1962年イギリスグランプリとは? わかりやすく解説

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1962年イギリスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 10:25 UTC 版)

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 1962年イギリスグランプリ
レース詳細
1962年F1世界選手権全9戦の第5戦
日程 1962年7月21日
正式名称 XV RAC British Grand Prix
開催地 エイントリー・モーターレーシング・サーキット

イギリス ( イングランド) エイントリー
コース 恒久的レース施設
コース長 4.828 km (3.000 mi)
レース距離 75周 362.100 km (225.000 mi)
決勝日天候 晴 (ドライ)
ポールポジション
ドライバー ロータス-クライマックス
タイム 1:53.6
ファステストラップ
ドライバー ジム・クラーク ロータス-クライマックス
タイム 1:55.0 (36周目)
決勝順位
優勝 ロータス-クライマックス
2位 ローラ-クライマックス
3位 クーパー-クライマックス

1962年イギリスグランプリ (1962 British Grand Prix) は、1962年のF1世界選手権第5戦として、1962年7月21日エイントリー・モーターレーシング・サーキットで開催された。

エイントリーでイギリスGPが開催されたのは本年が最後で、翌年から1986年までシルバーストン・サーキットブランズ・ハッチの交互開催となった。ロータス・25を駆るスコットランド出身のジム・クラークがレースを支配した。フェラーリはイタリア国内での労働ストライキの影響で、フィル・ヒル1台のみの参加となった[1]

レース概要

クラークが最後までトップを譲らず、大差を付けて優勝した[1]。開幕戦からBRMクーパーロータスポルシェと一戦ごとに優勝車が変わる展開だったが、ロータスがいち早く2勝目を達成した。1周ごとに後続との差を開いていくクラークの優勝パターンはここから始まった[2]

決勝に出走した21台のうち6台が依然直列4気筒エンジンを使用していたが、最上位はジャッキー・ルイスの10位だった[3]ジョン・サーティースローラは10周目に2速を失ったが、2位でフィニッシュした。前戦フランスGPとその翌週に行われた非選手権レースのソリチュードGPを制したダン・ガーニーはスタートで3位に浮上したが、クラッチの滑りにより順位を落とし9位に終わった[4]。ガーニーのチームメイトのヨアキム・ボニエは、ディファレンシャルのトラブルでリタイアとなった。ブルース・マクラーレン(クーパー)は12周目にガーニーを抜いて3位表彰台を獲得した[4]グラハム・ヒル(BRM)はレース終盤にジャック・ブラバムの追走を受け、4位をキープするためにプッシュしたが、ブラバムは40周目以降右足の火傷による痛みが増したことで後退する。ブラバムはトニー・マグス(クーパー)の前の5位でフィニッシュした[1]。ブラバムは本レースから自製マシンのブラバム・BT3を投入する予定だったが、レース前の午前3時に間違った排気システムが供給されていたことが判明し、昼夜の作業も実らず投入を断念した。BT3のデビューは2週間後の次戦ドイツGPに持ち越された[5]

イネス・アイルランド(UDT・レイストール・レーシングチーム(BRP))はおそらく最大の失意の日となったであろう。彼のロータス・24-クライマックスは予選3位でフロントローを獲得したが[6]、1周目にギアシフトが曲がり3速しか使えなくなったためピットインしなければならず、修理のために時間を要したことにより最下位の16位フィニッシュに終わった[1]。トレバー・テイラーはいくつかの接触の後、いいレースになることを期待してスタートした。しかし、すぐにキャブレターの緩みによりピットインしなければならず、彼のロータス・24は8位に終わった。フィル・ヒルのフェラーリは新しい6速ギアボックスを使用したにもかかわらず、イギリス勢に歯が立たなかった。彼は10位を上回るのが精一杯で、イグニッションのトラブルによりリタイアとなった[1]

エントリーリスト

フェラーリは3台をエントリーしていたが、1台のみの参加となったため、カーナンバー4と6は使用されなかった。

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 2 フィル・ヒル フェラーリ 156 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
4 リカルド・ロドリゲス 1
6 ジャンカルロ・バゲッティ 1
ポルシェ・システム・エンジニアリング 8 ダン・ガーニー ポルシェ 804 ポルシェ 753 1.5L F8
10 ヨアキム・ボニエ
オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 12 グラハム・ヒル BRM P57 BRM P56 1.5L V8
14 リッチー・ギンサー
クーパー・カー・カンパニー 16 ブルース・マクラーレン クーパー T60 クライマックス FWMV 1.5L V8
18 トニー・マグス
チーム・ロータス 20 ジム・クラーク ロータス 25 クライマックス FWMV 1.5L V8
22 トレバー・テイラー 24
ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 24 ジョン・サーティース ローラ Mk4 クライマックス FWMV 1.5L V8
26 ロイ・サルヴァドーリ
ロブ・ウォーカー・レーシングチーム 28 モーリス・トランティニアン 1 ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
ブラバム・レーシング・オーガニゼーション 30 ジャック・ブラバム ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
UDT・レイストール・レーシングチーム 32 イネス・アイルランド ロータス 24 クライマックス FWMV 1.5L V8
34 マステン・グレゴリー BRM P56 1.5L V8
アングロ=アメリカン・エキップ 36 イアン・バージェス クーパー T59 クライマックス FPF 1.5L L4
エメリソン・カーズ 38 ジョン・キャンベル=ジョーンズ 2 エメリソン 61 クライマックス FPF 1.5L L4
40 トニー・セッテンバー
エキュリー・ギャロワーズ 42 ジャッキー・ルイス クーパー T53 クライマックス FPF 1.5L L4
オートスポート・チーム・ウォルフガング・ザイデル 44 ヴォルフガング・ザイデル ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
エキュリー・エクセルシオール 46 ジェイ・チャンバーレイン ロータス 18 クライマックス FPF 1.5L L4
ジョン・ダルトン 48 トニー・シェリー ロータス 18/21 クライマックス FPF 1.5L L4
ギルビー・エンジニアリング 50 キース・グリーン 1 3 ギルビー 62 BRM P56 1.5L V8
エキュリー・フィリピネッティ 52 ジョー・シフェール 4 ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
エキュリー・マールスベルゲン 54 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
ソース:[7]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - マシンが準備できず
  • ^2 - 負傷のため欠場
  • ^3 - 練習走行のみ、No.48のロータスをドライブした
  • ^4 - スターティングマネーが十分に支払われなかったため、出場を取りやめた

結果

予選

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 20 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 1:53.6 1
2 24 ジョン・サーティース ローラ-クライマックス 1:54.2 +0.6 2
3 32 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 1:54.4 +0.8 3
4 16 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:54.6 +1.0 4
5 12 グラハム・ヒル BRM 1:54.6 +1.0 5
6 8 ダン・ガーニー ポルシェ 1:54.8 +1.2 6
7 10 ヨアキム・ボニエ ポルシェ 1:55.2 +1.6 7
8 14 リッチー・ギンサー BRM 1:55.2 +1.6 8
9 30 ジャック・ブラバム ロータス-クライマックス 1:55.4 +1.8 9
10 22 トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 1:56.0 +2.4 10
11 26 ロイ・サルヴァドーリ ローラ-クライマックス 1:56.2 +2.6 11
12 2 フィル・ヒル フェラーリ 1:56.2 +2.6 12
13 18 トニー・マグス クーパー-クライマックス 1:57.0 +3.4 13
14 34 マステン・グレゴリー ロータス-クライマックス 1:57.2 +3.6 14
15 42 ジャッキー・ルイス クーパー-クライマックス 1:59.4 +5.8 15
16 36 イアン・バージェス クーパー-クライマックス 2:00.6 +7.0 16
17 54 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 2:01.4 +7.8 17
18 48 トニー・シェリー ロータス-クライマックス 2:02.4 +8.8 18
19 40 トニー・セッテンバー エメリソン-クライマックス 2:02.4 +8.8 19
20 46 ジェイ・チャンバーレイン ロータス-クライマックス 2:03.4 +9.8 20
21 44 ヴォルフガング・ザイデル ロータス-BRM 2:11.6 +18.0 21
ソース:[8]

決勝

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 20 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 75 2:26:20.8 1 9
2 24 ジョン・サーティース ローラ-クライマックス 75 +49.2 2 6
3 16 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 75 +1:44.8 4 4
4 12 グラハム・ヒル BRM 75 +1:56.8 5 3
5 30 ジャック・ブラバム ロータス-クライマックス 74 +1 Lap 9 2
6 18 トニー・マグス クーパー-クライマックス 74 +1 Lap 13 1
7 34 マステン・グレゴリー ロータス-クライマックス 74 +1 Lap 14
8 22 トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 74 +1 Lap 10
9 8 ダン・ガーニー ポルシェ 73 +2 Laps 6
10 42 ジャッキー・ルイス クーパー-クライマックス 72 +3 Laps 15
11 40 トニー・セッテンバー エメリソン-クライマックス 71 +4 Laps 19
12 36 イアン・バージェス クーパー-クライマックス 71 +4 Laps 16
13 14 リッチー・ギンサー BRM 70 +5 Laps 8
14 54 カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 69 +6 Laps 17
15 46 ジェイ・チャンバーレイン ロータス-クライマックス 64 +11 Laps 20
16 32 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 61 +14 Laps 3
Ret 2 フィル・ヒル フェラーリ 47 エンジン 12
Ret 26 ロイ・サルヴァドーリ ローラ-クライマックス 35 バッテリー 11
Ret 10 ヨアキム・ボニエ ポルシェ 27 ディファレンシャル 7
Ret 44 ヴォルフガング・ザイデル ロータス-BRM 11 ブレーキ 21
Ret 48 トニー・シェリー ロータス-クライマックス 6 エンジン 18
DNS 48 キース・グリーン ロータス-クライマックス 練習走行のみ(シェリーのマシン)
ソース:[9]
ラップリーダー[10]

第5戦終了時点のランキング

  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e Blunsden, John (September 1962). "Brittiska Grand Prix - tråkigt på Aintree!" [British Grand Prix: boring at Aintree!]. Illustrerad Motor Sport (Swedish). No. 9. Lerum, Sweden. p. 19.
  2. ^ (林信次 1997, p. 37)
  3. ^ Blunsden, p. 32
  4. ^ a b Blunsden, p. 18
  5. ^ Blunsden, p. 33
  6. ^ 本レースのスターティンググリッドは3-2-3。 Britain 1962 - Starting grid”. statsf1.com. 2018年6月18日閲覧。
  7. ^ Britain 1962 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年6月18日閲覧。
  8. ^ Britain 1962 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年6月17日閲覧。
  9. ^ 1962 British Grand Prix”. formula1.com. 2014年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。
  10. ^ Britain 1962 - Laps led”. statsf1.com. 2018年6月18日閲覧。

参照文献

外部リンク


前戦
1962年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1962年シーズン
次戦
1962年ドイツグランプリ
前回開催
1961年イギリスグランプリ
イギリスグランプリ 次回開催
1963年イギリスグランプリ



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