャーを搭載している。
グランド・セフト・オートシリーズ
GTA:TBoGT
「Buzzard」と言う名称で登場。
GTAV
『GTA:TBoGT』に引き続き、「Buzzard」と言う名称で登場。
コール オブ デューティシリーズ
CoD:MW2
キャンペーンに登場するほぼ全ての勢力がAH-6とMH-6を使用(何故かロシア軍まで本機を運用している)。マルチプレイではキルストリークの支援物資投下を本機が行う。
CoD:MW3
キャンペーンにデルタフォースSASのヘリとして登場。何機かがRPG-7撃墜される。終盤はマカロフの逃亡にも使われ、主人公達に機銃掃射を行う。
CoD:BO2
パナマ侵攻を元にしたミッションで何機か登場し、主人公たちが上陸する海岸の敵に対して機銃掃射を行う。
CoD:MW
キャンペーンにてプライス率いるSASチームやなぜかロシア軍のヘリコプターとして登場する。
バトルフィールドシリーズ
BF2MC
USMCがAH-6Jを使用。キャンペーン、マルチプレイ共にプレイヤー使用可能。武装としてスタブウイングに2丁のM134を搭載している。
BF3
分類は偵察ヘリとしてマルチプレイで使用可能。最大移動可能員数2名(操縦士副操縦士を含めると4名)が乗り込める。武装はM134×2と任意で誘導ミサイル(AGM-114空対地ミサイル)とヒートシーカー(AIM-9 サイドワインダー空対空ミサイル)のいずれかを装着できる。素早い展開・回収・撤退が可能。
BF4

脚注

出典

  1. ^ Boeing Manned/Unmanned Light Helicopter Makes First Flight”. News Release. St. Louis: Boeing IDS (2006年10月9日). 2011年5月13日閲覧。 [リンク切れ]
  2. ^ Harding, Stephen. "McDonnell-Douglas H-6 Cayuse/Little Bird". U.S. Army Aircraft Since 1947. Schiffer Publishing Ltd., 1997.
  3. ^ MD 530F Overview, MD Helicopters.
  4. ^ MD 530F Performance Specifications. MD Helicopters.

関連項目


アジアハイウェイ6号線

(AH-6 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 03:39 UTC 版)

アジアハイウェイ
AH-6
アジアハイウェイ6号線
地図
路線延長 10,533km
起点 大韓民国釜山広域市中区中央洞
主な経由国 韓国
北朝鮮
ロシア
中国
ロシア
カザフスタン
ロシア
終点 ロシア連邦スモレンスク州クラスニンスキー地区英語版ロシア・ベラルーシ国境
欧州自動車道路E30号線と接続)
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

アジアハイウェイ6号線(アジアハイウェイ6ごうせん)はアジアハイウェイの路線の一つで、総延長は10,533km[1]である。

概要

起点は大韓民国釜山広域市中区中央洞から日本海沿岸を通り、北朝鮮を経由してロシア連邦沿海地方に入った後、ウスリースクから西に向かい、中華人民共和国を経由して再びロシア連邦に入る。チタからはシベリア鉄道とほぼ同じルートをたどるが、アジアハイウェイ6号線はオムスク州から190km程カザフスタン領を通過する。その後、アジアハイウェイ6号線はクルガン州から三度ロシア連邦に入り、モスクワを通り抜けた後、スモレンスク州クラスニンスキー地区英語版のロシア・ベラルーシ国境が終点となる。

なお、オムスク州オムスクから終点のスモレンスク州クラスニンスキー地区までの区間は欧州自動車道路E30号線との重複区間である。

経路

大韓民国

アジアハイウェイ6号線起点(釜山広域市中区)

朝鮮民主主義人民共和国

ロシア連邦

中華人民共和国

ロシア連邦

イルクーツク~クラスノヤルスク間のロシア連邦道路R255

カザフスタン

ロシア連邦

リャザン州スパスキー地区英語版のロシア連邦道路M5

国境

国境通過点
通過国1 通過国2 位置
韓国 北朝鮮 北緯38度36分51.0秒 東経128度21分20.6秒 / 北緯38.614167度 東経128.355722度 / 38.614167; 128.355722
北朝鮮 ロシア 北緯42度24分54.7秒 東経130度38分27.7秒 / 北緯42.415194度 東経130.641028度 / 42.415194; 130.641028
ロシア 中国 北緯44度24分42.9秒 東経131度11分34.7秒 / 北緯44.411917度 東経131.192972度 / 44.411917; 131.192972
中国 ロシア 北緯49度37分41.2秒 東経117度22分26.0秒 / 北緯49.628111度 東経117.373889度 / 49.628111; 117.373889
ロシア カザフスタン 北緯54度55分17.2秒 東経70度59分18.3秒 / 北緯54.921444度 東経70.988417度 / 54.921444; 70.988417
カザフスタン ロシア 北緯55度05分36.0秒 東経68度15分46.2秒 / 北緯55.093333度 東経68.262833度 / 55.093333; 68.262833
ロシア  ベラルーシ 北緯54度41分27.3秒 東経30度59分48.6秒 / 北緯54.690917度 東経30.996833度 / 54.690917; 30.996833 E30号線と重複区間

脚註

  1. ^ Asian Highway Handbook” (PDF). UNESCAP (2003年). 2013年1月7日閲覧。

出典

関連項目


AH.6

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/10 21:25 UTC 版)

アグスタウェストランド リンクス」の記事における「AH.6」の解説

イギリス海兵隊用に提案され機種生産されず。

※この「AH.6」の解説は、「アグスタウェストランド リンクス」の解説の一部です。
「AH.6」を含む「アグスタウェストランド リンクス」の記事については、「アグスタウェストランド リンクス」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「AH-6」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「AH-6」の関連用語

AH-6のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



AH-6のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMH-6 (航空機) (改訂履歴)、アジアハイウェイ6号線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのアグスタウェストランド リンクス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS